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スキルマスター  作者: とわ
第一章 ムーン・ブル編
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30.窓


(安宿を舐めてたな…。お掃除いらずに屋根いらずに…)


 動揺な俺は、思わず渋面でテレビからかっこよく飛び出すゴーレムを見つめて自分は井の中の蛙と思考していた。そして、


(あっ、屋根はいるか)


 うっかりした。


(かなり動揺してるな…)


 引き続き動揺な俺は、再び思わず渋面で思考していた。


「良かった~。ちゃんとできたよ~」


 顔を戻す少女は、両腕を上下にはしゃぐように動かしながら話した。


「ちゃんとできた?」


「はい! 最初は心配だったんです!」


 困惑な俺は、視線を少女に移して疑問に尋ねた。興奮な様子の少女は、顔を俺に向けて明るい笑顔で元気に返事を戻した。そして、


「あっ、ちゃんとできてなかった!」


 うっかりしたようだ。


「三つ忘れてました。えへへ…」


 顔を戻す少女は、俯きながら恥じらうようにして話した。もじもじし始めて戸惑うかのようにする。


「忘れた三つを、教えてくれるか?」


 大人な俺は、助け舟を出すかのように疑問に優しく尋ねた。ピクリと体の動きを止める少女は、顔を俺に恐る恐る向ける。平穏な俺は大人の笑顔を見せ、表情を明るくする少女は子供の笑顔を見せる。


「えっと、一つは…」


 平穏な様子の少女は、視線を窓側に移して話した。体を窓側に向ける。引き続き平穏な俺も、体を窓側に向ける。同様な俺と少女は、顔を見合す。


「この部屋は、蚊とか小さな虫は入ってきません」


「んっ?!」


(この世界、蚊が居るのか?!)


『ピッ』


 明るい様子の少女は、再び子供の笑顔を見せて話した。動揺な俺は、思わず歪な大人の笑顔を見せると同時に歯を食いしばりながら声を漏らし、眉尻をピクピクと痙攣させつつ疑問に強く思考していた。笑顔の少女がボタンを親指で押し、窓から音が届いた。窓は、観音開きに外側へと静かに開く。新鮮な風が室内に吹き込む。


「こうやって、窓を開けておいても大丈夫です」


 新鮮な風に吹かれる少女は、顔を窓側に戻して得意に話した。同様な俺も、顔を窓側に戻す。


(ふう~。色々疲れたが、まさか窓まで自動とは…。しかも、これは素晴らしい! 網戸がなくて蚊が入ってこないのは、超最高だな! 網戸は、やっぱり風通しが悪くなるし、景色を眺める時に邪魔だからな)


 安堵な俺は、思わず風に紛れて溜息を漏らしたあと、鮮明な街並みを感無量に見つめて思考していた。


「もう一つは、音を遮断します。窓の右側のランプを見てください」


『ピッ』


 真剣な様子の少女は、視線を窓の右側に移して話した。ボタンを親指で押し、小さめな丸形のランプから音が届いた。ランプは、青色に点灯する。


「青色のランプが点いてると、部屋の音は外に漏れません。ボタンをもう一回押して」


『ピッ』


「赤色のランプが点いてると、部屋の音は外に漏れなくて、外からの音は聞こえなくなります」


(これは、アパート暮らしの人には、喉から手が出るほどに欲しい機能だな…)


 引き続き真剣な様子の少女は、右手を上下に話し話の内容を一つずつ確認するかのように動かしながら丁寧に話し、ボタンを親指で押して再び同様にして話した。関心な俺は、思わず腕組して思考していた。


「もう一つは」


 安堵な様子の少女は、体を背後に向けながら話した。洗面化粧台へと小走りする。困惑な俺は、背後に振り向いて少女を見つめる。洗面化粧台に到着する少女は、俺に振り向いて満面の笑みを浮かべる。


「この洗面化粧台、凄いんです! リモコンでお湯を貯めることができるんです! 朝の、眠たいけど顔を洗わないといけない。そんな時に、わざわざここまで来てお湯が溜まるのを待たなくてもいいんです!」


「横着か!」 


 興奮な様子の少女は、両手で洗面化粧台を際立たせたあと、目を擦りながら眠たさの演技を行い、歓喜に飛び跳ねつつ強く話した。唖然な俺は、思わず前のめりで右腕をツッコミのように伸ばして強く話していた。ビクリとする少女は、体を強張らせながら表情を青くする。


(しまった! この世界で、しかもあの年頃の子にツコッミはまずかったか!)


「ごっ、ごめんなさい! 部屋の説明は、昨日お父さんに教えてもらって…、初めてだったんです!」 


 動揺な俺は、猛省して強く思考した。青ざめている少女は、頭を直ちに深く下げて猛省かのように謝罪の声を強く上げた。


「あっ、あっ、謝る必要はないよ。こっちこそ、強い口調で言ってごめんなさい。俺は興奮してたみたいだ。お父さんに教えてもらったんだな。それなら、お父さんはよっぽど横着なんだなあ~。はっはっは~」


「いっ、いえ、私が…、考えました……」


 猛省な俺は、謝罪したあとに少女を励ますような身振り手振りを交えて話した。姿勢を静かに戻す少女は、俯きながら恥じらうようにして話した。


「えっと…、朝寝坊してる秘密が見つかっちゃうと思って…。お父さんのせいにしようかなって…」


「…」


 恥じらう様子の少女は、もじもじし始めて戸惑うかのようにして話した。困惑な俺は、思わず沈黙していた。


「こんな時に、入れる保険ってありますか?」


 混乱な俺は、思わずそのような言葉を思い出して疑問に呟いていた。窓からは、先程から冷たい風が吹き込んでいた。




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