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初陣の誓い

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ドレイクの執務室を出た俺の足は、自然と自身の部隊――特務遊撃部隊――の執務室へと向かっていた。あの男の顔を思い出すだけで、腹の底から黒いものが込み上げてくるが、今は私情を挟んでいる場合ではない。騎士団長が直々に下した任務だ。そして、それは俺だけでなく、俺の部下たちの命もかかっている。


作戦室には、既にハル副隊長をはじめ、マルコ、リーザ、サイラス、そして医療担当のリズベットといった、この二年、俺と共に数えきれないほどの死線を潜り抜けてきた主要な古参メンバーが集まっていた。俺のただならぬ気配を察したのか、彼らの表情にも緊張の色が浮かんでいる。


「隊長、団長閣下からは何と?」

ハルが、代表して尋ねてきた。


俺は、ドレイクから渡された任務概要の羊皮紙をテーブルに広げ、簡潔に説明を始めた。

「……西の辺境、迷霧の森に近い山岳地帯に出没している盗賊団の討伐だ。表向きはな」

俺は続けて、その盗賊団が通常の賊ではなく、敵国の工作部隊である可能性が高いことを伝えた。

「俺たち特務遊撃部隊は、総勢でも20名程度の少数精鋭だ。今回の相手は、その数を上回る可能性がある。厳しい戦いになるだろう」


俺の言葉に、古参兵たちの顔が引き締まる。彼らもまた、この戦争の裏で暗躍する者たちの存在を、肌で感じてきたからだ。


「……それで、我々の任務は、その『盗賊団』の殲滅、と?」

サイラスが、冷静に確認する。


「そうだ。そして……」俺は、一度言葉を切り、やや重い口調で続けた。「先日配属された新人二人――クレスウェル少尉とヴァルガス少尉も、当然、この任務に戦闘員として加わることになる。彼らにとっては、これが初陣だ。」


その言葉に、作戦室の空気が一瞬凍りついた。

「……隊長、それは……」ハルが、懸念を隠せないといった表情で口を開いた。

「今回の任務は、初陣にしちゃあ危険すぎやしませんか? 新人二人の参加は、今回は見送った方が賢明かと……。万が一のことがあってからでは…」

他の古参兵たちも、ハルの言葉に同意するように、心配そうな顔で頷いている。彼らは、新人を気遣うと同時に、部隊全体の生存率を常に考えているのだ。


俺は、彼らの懸念を理解しつつも、首を横に振った。

「いや、参加させる。彼らがこの部隊に配属されたのは、それだけの実力と将来性を見込まれてのことだ。危険な任務だからこそ、実戦経験を積ませる必要がある。温室で育てていては、いざという時に使い物にならんからな。部隊全体のレベルを維持し、向上させるためにも、新人の育成は不可欠だ。今回からは新人も戦闘に参加することになる。全員、これまで以上に気を引き締めていけ」

俺の言葉は、隊長としての、そして彼らの成長を願う者としての、厳しい決意を込めていた。そして、その裏には、ドレイクの思惑通りにはさせないという、俺自身の意地もあった。


ハルは、俺のその言葉の重みを理解したのか、それ以上は何も言わず、ただ「……了解しました」と短く答えた。他のメンバーも、覚悟を決めたように頷く。


「よし」俺は、テーブルの上の地図を指し示した。「細かい作戦は、これから俺とハルで詰める。時間がない。エリアーナとゼイドには、マルコとリズベットから、今回の任務に参加すること、そして大まかな役割について伝えておいてくれ。 彼らの精神的な準備も必要だろうからな」


マルコとリズベットは、「承知しました」と頷く。


「出発は明日の早朝だ。今夜、日没後に全員を作戦室に集め、最終的な作戦内容と各員の役割を伝達する。 それまでに各自、装備の点検と、心の準備を怠るな。……以上だ。解散!」


俺の言葉に、古参兵たちは敬礼し、それぞれの準備に戻っていく。作戦室に残ったのは、俺とハルだけになった。


「……本当にいいんですかい、隊長。あの二人を、いきなりこんなやばそうな任務に……。団長閣下も、人が悪ぃ」

ハルが、心配そうに俺に尋ねる。


「ドレイクの思惑がどうであれ、俺たちのやることは変わらん」俺は、窓の外を見ながら答えた。「だが、それ以上に、俺はあいつらに期待している。エリアーナの魔法の潜在能力、ゼイドの剣の才能……。磨けば、必ずこの部隊の大きな力になる。そのためには、多少手荒な『教育』も必要だろう」


俺の言葉に、ハルはニヤリと笑った。

「へっ、隊長らしいですな。分かりました。俺も、副隊長として、新人二人が無事に初陣を飾れるよう、全力でサポートさせてもらいますぜ」


「ああ、頼んだぞ、ハル」


俺たちは、それから数時間にわたり、地図を広げ、敵の予想される配置、地形、そして俺たちの部隊の能力を最大限に活かすための、緻密な作戦を練り上げていった。エリアーナとゼイドが、その中でどのような役割を果たし、そして生き残ることができるのか。

それは、彼ら自身の力と、そして俺の指揮にかかっている。

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