17.3年前
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今は22話の戦闘が終わったところまで修正してあります。
お辞儀するマリーは、背後に振り向いて前屈みになる。
「よいしょ」
お尻を見せているマリーは、上半身と倒れている椅子を起こしながら声を漏らした。椅子をカウンターに戻してこちらに軽く微笑み、再び背後に振り向いてこの場所から離れて仕事を始める。
(困ったな)
呆然な俺は、思わず視線を落としながら左手を顎に当てつつ思考していた。視界にカウンター上の白色のカードが映る。カードを右手に取る。
(本当に困ったな…)
困惑な俺は、無地のカードの表側を見つめて思考した。右手首を返して裏側も確認する。無地だ。
(せめて、ギルドの説明ぐらいはあると思ってたが…)
「これも最高だよ!」
複雑な俺は、カードをパンツの右ポケットに仕舞いながら想定外と思考した。バーの方向から先程の女性の冒険者の声が届いた。思わず顔をそちらに向けてしまう。何かを満足気に頬張る冒険者は、白いナプキンを胸元に身に付けている。
「お待たせいたしました。こちらも本日のサービスですよ」
清楚な女性のバーテンダーが、分厚いステーキが載る鉄板焼きを冒険者の前方に用意しながら話した。紳士な男性のバーテンダーが、銀色のソースボートを右手に用意して女性のバーテンダーと立ち位置を交代する。
「貴重な食材ですよ」
魅惑な男性のバーテンダーは、ソースボートをステーキ上に運びながら話した。静かに傾けるソースボートから食材をふんだんに摩り下ろして作られたであろう茶色のとろみのあるソースが優雅に流れ落ちる。
『ジュッワアァァ』
「うっひょ~、うまそう!」
湯気を上げる鉄板から凶器の音が届いた。目を見開く冒険者は、前のめりでステーキを見つめて声を上げた。口元を袖で拭う。
「これ知ってるよ。最近噂の肉に見えて実は肉じゃないってやつだろう。サンキュー!」
ステーキに夢中な冒険者は、フォークとナイフを左右の手に用意しながら再び声を上げた。優しい目を見せる男女のバーテンダー。圧勝かのような笑みを浮かべる冒険者は、ステーキを大きめな一口サイズに切り分ける。肉汁とソースが滴る一口サイズのステーキを頬張る。直後、背筋を伸ばして目を力強く閉じる。
「う~めぇぇぇ!」
唇の潤う冒険者は、唸りながら顔を上側に向けて目を見開くと同時にヤギのような声を高らかに響かせた。
「まーじで溶けるな!」
昇天の様子の冒険者は、姿勢を戻しながら語気を強めて話した。フォークを残りのステーキに突き刺す。肉汁とソースが煌めく大きなステーキを口元に運ぶ。一口がステーキを溶かすかのようにして消滅させる。更に二口三口がステーキを消滅させる。
(また何食べてんだ!?)
狂気な俺は、思わず両手を凶器にして疑問に強く叫ぶように思考していた。体もバーの方向に向ける。
(この際、あそこで一杯やりながら情報を集め…、いやいや、さすがにいきなり飲んだくれはダメ…、いやいや、冒険者ならそれぐらい許され…、いやいや…、いやいや…)
超葛藤な俺は、思わず全身をあれこれと動かしながら思考していた。
(ああもう、ステーキ食べたい!)
「あの~」
混乱な俺は、思わず力む両腕を下側に勢いよく振り下ろしながら強く思考していた。右側から細い声が届いた。顔を右側に向ける。マリーの顔が間近に映る。
「うわっびっくりした」
「クス」
驚愕な俺は、思わずたじろぎながら言葉を漏らしていた。カウンター上に身を乗り出しているマリーは、顔を左側に向けると同時に口元を右手で隠して声を漏らした。
「何かと初めてのようなので、いろいろ説明しましょうか?」
「おおっ、ステーキ食べる!」
顔を戻すマリーは、微笑みながら疑問に尋ねた。歓喜な俺は、思わずマリーの右手を両手で熱く握り締めて強く返事を戻していた。そして、
「あっ、間違った」
うっかりした。
「クス」
(いかん。ステーキとギルドが一緒になった。今はギルドの事に集中しよう)
「助かる!」
顔を左側に向けるマリーは、再び声を漏らした。羞恥な俺は、顔を右側に逸らして迂闊と思考した。顔を戻して改めてマリーの右手を両手で熱く握り締めて強く返事を戻した。
「いいのよ! 正直者が正直に話せない未来なんて、この世の終わりになるんだから!」
「はへ?」
手を熱く握り返すマリーは、顔を戻して真剣な眼差しで強く話した。混乱な俺は、思わず素っ頓狂な声を疑問に漏らしていた。微笑むマリーは、手を放して姿勢を戻す。身なりを整えてこちらを見つめる。
「3年前に、魔王が倒されたでしょう。でも実は、その前から世界でいろいろな事が起きてて、今も戦争が続いてる場所があるの。そのせいで、あなたみたいに学校に行けない子供は多いの。今までからかわれたりしてきたかもしれないけど、これからは私に分からないことを何も恥ずかしがらなくて素直に聞いていいのよ」
(う~ん…、俺は素直だからいいが、戦争のことは聞いてなかったな…。戦争は…、絶対にやらない方がいいんだけどな…)
身振り手振りを付けて話し始めるマリーは、優しい微笑みを見せて話し終えた。複雑な俺は、思わず顎に手を添えると同時に視線を落としながら戦争を経験した祖父母の話を思い出して思考していた。
「嫌な事を、思い出させたかしら?」
視界に映り込むマリーは、こちらを窺うように見つめて疑問に尋ねた。
(この事は、これから考えよう)
「大丈夫だ」
冷静な俺は、マリーの心配そうな表情を見つめて思考し、前向きに返事を戻した。
「わかったわ。それじゃあ説明に移るわね?」
「ああ、頼む」
微笑むマリーは、姿勢を戻しながら疑問に尋ねた。前向きな俺は、気持ちを整理して返事を戻した。
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