無慈悲なる厄災
少しずつ小説の書き方?に慣れてきた気がします笑
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俺の口から漏れたのは、氷のように冷徹な声だった。防御陣の内側で、俺は両手に意識を集中させ、深紅の炎の魔力を極限まで高めていく。革手袋が、その熱量に耐えきれず、ジリジリと焦げる匂いがした。
「隊長、まだですかい!? リーザの盾が、もう……!」
ハルが悲痛な声を上げる。リーザの構える大盾には、既に無数の亀裂が走り、今にも砕け散りそうだ。ゼイドとエリアーナも、必死に魔法で応戦するが、消耗が激しく、その威力は目に見えて落ちている。
(……今だ!)
「全員、衝撃に備えろ!」
俺は短く叫ぶと、両手を天に掲げた。
「――万象焼滅・深紅終焉!」
俺の詠唱と共に、頭上に巨大な深紅の魔法陣が形成された! それは、禍々しくも美しい紋様を描き出し、廃坑の入り口一帯を不気味な赤い光で染め上げる。そして、その魔法陣から、無数の炎の隕石が、暴走する強化兵たち目掛けて降り注いだ!
ズドドドドドドドドドドンッ!!!!
一つ一つの炎弾が強化兵に直撃するたびに轟音と爆炎が巻き起こり、彼らの纏う「炎」を、俺の「深紅の炎」が飲み込み、焼き尽くしていく。絶叫を上げる暇もなく、強化兵たちは、俺の作り出した灼熱の嵐の中で、跡形もなく消滅していった。
数瞬後。廃坑の入り口には、焼け焦げた地面と、もうもうと立ち込める黒煙、そして、ようやく訪れた完全な静寂だけが残されていた。
「……助かった……の……?」
防御陣の内側で、エリアーナが震える声で呟いた。彼女は、目の前で繰り広げられた圧倒的な破壊と、それがもたらした静寂に、まだ頭が追いついていないようだった。そして、自分がまだ生きているという事実をゆっくりと噛みしめると、全身の力が抜けたように、その場にへたり込んだ。ゼイドもまた、言葉もなく、ただ荒い息を繰り返しながら、膝をついている。
純粋な生への安堵だった。死の窮地から、文字通り引き戻されたのだ。
「へっ、やりすぎですよ、隊長」
ハルが、安堵のため息をつきながらも、どこか誇らしげに笑った。その声で、エリアーナとゼイドは我に返り、改めて俺のほうを見た。そして、先ほどまでの地獄絵図を作り出した張本人である俺が、静かに佇んでいるその姿をただ言葉を失って俺を見つめていた。
俺は、力を解放したことによる疲労感と、そして、敵とはいえ多くの命を、この手で消し去ったことへ、毎度のことながら虚無感に襲われていた。
(こんなクソみたいな戦争がなければ続いていた命だったんだがな…)
「……全員、怪我はないな?」俺は、感情を押し殺して尋ねた。「リズベット、負傷者の確認と治療を。ハル、周囲の警戒を怠るな。まだ、敵の残党がいないとも限らん」
「「はっ!」」
俺が指示を出すと、部隊はすぐにそれぞれの役割に戻った。これが、戦場を生き抜いてきた俺たちの日常だ。感傷に浸っている暇はない。
「マルコ、斥候班を率いて、この廃坑内部の調査を行え。敵が何をしていたのか、どんなものを残していったのか、些細なことでもいい、全て報告しろ。ただし、内部はまだ俺の炎の熱が残っている。十分に注意しろ」
「了解しました」マルコは、頷くと、数名の部下と共に、まだ煙が立ち上る廃坑の奥へと、入っていった。
「隊長、我々はどうしますか?」ハルが尋ねる。
「俺たちも、奴らが野営していた場所を調べる。敵の素性や、次の目的地に関する手がかりが残っているかもしれん」
俺たちは、敵が使っていたと思われる野営地へと向かった。そこには、俺の炎の余波で、いくつかのテントが焼け落ちていたが、比較的状態の良いものも残っていた。俺たちは、手分けをして、遺留品の調査を開始した。
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