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第2章

ストーンヘンジ」


リスボン王、

ジョアン1世の勅命で、

謎の石の調査を命じられた、

遺跡の発見と航路の確立は我が国の使命だ、

それによりもたらされる利益は想像がつかない、

現在ポルトガルは地中海北欧と一部のアラブ地域のみと交易が始めたばかり、

まだまだ十分といえず、国王は航路の確立が国の繁栄と位置付けている、

世は大航海時代の幕開け、船も人も物も足りない。私の名前はエンリケ、

滅多に船で航海することはしないが、

今回は見聞と航路の確立もかねてストーンヘンジの調査に行く、

港にはもう船が出航の準備をしている。

青い海にかもめの鳴き声が響くロープの張る音、

波がパシヤーンとバシャーンと打ち消される音、

荒くれ者たちが声を掛け合い、

ロープを港に巻きつける、

イカリがかりかりと上がり出航する船、見上げると太陽、

眩しく雲ひとつない空に真っ直ぐに照りつける。

リスボン港はいつも混乱、

市場のおばちゃん達がその日とれたばかりの魚、

ニシンやサバサーモンを買い付け、お手製の小屋に並べる。海風が吹くたびに軋む小屋、けれども商売は待ってはくれない。飲んだくれか?船で酔ってしまったごろつきがふらふらと道端に倒れ込み水を求める、解雇された船員だろうか?スペイン人か?髪は黒くちぢれ、髭は白髪混じりあばらが浮き、

着ているものは、ボロボロで洋服の体をなしていない、そしてすぐ横では、1週間前にとれた鯨を捌いている、大量の血と内臓が海に流れあたりには腐臭と血の匂いが充満している。清潔とは程遠い、鯨から取れるのは、食用肉と油油はガス灯や繊維や石鹸に使われる、ここは中世でまだ、電気がまだ発明されていない。

エンリケ航海王子「総員配置についたか?」

船員「いえさー」

エンリケ航海王子「この風をものにしよう、高鳴る胸の鼓動を信じて航路を開こう、頼りになるのは諸君の耳と目、経験がものを言う、ストーンヘンジの調査でもだ、そしてリスボンに戻ってきた時には、山のようなゴールドが諸君を待っているだろう。」

 船員「おー」

エンリケ航海王子「諸君らの旅に幸運を世界を広げてほしい。」

大きな歓声があたりを包んだ、

割れんばかりの歓声と熱気、船員総勢106人がキャラベルを出航させる、イカリをおろし、船底にあるオールを漕ぎ、見張り台からあたりを見まわし、

風を読み船を出す、

船長が海図、航海図、今日の天候を見て、おおよそのプランを立てる。

エメラルドの海が静かに揺れている、

海底では色鮮やかな珊瑚たちが踊り、その周りをイワシやヒラメ、小魚たちが棲家として暮らしている。なぜこの界隈にいるのか?

鯨から出る肉や油を狙っているほかならない、残酷だけれど事実だ。船がゆっくりと動き出す、最初は船底から人がオールを漕いでゆき、風に帆が当たると船は追い風になり動き出す、波に負けずに前に前にと。

エリンケ航海王子「ラモン士官候補いるか?」

ラモン士官候補「はい、ここに。」

エンリケ航海王子「君の任務は船を無事に送り届けること、調査そのほかに何かあるか?」

ラモン士官候補「万が一の事態に備えることです。」

エンリケ航海王子「そうだ、命と船を無事に守ること、何よりイスパニアに攻撃もちろん先を越されてはならない。」

ラモン士官候補「はい、ですが、今回は航路がある程度わかっていて、遺跡も他の国が調査済みと報告を受けています、あまりやる必要がないように思います。」

エンリケ航海王子「それでは、困るのだよ。」

ラモン士官候補「なぜですか?国の威信ですか?」

 ラモンは船のもやい縄を準備しながらエンリケと話す、エンリケも遠くの海を見ながら時にメインマストを触り、語りかける

エンリケ航海王子「まだまだポルトガルは発展してもらわなきゃならない、この国の外に国があり交易が開かれれば、国力が大いに上がるアフリカにも必ず航路を開く、でもそれには優秀な航海士、きみのような優秀な士官がいる、まだまだ足りないのだよ、私は今後10数年以内に

航海士学校を作るよ、そこでは、航海図はもちろん船の操船の仕方、海流の動き、剣術、ありとあらゆる、航海術を教える、そして夢はインド航路だ。」

ラモン士官候補「インドなんて?幻では?そんな世界の果て象亀の背中の話、神話では?」

エンリケ航海王子「ラモン君、それは君の頭が作り出した幻想では??北欧の人が英語とゲルマン語を駆使するように、我々はポルトガル語とラテン語を駆使する、もっと肌や文化の違う人々がいたら?まだまだなんだよ。」

ラモン士官候補「はあ。」



 かもめが空で鳴いていた、もし、かもめがしゃべれた?その目に映る全てを見通し海の先の先までわかるのに、でもかもめはしゃべれないし、人間しか言語を操れない、だからこそ目で見て書物に書き、記録して後世に残す、そうして脈々と受け継いで世界を広く深く知っていく、危険はあるだろう、けれども無駄には、ならないだろう、多分きっと。船が2時間後沖にでた、キャラベル船の帆が風を受け、メインマストと甲板からぎいぎいと木の音を立ててエメラルドの海へと旅立つ。




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