第22話 夕食と新たな決意
その夜、チヨは腕によりをかけて夕食を作った。味噌汁、焼き魚、煮物、そしてルカの好きな唐揚げ。色は見えなくても、料理の手順は体が覚えている。
でも、焼き色が分からないのは困った。
「ルカ、これ見て。いい色に焼けてる?」
「うん、美味しそうな焐色!」
妹の助けを借りながら、なんとか夕食を完成させた。
「今日は豪華だね!」
ルカが目を輝かせる。
「健司先生も一緒にどうですか?」
チヨの誘いに、健司は嬉しそうに頷いた。
「お言葉に甘えて」
三人で囲む食卓は、まるで家族のようだった。ルカは学校での出来事を楽しそうに話し、健司は優しく相槌を打つ。チヨは二人の様子を見ながら、胸が温かくなった。
もし、違う運命だったら……
「そういえば」
ルカが突然言った。
「クラスの友達が言ってたんだけど、将来は健司先生みたいなお医者さんと結婚したいって」
「へえ、そうなんだ」
健司が苦笑する。
「でも私は違うよ」
ルカは真顔で続けた。
「だって、健司先生にはチヨ姉ちゃんがいるもん」
「ルカ!」
チヨが慌てる中、ルカはにこにこと笑っている。
「だって本当のことでしょ?」
健司は優しく微笑んだ。
「ルカちゃんは、本当に鋭いね」
その言葉に、チヨの心臓が跳ねた。まるで認めたような……
食後、チヨは再びレシピノートを開いた。今度は、今日作った料理の作り方を詳しく書き込んでいく。
「唐揚げの衣は、少しカリッとするまで揚げる。音で判断できるから、色が見えなくても大丈夫」
そんなメモも添えて。




