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スキルマスター  作者: とわ
第四章

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89.回想:初めての連携技


 俺は部屋に戻り休憩をすることにした。ロンドも同じ部屋なので一緒にいるのだが、疲れたのかベッドの上で横になっている。


 俺もベッドで横になり先ほどの話を考えた。


 実は先ほどの話で、皆には話していないことがあった。あれ以上は推測の域を離れ、憶測の話になってしまうからだ。


 何を話していないのかというと、日本にいた時の知識だ。その知識では、火というものは原子や電子の動きによっておこる熱エネルギーと光エネルギーで出来ている。ここでいつも引っかかる。エネルギーとは何か?

 

 細かな事は省くが、火はこの原子や電子がくっつく力が大きくかかわっている現象だ。くっつく力と言えば引力。引力と言えば重力。どうもここの繋がりが分からない。


 それともう一つ。エネルギーと言えばダークエネルギーだ。これは宇宙にあるエネルギーで謎のものである。闇魔法とはこれのことなのか?


 連携技にも闇魔法を使うものがある。それが【漆黒】だ。漆黒の発動条件はこうだ。


 漆黒:土→氷→風→闇


 属性付きの攻撃を、土属性→氷属性→風属性→闇属性の順番で当てていくということなのだが、この現象を説明しろと言われたら説明できない。


 更に厄介なのが、連携技には先ほどみんなに話をした7種類だけではないということ。他にも種類があると本には書いてあったが、詳細については不明だった。


(色々考えてみたが、今はこんな分からない理屈を考えるよりも、連携技を使えるようになることの方を優先しないとな。皆には適当な説明で切り上げたが、いつかはこの謎も解いた方が良い時が来るのかもしれないが…)


 俺も疲れたので、そのまま少し眠ることにした。



 ◇



 皆で昼食をとってから、俺達はゴールド・ダンジョンの1層へと向かった。


 ロンドとシルフィーは1層へ行くのは初めてなので、楽しみにしているという感じだった。


「それじゃ、中に入るぞ~」


 俺は皆に声をかけた。


「うん!」


「懐かしいね~」


「初めて入った時から、3か月? 4か月ぐらいたつのかしら?」


「忘れたな~。この街に来たのが夏の初め頃だったから、そのぐらいかな?」


「僕は初めてだから、楽しみだよ~♪」


 シルフィーは先ほどから俺達の周りを飛び回っている。


「ロンドはどうなんだ?」


「もちろん楽しみだ。新しいものを見るのは面白い」


「そっか。それなら良かった。だが、今回はモンスターは倒さないけどな」


「そうなの?」


 俺の言葉にモモが聞き返してきた。


「ああ。詳しい事は中に入ってから話すよ。さあ、皆、行こうか」


 俺はそう言ってダンジョンの中へと足を進めた。





 久しぶりのこの場所は優しい風が迎えてくれた。草原の風はとても気持ちが良かった。


「それじゃ、付いて来てくれ」


 俺はそう言って先頭を歩き始めた。


「どこにいくの?」


 モモがまた尋ねてきた。


「あそこだ」


 俺は木々の立っている方を指さした。


「あそこで何をするの?」


 今度はリリーが尋ねてきた。


「もちろん、連携技の練習だぞ」


「あんなところに、そんな練習をできる場所なんてあったかしら?」


 アイラは首をかしげている。


「行ってから説明するよ。それと、もしモンスターが出たら各自で倒してくれな」


 ゴールド・ダンジョンの1層の入り口の付近はめったにモンスターは出ない。出たとしてもゴブリンなので、各自でモンスターを倒してもらうことにした。そして、少し歩いて目的の場所へ辿り着いた。


「この辺りで良いだろ」


 そこは、木がまばらに生えている場所だった。


「ここでどうやって連携技の練習をするんだ?」


 ロンドがそう言った。


「この木を相手にスキルの練習をするのさ」


 ロンドは顎に指を当てながら少し考えるようなしぐさを見せたが、


「なるほど。そういうことか」


「どういうこと?」


 シルフィーがロンドに尋ねた。


「ダンジョンの木なら切ってもまた生えてくるから、この場所を選んだんだな?」


「そういうことだ」


 皆も分かったようで頷いている。


「お兄ちゃん、あったまいい~!」


(まあ、これは、ゲームの時の練習で使うカカシを思い出してここに来たんだけどな)


 ゲームからの受け売りだということは隠すことにして、俺達は連携技の練習を始めた。





「エ~ン。難しいよ~」


 リリーが泣いている。


 俺達は、まずは【灼熱】の連携技の練習をした。これは、俺とモモはスキルマスターとニュータイプというスキルを持っているので、ピンチの時でもなんとかできるが、リリー、アイラとロンドはそう言った技を持っていないため、先に、強力な連携技を覚えてもらうことにした。


 そして、連携技の最後は、その範囲や安定してタイミングを計れるということで、必然的にリリーやアイラがやることになった。アイラは女神のスキルで相手の考えが何となく分かり、今までも、連携魔法を使っていたので、比較的すぐに、連携技も出来たのだが、リリーは別だった。


 リリーは今までの連携魔法の時は、アイラが合わせる役をやっていたので、今回、初めての合わせる側に回って、今は苦戦を強いられていた。その結果、泣き出してしまった。





 一方、俺とモモはというと2人で新しい連携技を試していた。俺が新しく覚えた【スタンシールド】のスキルを使って何か出来るのではないかと考えたからだ。


 【スタンシールド】は相手を気絶させるスキルなのだが、効果時間はそれほど長くない。そして、このスキルは、どうやら相手に電気を流すような感じのもので、雷の属性があった。属性が付いているのなら何かに使えないかと思い、試している最中だ。


「もう一度やってみるぞ」


「いいよ~」


【スタンシールド】


 俺は盾を木に密着させながらスキルを使った。


『ビリ』


 続けてモモもスキルを使う。


【アイススラッシュ】


『ビリビリ!』


 少し木の焼けた匂いがした。


「どう? お兄ちゃん」


「ん~。成功と言っても良いか?」


 俺の返事は微妙だった。


 【スタンシールド】の雷属性と、【アイススラッシュ】の氷属性で、電気と水をイメージして試してみたのだが、期待をした攻撃力にはならなかった。だが、ただ相手を一瞬気絶させるだけのスキルが連携技にも使えそうな感じはした。


「二つだけだと弱いな」


「そうだね~。何かもう一つ合わせたら違ってくるのかもしれないね」


 結果があまり伴わなかったが、モモはいつも通りにニコニコとしてくれた。


(何かに使えそうではあるが、無理に使う技ではないな。モモの言う通り、もう一つ何かあれば違ってくるのかもしれないが…。盾のスキルに何があるかをもう一度調べた方が良さそうだな)


「リリー達の方を見に行ってみるか?」


「うん。向こうは出来たかな?」


 俺は一度考え方を変えようと思い、今回の実験はここまでにすることにした。





「リリーは大丈夫か?」


 俺はリリーが落ち込んでいたので声をかけた。


「やっぱり難しいわね。なかなか上手くいかないわ」


 アイラがそう言って渋い顔をした。


「どんな感じなんだ?」


「タイミングが分からないみたいなの」


「そうなのか?」


 俺はリリーに尋ねた。


「うん。アイラが言うには、『そこ!』とか、『今よ!』って言うんだけど、よく分からなくて…」


(なんだその教え方は…。『そこ!』とか言った時には、タイミングとしてはもう遅いんじゃないのか?)


「リズムに合わせてやるんだよ~」


 空から見ていたシルフィーがそんなことを言った。


「どういうこと?」


 リリーが尋ねる。


「こうやってね。タン、タン、タン♪って感じで風に乗るような感じで一定のリズムを取るの」


 シルフィーは風に乗りながら踊るようにしてそう話した。


「でね、タン、タン、タンの3回目で魔法を撃つんだよ」


(誰だこれは!? シルフィーなのか? 今までのキャラと全然違うような気がするが?)


 俺は驚いたのでシルフィーに尋ねた。


「どうしてそんなことが分かるんだ?」


「だって。僕はいつもそうやって風に乗っているから♪」


(なるほど。シルフィーがいつも飛んでいるのは羽を使ってというよりも、風に乗って飛んでいるという感じだ。ひょっとしたら属性について詳しいのか?)


 俺はまたシルフィーに尋ねた。


「シルフィーは属性について詳しいのか?」


「属性? よく分からないけど、魔法を使うといろんな色が見えるよ」


 これは驚いた。シルフィーは魔力が見えているのかもしれない。


 この話を聞いたリリーとアイラも鳩が豆鉄砲でも食らったかのような顔をした。


 この話に興味がわいたが、今は連携技の練習をしないといけないので、話を一度戻すことにした。


「少し話がそれたが、リリー。今シルフィーが言った感じでもう一度試してくれないか?」


「あ。うん。タン、タン、タンだね。わかった。やってみる」


 そして、ロンドとアイラとリリーの連携をもう一度試してみることになった。





「いくぞ」


「うん」


「いつでも良いわよ」


 そう言って、ロンド達は順番にスキルを放った。


【ファイアショット】


【サイクロン】


【ストーンショット・灼熱】


『グゴォォォォォ!!!』


 その威力は凄まじかった。


 灼熱が発動した木は上から下まで炎に包みこまれ、やがて燃え尽きると、木は一本の炭のようになってしまった。


 皆、口を開けてそれを眺めていた。


「驚いたな」


「うん。凄いね」


「すごーい!」


「凄まじいな!」


「あんなになっちゃうのね!」


 こうして、リリー達は初めての連携技を成功させることが出来た。





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