会いたくて…
「あー 今日もあちーなー!」
洸くんのご来店です
「イらっシゃいませー」
「アイスコーヒーのいちばんデッカイの下さい!」
「はーィ ありが卜うごザいマーす」
レジにいるティナが元気よくこたえる
「お!!お前らも来てたんだ」
イートインにいるましろくんと涼くんに気がつき
アイスコーヒーを持ってましろくんの隣に座る
「洸くん、お疲れ!なんか心配してくれてたみたいで…ごめんね!ありがとう」
涼くんに促され、もじもじしながらましろくんが
話を切り出した
「んぁ、拓真と仲直りしたんか?」
「別にケンカしてないし…」
「ふーん でもましろなんか最近様子変だったじゃん なんで?」
洸くんはよほど気になっていたのか
ましろくんに食い下がる
ましろくんはちょっと躊躇いながら
ポツポツと話しはじめた
「僕さモデルの瑠加くんのファンなんだ…」
「うん…それは知ってる…で?」
洸くんと涼くんが声を揃えて真顔で言う
「高2の秋にはじめて雑誌で瑠加くんを見て
すごいオシャレでかっこいいなぁ…同い年なんだ…って思って 僕の地元って田舎だからあんなかっこいい人いなくて…一目でファンになって」
ましろくんはラテに残った氷をストローでぐるぐると弄りながら話を続ける
「瑠加くんが出てる雑誌はいつも買ってたし
SNSもフォローしたし…一度だけ隣の市にロケに来た時に見に行って…遠くからちょっと見えただけなんだけど、ホントにすごくかっこよくて…」
ましろくんの大きな瞳が潤みはじめた
「もう一度、今度は近くで見てみたい…会ってみたいって思いはじめて、SNSをよくチェックしてたら
今バイトしてるカフェで撮った画像がよくアップされてるのに気がついて…
この大学行ってそこのカフェでバイトとかしたら
いつか会えるんじゃないかなって…
僕も男だし瑠加くんも男なのに変かもしれないけど…でもどうしても、どうしても会いたくて」
今にも泣き出しそうなましろくん
「あぁ そういえば前もSNSでフォローしてる人が…とか言ってたよね、それが瑠加くんのことなんだ?」
涼くんが少し優しい口調で言いながら
ポンポンとましろくんの頭を軽くたたく
「うん…」
こぼれ落ちそうな涙をぐいっと拭いて
ましろくんが続ける
「でも僕、この大学を受験するのには全然成績足りなくて…担任には絶対無理だからやめとけって言われて、必死で勉強して…ホントに死ぬほど勉強して合格できて…バイ卜もはじめて まだ会えてないけど…ホントに嬉しくて」
「ふーん ましろ頑張ったんだな!やるじゃん!」
洸くんもましろくんの頭をポンポンする
「だけど…拓真くんが瑠加くんのクラスメイトだったって聞いて…最初はすごいなぁ、良いなぁって思っただけなんだけど
僕が必死になってる時に拓真くんの日常には
普通に瑠加くんがいたんだなって思ったら
すごく羨ましくなっちゃって…
拓真くんが悪いわけじゃないのはわかってるんだけど…
モヤモヤしちゃったんだよね…
拓真くん、瑠加くんのことベタ褒めだったし
好きなのかな?って思っちゃったし…」
「なるほどね…それは羨ましいよな
たぶん拓真は瑠加くんのことラブではないと思うけどさ…」
涼くんがフッとほほえみながらましろくんの涙を
指で拭う
「瑠加くんがカフェに来てくれると良いな!ましろ!」
洸くんがニカっと笑ってましろくんを覗き込む
「僕、男なのに瑠加くんのファンとか
会いたいとか拓真くんにヤキモチとか
おかしいよね…変だよね?
気持ち悪いよね?
ちょっとストーカーっぽいかんじだし…引くよね?」
「んー 別にいいんじゃない?人それぞれっしょ」
と洸くん
「僕も気にする必要ないと思うよ
何が好きだろうと誰のことを好きだろうと
ましろはましろだろ!
瑠加くんに迷惑かけるような事をしてるわけじゃないし」
と涼くん
ましろくんは二人の事を交互に見つめ
大粒の涙をポロポロとこぼす
「泣くなって な!ましろ」
「今日のところは帰ろうか」
「うん」
三人は仲良く肩を並べて帰宅の途につきました
ましろくん、瑠加のデビュー当時からの
ガチファンだっのか…
なるほど…
瑠加に会いたくてこの街に来たのか…すごい熱量だな
ファンでいてくれるのはありがたい…
ちょっと怖いのと紙一重だけど…
貴腐人は
ましろくんの話を聞いて
ちょっと複雑な思いを抱えつつ
清掃用具を片付けに倉庫へ向かった…




