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第43話 風の種類

洞窟から出ながら、チヨは様々な風を感じ取っていた。


喜びの風は、上に向かって軽やかに舞い上がる。まるで見えない鳥が飛び立つように。


悲しみの風は、重く地を這う。ゆっくりと、まるで涙のように流れる。


怒りの風は、鋭く渦を巻く。刃物のような鋭さで、周囲を切り裂いていく。


そして愛の風は、優しく包み込む。毛布のように、相手を包んで守ろうとする。


外に出ると、ルカが心配そうに待っていた。


『チヨ姉ちゃん!』


ルカから吹く風は、心配と安堵が入り混じった複雑なもの。でも、根底には深い愛情の風が流れている。


姉妹の絆の風。それは他の何よりも強く、確かなもの。


■帰路での発見


帰り道、チヨは多くのことを発見した。


すべての生き物から、微かな風が吹いている。


鳥たちからは、自由で軽やかな風。


犬からは、忠実で真っ直ぐな風。


猫からは——特にチクワからは、神秘的で古い風が吹いていた。


そして気づいた。風に乗って、誰かの呼び声が聞こえるような気がする。


声ではない。音でもない。でも、確かに誰かが呼んでいる。


「来て」「助けて」「会いたい」


様々な想いが、風に乗って流れている。


それは、写し世からの声かもしれない。

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