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白銀の孤狼  作者: 蜂蜜
序章 雪と氷と樹木と
3/6

ここは地球ではない

観察結果2 時が経っても、対象の魂は情緒不安定となっている

 未知に出会った時、人間は恐怖か混乱、或いは両方に襲われるものであるが、今回は混乱であった。


 目の前に落ちてきた手のひらサイズの氷に狼の顔が映る。なるほど確かに母さんの子供だろう。毛の色も同じだし、どことなく面影がある。ポカンと開けた口にはまだ尖ってはいないが牙が見えてるし、なんとなく肉食動物なんだなと理解出来る。

 まさしく狼の子供であろう。


 いや違うそこはいい。問題はこの氷だ。

 どこから出てきた、この氷。

 幾ら寒いにしても空気中の水分がこのサイズの氷になるほどではないし、万が一凍りついたのだとしても目の前にピンポイントで落ちてくるなどどれだけの確率なのか。


 わからない、全くわからない。

 転生してから分からないことだらけだったが、これは本当に分からない。ここに来てインターネットの便利さを思い知ることになろうとは。


「……」


 冷たい。口に含みたい所ではあるが、もう少し溶けてからにしようか。

 雪が積もり続けるような寒さの中で溶けるかと聞かれれば頷き難いが、流石に気温がマイナスということはないだろう。

 体感温度など狼の身では参考にならないし、温度計もない。不便だ。


 ……暇だな。雪景色も見飽きたし、雪で遊ぶのも飽きた。ほんと、ここはどこなんだ。寒い地域とか地理苦手だから分からないし。

 久しぶりに『水が飲みたい』と考えていたらコレだし。運がないというかなんというか─


 うん?あれ、氷が増えてる。


 ……ああもう!分かった!ここは地球じゃない!コレもどう考えても教科書に載ってるような現象じゃねぇし!映画で見るような魔法だろコレ!

 どうやって発動してるのかも何かリソースを使ってるのかも分かんないけど!


 はあ、地球じゃないか、そうか。つまり家族に会うことは本当にもうないと。期待してたけど、ないか。

 死ぬことに覚悟はしていたが、それはそれとして会えなくなるのは辛い。そうでなければ死など考えるわけもない。


 ともかく、この世界では創作物に登場するような超常現象が起こせるらしい。自分のような子供の狼でも使えるのだから、誰でも使えるものなのだろう。

 無法地帯がすぎるだろ。よく生態系が機能してるなこの世界。


 成長したらこの氷も大きくなるのだろうか。数も増えたりするのだろうか。そもそも成長するまで生きているかどうかも分からないが、未来は明るいものと思っておこう。


 あ、母さんが帰ってきた。今日は鳥?を咥えてる、未だにどんな鳥なのか全然分からない鳥だ。

 死体した見てないから仕方ないにしても、もう少し情報が欲しい所ではある。


 水は要らないのに食事は必要とは不可思議な生態だが、寧ろ便利なのだから複雑だ。

 でも水は飲みたい。早く解けないかな。氷。

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