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辻沢のアルゴノーツ ~傀儡子のエニシは地獄逝き~  作者: たけりゅぬ
第二部 辻沢日記(コミヤミユウのセルフライフドキュメント)

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「辻沢日記 46」(不穏なドナドナ会)

 クロエからせっつかれすぎてドナドナーズで情報交換かねた女子会を開くことになった。


サキを誘うと、ものすごく面倒くさそうだったけど了解してくれた。


みんなの都合を合わせたらやっぱり、今度の新月の夜になった。


その日は潮時でユウは発現するはずだった。


でも女子会を早めに切り上げて大曲の地下道に急げばユウの発現前には間に合うだろう。


 問題はクロエだ。


満月新月必ず発現して徘徊するクロエは、女子会あたりから兆しがあるだろう。


ミユキに会って、いいところでクロエのお世話を交代するよう手はずを整えておかねばならない。


 女子会もなんでこんな時にと思うけれども、これはクロエの潮時の特徴の一つなのだった。


やたらと人に会いたがる。集めたがる。


それを邪険にすれば潮時は荒れる。


そうなった場合、大変なのはクロエの傀儡子使いであるミユキだった。


ある時など、深夜の3時にミユキから電話がかかってきて、クロエがいなくなったから一緒に探してと言ってきた。


聞けば、クロエに飲みに誘われたけど、その日は陰からお守りするつもりでわざと放っておいたのだそうだ。


そうしたら月の南中とともに、ものすごい勢いで走りだし一瞬で見失ってしまったという。


一晩中、二人で心当たりを探して回ったけれど見つからなかった。


結局、居場所が分かったのは次の朝、クロエから電話があってからだった。


「あたし、なんでか北海道にいるんだけど」


 と言ってきたのだ。


 早朝の函館駅前でずぶぬれになって寝ているのを交番のおまわりさんに保護されたらしかった。


新幹線に乗るはずもないから、クロエは一晩で900km駆けたことになる。 


 そんなクロエのことを、


「津軽海峡をどうやって渡ったかは考えないことにする」


 と言ってミユキは迎えに行った。


 つまり潮時はどんなに準備していても何かと忙しいものなのだ。


今回はそれが二人分、しかもユウはこれまでで一番分からずやになってる可能性が高い。


 女子会の待ち合わせ前に、ミユキに連絡を入れたら、

 

「クロエをよく見てあげて」


 って言われた。


そういえば潮時直前にクロエと飲むのは今回が初めてだった。


どんな様子なるのか。ミユキの苦労が少しは知れるかもしれない。


 3人が集まると、初めからクロエは苛ついていて、なぜかサキに敵意をむき出しにしていた。


サキがすることいちいちが気に入らないようで、すぐに突っかかってゆく。


いい加減クロエをなだめるのに疲れてきたころ10時を切ったのでお開きにすることにして店を出た。


カラオケに行こうかってサキが言い出したのは、きっと仲直りのきっかけにしようとしたんだろうけどクロエがさらにひどいことを言ってお流れになった。


流石にあれではサキも怒る。


 クロエと別れてから駅前でミユキに会ってクロエの様子を伝えると、


「最近、荒れるんだよね」


 と言った。


「人にちょっかい出したりするのは前からなんだけど、絡み方がしつこいの」

 

 確かにうざかった。


 傀儡子の潮時が時によって変化するというのはあたしには初耳だった。


ユウの場合は凶暴化するけれど最初のころからそれはずっと一緒だったからだ。


 傀儡子だって変化があるとは思うけれど、あからさまに「悪く」なっているというのはミユキにとっても心配の種だろう。


けれど、そうであっても傀儡子使いにはどうすることもできない。


受け入れて世話をし続けるほか手立てはないのだった。


「それに、変な嘘もつくしね」


「そうなんだ」


「例えば、最初の辻沢訪問の時、みんなとバスケして教頭先生に叱られたとかね。そんな大事な時にバスケなんてするわけないじゃんね」


 いや、バスケはしたんだよ、あたしたち。信じてもらえないかもだけど。


(毎日2エピソード更新)

続きはこのあと21:10に公開します


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よろしくお願いいたします(*ᴗˬᴗ)⁾⁾⁾


たけりゅぬ

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