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桜の花びらとともに

日曜日は向かいの大学の入学式だった

初々しい新入生がチョロチョロと

買い物に来店するようになりました


「新入生か、春の風物詩だなぁ」

いけおじオーナーがつぶやいた

「新シいお客サンたくさんクルとイイいですネ」

バイトの外国人のティナがニコニコと話している

春のあたたかい日差しでほんわかした空気が

オーナーとティナの目尻を下げていた


店と大学の前の道は桜並木

今年は桜の開花が少し遅かったので

まだ桜の花がいくらか残っていて

風が吹くとひらひらと桜吹雪が綺麗だった


(ティローン ティロリローン)

店の自動ドアが空き

柔らかい春風と桜の花びらとともに

彼は現れた


色白で小柄な体躯

栗色でふわふわとした柔らかそうな髪

長いまつげ

大きく黒目がちで黒曜石のような瞳

ちょっとだけ憂いを帯びた眼差し

小ぶりだが通った鼻筋

春の女神に愛されたような薔薇色の頬

チェリーのようなツヤツヤでぷっくりした

可愛いくちびる…


え?

天使?なに?え?

か、可愛い!

男の子だよね?え?新入生?


イートインスペースの掃除をしていた私の

モップの手がとまる


「ましろー」

後ろから来た大柄な男子学生が天使の名を呼んだ

「あ!拓真くん」

満面の笑みで振り向きながら天使が返事をしている…


「一緒に行こうって言ったろ!さっさと一人で行きやがって」

「ごめんね!お腹空いちゃって、早く何か食べたいなって思ったら走っちゃった」

「まぁ 良いけどさ!何買う?おにぎりとかにする?弁当みたいなのにする?」

「う〜ん どうしようかな〜」

そんな会話をしながら店内をまわりはじめた



は!

いけないうっかり見惚れちゃった

我に返って再びモップの手を動かし始める


『ましろくん』っていうのか…

名前も可愛いなぁ

天然受け天使って感じだぁ

大柄な『拓真くん』といるからか余計に

華奢で可愛らしく見えるなぁ

はぁー良いもん見たわー

やっぱりましろくんが受けで

拓真くんが攻めだよね

よーく眺めておいて後で妄想しよ♡


ましろくんと拓真くんか

また二人で来てくれると良いなぁ



………あっ!!


ふと気がついた

そうか!推しだ!

推しカプが欲しかったんだ!

だから何か満たされなかったんだ!



春の良き日

新たな出会いにニヨニヨが止まらない

貴腐人なのでした


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