26.ムーン・ツリー
呆然な俺は、予期しない賑わう人々を目の当たりにして思わず足を止めてしまう。
(来た時よりも、かなり人が増えたな)
平穏な俺は、思わず頬を緩めて思考していた。
「ヒヒーン!」
「ブルル」
右側から二頭の馬と思われる声が届いた。困惑な俺は、顔を右側に向ける。城門から二頭の馬が歩き始める。馬の背後に馬車が窺える。
『ガラガラガラ』
(おっ、おおっ、おおおーっ! あれが生馬車か!)
キャリッジ風の貴族が所有するような褐色を基調とする四輪馬車の車輪から夢のような音が届いた。感動な俺は、思わず目を見張りながら声を上げるように思考していた。前方を通過する馬車を凝視する。
(やっぱり馬車はいいな~。これこそ俺の浪漫だ! いつか絶対に手に入れよう!!)
感激な俺は、思わず両拳を固めて力強く思考していた。左奥側へと進む馬車の背後を見送る。馬車の背後の遠方に枝葉が傘のように広がる母性を覚えるような巨大な木を発見する。
(あれがムーン・ツリーか!)
興奮な俺は、思わず右足を一歩踏み出して前のめりで強く思考していた。ムーンツリーを眺める。
(個性的だ! 面白い!)
関心な俺は、思わず笑みを浮かべてマリーの話の通りと強く思考していた。階段を軽い足取りで下る。森の宿を目指して南大通りを北に向かう。街並をしばし楽しむ。
(街並みも温かいな~)
高揚な俺は、思わず表情を豊かにして思考していた。
街並は、妻側を見せる二階建ての建物が大通りの左右に並ぶ。建物は、店舗が所々に見られ、その他は住居と推測される。外観は、外壁の色が、ベージュ、オレンジ、ブルー、グリーンなどなどとカラフルな色相と、木製と思われる柱や梁や筋交いが外部に露出するデザイン。全体として冒険者ギルドと類似する温かい印象を受ける。
(いろんな色の建物があって見てて楽しいが、何か引っ掛かるな…)
困惑な俺は、思わず周囲の建物を見回しながら顔をしかめて思考していた。不意に目元に掛かる柔らかくウエーブする金髪サラサラヘアーを右手で掻き上げようとする。
(そうだ髪の色!)
恐怖な俺は、思わず歩きを止めると同時に掻き上げる右手も止めて強く思考していた。視線を賑わう人々の髪に移す。人々の髪は、街並みに合わせているかのようにカラフルな色相。
(皆カラフルだ。これなら金髪でも目立たないな)
安堵な俺は、掻き上げる右手を再開して柔らかくウエーブする金髪サラサラヘアーを優雅に跳ね上げて思考した。歩きも優雅に再開し、視線をムーン・ツリーの周辺に移す。
(あれが環状通りか)
優雅な俺は、地図の大通りを思い出して思考した。地図の大通りは、東西南北の城門から直線で街の中心に位置する環状通りに繋がる。視線を環状通の内側に移す。
(子供が走り回ってて元気だな。出店があって大人はベンチで寛いでるから、中は公園みたいな場所か?)
関心な俺は、思わず表情を穏やかにして思考していた。視線をムーン・ツリーに移す。
(それにしても、やっぱりバカデカいな~)
唖然な俺は、目前に迫るムーン・ツリーを見回しながら思考した。
ムーンツリーは、どっしりとしている太い幹から複数の力強い枝を環状通の外側を囲む建物を越えて伸ばし、枝から無数の小枝を生命力豊かに伸ばして青々とする葉を雄大に茂らせる。
(優しいな。木漏れ日も奇麗だ)
感動な俺は、枝葉の下側へと向かいながら上側を見上げて思考した。柔らかい木漏れ日が雄大に茂る葉の隙間から降り注ぐ。
(不思議だな。これだけで森林浴みたいに瑞々しい)
安堵な俺は、上側を見上げたままで目元を優しく細めて環状通りを西側へと向かいながら自然は素晴らしいと思考した。
(これは、あれだな。この木なんの木気になる木の、バカデカいバージョンだな)
大満足な俺は、思わず首が疲れながらもCMでお馴染みのそれを思い出して思考していた。後ろ髪を引かれつつも首と目元を戻す。環状通りから西大通りへと抜ける。南大通りと類似の街並をしばし楽しみながら森の宿を目指す。左前方に花屋を発見する。手前側の路地を確認する。
(あれを左か)
平穏な俺は、マリーの話を思い出して思考した。花屋の角を左折する。
(ここも瑞々しいな。いい匂いだ)
感賞な俺は、思わず花を購入していた過去を思い出して思考していた。再び後ろ髪を引かれながらも路地をしばし進む。右前方にに三角型の看板を発見する。看板の前で足を止める。看板は、森の宿の店名と宣伝のようなものがアットホームに描かれている。
(ここだな)
慎重な俺は、視線を森の宿の建物に移して思考した。
初心者です。
☆を付けていただけると嬉しいです。
ブックマーク登録もして頂きたいです。
アルファポリスで読んでもらえると非常に助かります。




