スイーツ男子会
あの日からほぼ毎日ましろくんと拓真くんは来店して
イートインスペースで楽しい時間を過ごしている
はじめの頃は二人きりだったけれど
新緑が眩しくなりつつある今では
仲良しの友人が増えたようで
だいたい4人でやってくる
全員一緒に来るわけではなく
授業が終わったり空いたりした時の
待ち合わせ場所のようになっているみたいだ
今日もおそらく昼過ぎにはバラバラと
集まってくるだろう
「よし!今日は一番乗りだ!」
新メンバーの洸くんが嬉しそうに
テーブルに着く
買ったばかりのカフェラテからはまだ湯気が出ていて
猫舌であろう洸くんはそぅっとカップに口をつけた
ホゥっとひと息ついたあと
一緒に買ったシュークリームを頬張りながら
スマホでメッセージの確認をしはじめた
「お!涼も授業終わったみたいだな!じゃあそろそろ来るか…ましろと拓真は…」
「おまたせー」
ましろくんと拓真くんが一緒にやって来て
洸くんの向いの席に座る
「ましろ、ラテとプリンで良いか?」
「うん!」
どうやら今日はスィーツ男子会のようだ
拓真くんが席をたち
プリンとマカロンを手にレジにやって来た
「あと、ホットラテMサイズ2個ください」
拓真くんがニッコリしながらレジの貴腐人に話しかける
「はい!ホットラテMサイズ2個ですね!ありがとうございます」
笑顔で対応しつつも…脳内では
ところで拓真くん
さっきましろくんと店に入ってきたとき
ましろくんと手をつないでましたよね???
どーゆーことですか?
そーゆーことなんですか?
そーゆーことでいいですか?
貴腐人、さっきの光景、脳内ストレージにしっかり
保存しましたけど
ほんとのところどうなんですか?
ってって
聞きたい…………レジしながらもソワソワしてしまう
拓真くんがラテとスィーツを持って席に戻ると
待っていたましろくんが上目遣いで
「拓真くん ありがとう!次の時は僕が買うからね!」
と嬉しそうに言う
あざとカワイイってやつでしょうか…
流石です!ましろくん
そんなましろくんに対して拓真くんは柔らかな笑顔を向けて
「ああ」
と頷いて静かに席にすわる
気になって仕方ない貴腐人が
イートイン近くのカウンターに陣取り
タブレットで発注作業をしながら
彼らのやりとりに聞き耳をたてていると
「なぁ、さっきましろと拓真、手ぇ繋いで来たよな?なんで?」
洸くんが『ど直球』な言葉を投げつける
ましろくんはアワアワとしながら耳まで赤くなり
拓真くんの方をチラッと覗き込む
………………
しばらく沈黙したあと思い立ったように拓真くんが話はじめる
「あー ましろってさ
うちのマロンに似てるんだよね
マルプーなんだけどさ
見た目とか雰囲気とかも似てるけど
繋いでないとすぐどっか走って行っちゃいそうなとことかさ、そっくりなんだわ…ソレでつい』
「なんだよ、犬かよ〜」
「えー!拓真くん、ひどぉい」
ましろくんがちょっとふてくされて
頬をプクッと膨らます
「か、カワイイってことだろ?いいじゃねぇか ましろ!良かったな」
洸くんが笑いを堪えるように話し続ける
「しかしこんな大男の愛犬がマルプーって…
それもまぁカワイイな♡なんかデカイ犬飼ってそうなのにな」
「うるせぇマロンちゃんは俺の癒やしなんだよ」
そうですか…ワンワンですか…
でも?本当にそれだけですか???
拓真くん?
あなたいつもましろくんに甘々ですよね?
本当にそれだけなんですか?
…まだまだ納得のいかない貴腐人ですが
照れくさそうにしている拓真くんと
まだまだほっぺを膨らましているましろくんを
チラリと見ると
……それもまた…良し
頷きなから発注作業を終了させた
そこへ
「楽しそうだねぇ 僕も混ぜて!」
「お!涼 遅かったな」
「学生課によってきた」
「ふーん」
重そうなリュックを洸くんのとなりの席に置き
「僕も何か甘いもの買ってこようかな」
爽やかに微笑むと涼くんは
スイーツコーナーへと足を向けた