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スキルマスター  作者: とわ
第一章 ムーン・ブル編

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28.安宿の部屋


「部屋に案内しますね」


「頼む」


 笑顔の少女は、どこか浮かれているようにして話した。期待な俺も、同様にして話した。店内の右奥側に振り向く少女は階段に向い、平穏な俺はあとに続く。階段を上り始める。


(この感じなら、部屋も奇麗そうだな)


 妄想な俺は、開いている階段窓の明かりを頼りに清潔感を覚えて思考した。清潔なL字階段を上り、二階の清潔な通路に辿り着く。後ろ姿が楽し気な少女は、右側の閉じている二つの引き扉の前を通り過ぎて三つ目の開いている引き扉の前で俺に振り向く。


「お部屋は、こちらになります」


 明るい笑顔の少女は、手の平を上に向けた右手で部屋の中を示して話した。待望な俺は、右手を扉枠に突いて部屋の中を覗き込むようにして確認する。部屋は、横幅が2メートルほどで奥行きが3メートルほど、奥側の壁に小窓とその下側の横向きにベッドが一つずつ。


(窓は一つだったか~。安宿の部屋を舐めてたな…)


 落胆な俺は、思わず表情を歪めて何事も目に見えているもののみで判断してはいけないと思考していた。


「気に入らなかったでしょうか…」


 不満な俺は、右下側からの少女の弱々しい声を耳にした。顔を少女に向ける。俯き始める少女を確認する。そして、


(あっ、顔に出てたか…)


 うっかりした。


(子供の前で…、しまったな…)


 後悔な俺は、顔を上側に向けて思考した。表情を整えながら少女を横目で確認する。


「それなら、隣の2人部屋が空いてます!」


「この部屋でいいよ。残念だけど、俺は冒険者だから部屋は寝る時にしか使えないんだ」


 顔を上げる少女は、真剣な眼差しで接客を頑張る声を強く上げた。超集中な俺は、頭を超高速回転して再び部屋の中と少女を横目で確認しながら言葉使いに超注意しつつ明るく話した。少女は自信を取り戻すかのように表情を明るくする。


「あっ。えっと…」


 思い出したかのような表情を見せる少女は、俯いて自分の上着の右ポケットを探りながら呟いた。ポケットの中から何かを取り出す。


「こちらが鍵です。無くす人が多いので、無くさないようにしてください」


 笑顔の少女は、鍵を両手で俺に差し出して話した。不意な俺は、瞬間に心拍数を跳ね上げるが鍵を受け取る。


(懐かしいな。昔、銭湯で見たやつだ。だが、子供に無くさないようになんて言われるなよな…)


 懐古な俺は、思わず目を見張ると同時に鍵を手触りから木製と判断し、苦笑しながらも祖父との思い出に浅く浸りつつ無くさないようにと思考していた。視線を部屋の中に移す。


(まあ、今は贅沢は後回しにして装備と着替えを揃えるか)


 現実な俺は、改めて小窓とベッドと部屋の狭さを確認して思考した。体を少女に向ける。


「ありがとう。気を付けるよ」


「はい。次は、部屋の使い方を説明するので、中に入ってください」


「ん? 部屋の使い方?」


「はい」


 納得な俺は、笑顔を少女に見せて明るく話した。明るく返事を戻す少女は、部屋の中に移動しながら話した。不意な俺は、思わず少女を視線で追いながら疑問に尋ねていた。立ち止まる少女は、俺に振り向いて返事を戻した。上着の左ポケットの中から何かを取り出す。


(なんだろう? 何か気を付けるようなことがあるのか?)


「私の隣に立ってください」


 不安な俺は、思わず部屋の中を見回しながら疑問に思考していた。何かを胸元に両手で握り締めている少女は、真剣な表情で話した。困惑な俺は、少女の手元を窺いつつ左隣に向かう。


(リモコン?)


 混乱な俺は、思わず少女の左隣に立ちながらリモコンのような物を覗き込みつつ疑問に思考していた。


「いきます!」


 意気込む少女は、前方を見つめて強く話した。両腕を前方に伸ばしてリモコンのような物のボタンを親指で押す。


『ピッ』


 前方から電化製品の反応したかのような音が届いた。漠然な俺は、視線を前方に移す。引き扉が左側から右側へとゆっくり動いている。


『カチャ』


「なんだ?」


 閉じる引き扉から金具の噛み合うような音が届いた。混乱な俺は、思わず声を疑問に上げていた。


「部屋のドアは、このボタンを押すと開けたり閉めたりできます。鍵はこのボタンで」


『ピピピッ』


『ガチャ』


「閉まりました。もう一回押すと」


『ピピッ』


『ガチャ』


「開きました。音が違います」


 真剣な様子の少女は、リモコンと引き扉を交互に見つめながら身振り手振りを交えて話した。電化製品の反応するような音と金具の噛み合う音が届いた。呆然な俺は、思わず事態を只々漠然と見つめていた。




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