4.女神
(とにかく、今はすぐに冷静になれる。一つずつ問題を解決していけば、絶対、大丈夫なはずだ!)
冷静な俺は、過去の経験則から自信を取り戻して強く思考した。背筋を視線を落としたままで伸ばす。体を右側に慎重に振り向けて女神の絶世な足下を捉える。顔を恐る恐る上げ始めて女神の絶世な非常に優しい微笑みを捉える。
「こっ、ここは、いったい何処なのですか? あなたが女神ということは、俺は………、しっ……、死んだのでしょうか?」
「ここは、神々の暮らす神界とあなた達の暮らす世界との狭間になります。そして、あなたは死んではいません。あの路地からこの地に辿り着いたことは、あなたが特別な波長を持つためです」
慎重な俺は、言葉では表現が不可能な恐怖の中でしどろもどろになりながらも勇気を絞り出して疑問に尋ねた。表情を整えて俺を見つめる女神は、響く声色かつ非常に聞き取り易い発音で返事を戻した。
(りっ…、理解できない…。神々の暮らす神界…。そっ、そんな異世界が存在するのか……)
正常な俺は、思わず視線を女神から逸らして震える口元を同様に震える右手で強く抑え込みながら思考していた。現実を受け入れる。視線を女神に静かに戻す。俺を見つめている女神は、聖母のように微笑む。不思議と安堵な俺は、視線を女神から静かに外す。
(ここは、俺達が暮らす世界との狭間…、それなら、ここも異世界か。あの路地が異世界に繋がっていた。俺が特別な波長を持つからここに辿り着いた。そういうことか。だが、さっきの待っていたとはどういう意味だ?)
「その通りです。ここは異世界とも呼ばれる世界。先程もお話したように、波長の合う方のみが辿り着ける場所です。私はその方をずっと待ち焦がれておりました。あなた様がその方なのです。あなた様には、私の世界を調べてほしい。どうか私の願いを、聞き入れては頂けないでしょうか?」
「ちょっ…、ちょっと待て!! 俺はまだ、この場所のことと自分が死んだかどうかしか聞いてない!! それなのに!!!」
冷静な俺は、思わず震えを止めて疑問に思考していた。表情を戻している女神は、再び響く声色かつ非常に聞き取り易い発音で話した。恐怖な俺は、思わず鼓動が張り裂けんばかりに波打ち始めて全身を激しく震わせながら女神に怒髪天かのように大声を上げていた。沈黙の女神は、頭を下げる。頭を戻し、再び聖母のように微笑む。
「くっ!」
混乱な俺は、思わず脳に違和感を覚える中で視線を左側に逸らすと同時に苛立ちの声を強く漏らしていた。
(どういうことだ? こいつ、俺の考えてることに対して正確に答えた………。まさか、心が読めるのか?!)
不快な俺は、思わず表情をしかめたあとに視線を鋭くして疑問に強く思考していた。感情が正常に戻り始める中で視線を聖母のように微笑む女神に慎重に戻す。
「しっ…、調べるのか?」
「はい。私の世界は魔王が存在します。魔王は3年前に討ち滅ぼされた。そして、世界に一時の平和が訪れた…、そのはずなのですが………。何故か今、非常に違和感を持つのです…」
「違和感? どういう意味ですか? それに……、女神のあなたが分からない事を俺が分かると言うのですか?」
「………」
不安定な俺は、言葉を詰まらせながらも疑問に尋ねた。先程と同様な声色で返事を戻す女神は、表情を整えつつ話し始め、途中から目を伏せて話し終えた。不満な俺は、強めたい語気を抑え込みながら両腕でジェスチャーしつつ疑問に尋ねた。目を伏せている女神は、微動だにしないで沈黙を続けた。
(話が見えない…)
失望な俺は、両こめかみを左手で押さえて思考した。女神を指の隙間から窺うが変化はない。
「あなたでは、調べることはできないのですか?」
「はい。私では、魔王に関する事を調べることはできないのです」
「魔王は、倒されたのでは?」
「魔王は魔素から生まれます。倒しても完全に消滅するということはないのです」
複雑な俺は、引き続き女神を指の隙間から窺いながら疑問に尋ねた。同様な声色の女神は、淡々と返事を戻した。慎重な俺は再び疑問に尋ね、同様な女神も再び淡々と返事を戻した。不安定な俺は、目を閉じて眉間に皺を寄せ始める。
(ダメだ~。さっぱり分からない。魔素ってなんだ? ゲームとか小説にあるやつと同じか?)
精神崩壊な俺は、思わず体を女神の御前と理解しながらも左側に投げやりに向けて天を仰ぎつつ疑問に思考していた。両手を腰に当てて顔を左右に振り始める。
『パン!』
「そう、そう、それです! そんな感じなのです!」
(びっくりしたな~。なんだ? 急にフレンドリーになったぞ?)
突然、女神は手を胸元で強く叩いて大きな音を立てた。続けて、表情を明るくすると同時に前のめりになりながら普通の女性の声色の言葉を弾ませつつ強く話した。不意な俺は、思わず音と女神の豹変に二度驚きながらも正常に疑問に思考していた。得意な様子の女神は、姿勢を戻すと同時に左手を腰に当て、右手の人差し指を胸の前方に立てる。
「急に~、異世界に行って~、調べてほしいなんて~、言われても~、困りますよね~。どう説明したらいいか~、分からなくて~、悩んでたんですよ~。でも~、あなた達の世界なら~、そういうゲームとか~、小説とか~、流行ってるじゃないですか~。だから~、それを知ってる人なら~、すぐに~、分かってもらえるって~、思ってたんですよ~」
澄まし顔で目を伏せる女神は、人差し指を左右にリズム良く揺らしながら明るくて元気で語尾を気分良さげに間延びして話した。
(なっ………、なんだこいつは?!! これじゃあさっきまでの俺が、まるでバカみたいじゃないか!!!)
怒髪天な俺は、思わず言葉では表現が不可能な限界の怒りの感情の中で両手をグーに力いっぱい握り潰すように渾身の力で固めて狂おしく思考していた。
(こいつ…、どう転がしてやろう………)
悪魔な俺は、思わず津波のように押し寄せる脳の違和感を豪快に跳ね除けて女神をありとあらゆる負の感情を乗せた視線で見つめて究極に軽蔑すると思考していた。
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