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12.ひと(犬)にやさしく。


【名前】サンポ

【性別】男

【種族】魔犬

【年齢】2

【職業】蟲毒の覇者・ドラッガー・眠れぬ者・孤独を脱した忠犬 Lv.96


【体力】609002

【魔力】882110

【攻撃力】50329

【防御力】67733

【知力】800

【俊敏性】702


【スキル】暗視・嗅覚探知・毒無効・精神耐性・雑食・消費エネルギー半減・スタミナ効率高・薬効高・索敵・隠密

【主人】ヒルネ










「サンポ! ごめん! ごめんってぇ~~ッ!」

「ギャワン! ワォン!」


 僕は、自分がしでかしたあまりの所業に思わずサンポに抱き着いた。


 サンポはじゃれていると思ったのかお尻でくるんと巻いたしっぽを全力の速度で振って大はしゃぎだ。


 ううう、こんなに、こんなに可愛いサンポに僕は、僕はぁ……。



 サンポのレベルやステータスが高すぎるのはまあいい。


 いや、すっごくすごいけど、一旦置いておこう。


 それより、治安の悪すぎる職業欄やスキル欄が問題だ。


 なあにが、『僕、異世界に来たけど全然一人ぼっちじゃないや』だよ!


 孤独と戦ってたのはサンポだよ!


 蟲毒(こどく)で戦わせながら、孤独(こどく)と戦わせてたよ僕!


 "蟲毒の覇者"はともかく、"ドラッガー""眠れぬ者""孤独を脱した忠犬"って、可哀想すぎるだろ、ポーションガンギメで眠れぬ夜を一人で過ごしちゃってるよ!


 スキルもスキルで、毒耐性や精神耐性って絶対後天的なものだよね? 耐えたんだね? 耐えて耐えての耐性だね??


 それに雑食ってさ、僕も薄々気づいてたよ? ツボの中が完全に空って、テントとか寝具はどこ行ったのってさ。


 食べたんだね? 不定期にしか投入されない食料が尽きて、野営道具すら糧にしたんだね?


 時間が経過していたなら王都で仕入れた大量の食べ物はすぐ腐っただろうし、そんなものまで食べて、サンポはひたすら戦い強くなったんだね??


 少ない食事で戦い、ポーションを飲み、身を隠し、敵を探って生き残ったんだね?


 たった一人で。


「サンポ! サンポぉ! おいおいおいおい」

「ギャワン!」


 僕がサンポにしがみついておいおい泣いて、そんな僕を驚いて見ているギルド長たちはさっきより遠巻きだ。


「泣いててもほとんど表情変わらないって、あいつ世界を渡る時に表情筋落っことしてきたのか?」

「おいおい言う。珍しい」

「確かにの。実際おいおいと口に出して泣く奴なんぞ見た事ねえわ。それよりワシらにゃステータスが見えんのじゃから、早いとこ教えて欲しいもんじゃがなあ」


「おーいおいおいおいヒググシュンズルルル」

「ギャワワン!」


 僕はサンポに申し訳なくて抱きしめながら泣いて、そんな僕にサンポは嬉しそうに身をよじらせてじゃれ続けた。


 そうして、泣き疲れるまで泣きに泣いた僕は、やっと落ち着いてからギルド長たちにねだられてサンポのステータスを書き出した。


 数値だけで、職業欄なんかは書かなかった。


 生まれてからたった二年しか生きてないワンちゃんが得ていていい称号やスキルじゃないからね……。


 そう考えるとサンポは人生の半分以上を蟲毒で孤独に過ごしてたのか……。うぅ、ごめんよサンポぉ……。


「なっ、なんじゃこの、ななな!」

「いちじゅうひゃくせん……お、おっそろしい数字が並んでやがるぜ」

「ゴクリ」


 ギルド長とゴウショウさんとホサさんがサンポのステータス値が書かれた一枚の紙を取り囲んで狼狽しているのもよそに、僕はこれからは絶対サンポに寂しい思いはさせないと誓う。


 サンポからは僕への期待や信頼が感じられた。


 僕の事を、獅子が我が子を千尋の谷に落とすが如く、強くなるために厳しく鍛え指南した師匠みたいに思ってくれてるみたいだ。


 サンポが、強くなることを望むなら。


 僕は決めた。


「僕、サンポを強くする。もっともっと」

「ギャワン!」

「おいこら待て待て! 何言い出してんだヒルネ!」

「止めろ! 誰かこいつを止めるんじゃ!」

「ヒルネ、壊れた」


 僕はサンポの前に片膝を付くと前足を片方手に取った。


 キョトン顔のサンポはへっへっと舌を出して大人しくしている。


 お手みたいなポーズで向かい合う僕ら。


 僕は言った。


「最強を目指そう。もう一人じゃないよ」

「ギャワン!」

「ひええ、勘弁しろよおい、もう最強なんだよ分かれ、こら、聞け」

「もう駄目じゃぁ~、制御できん無茶苦茶なテイマーが誕生してしもうたぁ~」

「マイペース」


 僕とサンポの異世界旅は始まったばかり。


 僕はマイペースにサンポと行く。


 サンポが強くなりたいと、願うままに。


 僕の、本当の異世界生活はようやく始まったのだ。






「終わりじゃあ~、誰にも止められん化け物に話も聞かん主人が付いてしもうた~」

「──ホサ。こうなったら仕方ない。ピンチをチャンスに。ビジネスチャンスに変えてみせるぞ」

「分かった。腹くくる」



 僕らの旅はまだまだ続く!











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最後までお読みいただきありがとうございました。

軽く読めるマイペース主人公ものが好きです。同じ時間軸でサンポ視点か神様視点(ツッコミ属性)も書けたら書きたいと思います。


ブックマークや評価をポチリとしていただけますと非常に嬉しく、おいおい泣いて喜びます。ぜひ!


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