86.回想:ステータスの確認 その1
俺はご機嫌だった。
馬車の材料を馬車屋へ渡し、後は完成するのを待つだけだったからだ。
「嬉しそうだね」
モモが俺に話しかけてきた。
「そりゃな。後は待つだけだからな。このまま寝て過ごしたいくらいだ」
「そんなこと言って。まだやることがあるでしょ」
「馬車の旅はしっかりと準備をしないと、後で後悔をするぞ」
アイラとロンドがそう話す。
「わかっているさ。ただ少し、ダラダラしたいと思っただけだ」
馬車の件が終わったので俺は気が抜けていた。だが、やらないといけないことはまだ山ほどあることは理解をしていた。
「これからどうするの?」
リリーが俺に尋ねてきた。
「ロンが言ったみたいに、まずは、必要な物の買い出しだな」
「お買い物~♪」
そう言って、シルフィーは嬉しそうに飛び回った。
「買い物はどこでするんだ?」
ロンドが俺に尋ねた。
「買い物は、とりあえずエルフヘイムの店を回ってみよう。その後、足りないものはアクアンシズで買い足して、ダンジョンに入る予定だ」
「またダンジョンに入るの?」
「何するの?」
アイラとモモが首をかしげながらそう話した。
「俺達のレベルも上がっただろ。だから、次からの戦闘の練習をする予定だ」
「練習って?」
リリーも首をかしげて俺に話しかけてきた。
「連携技の練習だ」
俺達は今までも魔法の連携技は使っていた。ただこれは、魔法でしか連携が出来なかったからだ。
馬車造りのためにゴールド・ダンジョンに籠って約3週間。この間に、俺達のレベルやスキルのレベルも上がっている。スキルのレベルは25を超えると属性付きの技を覚えるようになってくる。そして、属性付きのスキルは魔法と同じように連携が出来るのだ。
「俺は属性付きのスキルを覚えたが、皆も使えるようになっているだろ?」
「まだ全部は確認していないけど、私も属性付きのスキルを使えるよ」
モモも無事に属性付きのスキルを使えるようになっているようだ。だが、全てを把握している訳ではなさそうだ。
「買い出しが終わったら、一度、お互いのステータスを確認しておこう。連携技も色々組み合わせがあって、皆のことを確認しておかないとうまくいかないからな」
「わかった」
「うん。わかったよ」
「それなら、買い出しも、あまりゆっくりはしていられないのね」
「そういうことになるな」
「お兄ちゃん、さっきダラダラしていたよ」
痛いこと言う…。
俺はモモをくすぐっておいた。
「キャー。ごめんお兄ちゃん。許して―!」
モモはしゃがみこんでくすぐったいのを我慢していたが、我慢できなくなったのか、走って逃げていった。
「連携、連携~♪」
シルフィーは分かっているのか分かっていないのか分からないが、そう言いながら楽しそうに空を飛んでいた。
◇
買い物は食料関係の物、それと、必需品の座布団。更に、忘れてはいけないマントをまずは買った。あとは、各自、必要なものを買ったり、古くなったものを買いなおしたりして、とりあえず最低限のものだけを揃えることにした。
馬車の旅は、行く先々の村や町による予定なので、足りないものがあればそこで買うことが出来るからだ。
こうして、2日かけてとりあえずの物を用意してから、3日目、宿で俺達はステータスの照らし合わせをした。
「それじゃ、順番にステータスを確認していくぞ」
「うん!」
「わかった」
「何か恥ずかしいわ」
「ドキドキするね」
「ドキドキ、ドキドキ」
皆どこか緊張しているようだった。俺も他人にステータスを見られるのは、何か覗かれているような感じするのでちょっと抵抗があった。
そう言われると、少し恥ずかしくなるな。聞かなかったことにしよう。
俺はそう思いながらもステータスを表示させた。
「まずは俺からいくぞ」
【ステータス】
ーーーーーーー
名前:ルーティ
LV:23
ギルドランク:E
HP:221
MP:180
力 (STR):86
攻撃力(ATK):88
生命力(VIT):93
防御力(DEF):90
知力 (INT):68
抵抗力(RES):70
器用さ(DEX):72
素早さ(AGI):73
運 (LUK):73
スキル
スキルマスター
剣術スキル LV26:アーススマッシュ、チャージドスラッシュ、
グランドスマッシュ、カブト割、トリプルスラッシュ
盾スキル LV25:スタンシールド、シールドバッシュ、インパクト、突進
火魔法 LV15:ファイアーアロー、ファイアボール
水魔法 LV25:ウォーターストーム、ウォーターボール、
ウォーターカッター、アイスランス、
アイスニードル、アイスウォール
空間魔法 LV25:ホールド、ストレージ、シールド
時魔法 LV20:スロウ
トラップ LV10:解除
体術スキル LV26:ダッシュ、タックル、バックステップ、見破る
錬金術 LV25:マジックポーション、ポーション、キュアポーション
採集 LV15:植物採集
ーーーーーーー
ステータスを見やすいように床の上に表示させたので、皆、それを覗き込むようにして見ている。
「ルーティのステータス、高いわね」
「HPが高いな。俺よりもだいぶ上をいっているな」
アイラとロンドが俺のステータスを見て、何やら関心をしているようだった。
「へぇ~。お兄ちゃんのステータスってこんなのだったんだ。私とだいぶ変わったね」
モモがそんなことを言った。
「それじゃ、次はモモのステータスを見てみるか」
「良いよ」
【ステータス】
ーーーーーーー
名前:モモ
LV:23
ギルドランク:E
HP:203
MP:185
力 (STR):79
攻撃力(ATK):85
生命力(VIT):80
防御力(DEF):74
知力 (INT):75
抵抗力(RES):70
器用さ(DEX):91
素早さ(AGI):94
運 (LUK):88
スキル
ニュータイプ
2刀流スキル LV28:アイススラッシュ、エアスラッシュ、
トリプルスラッシュ、乱れ疾風、疾風
光魔法 LV25:グループヒール、ターンアンデット、ライト、
ヒール、プロテクト、キュア
風魔法 LV22:ハリケーン、サイクロン、ウィンドカッター、
ウィンドウォール
空間魔法 LV20:シールド、ストレージ
時魔法 LV15:スロウ
採集 LV15:植物採集
ーーーーーーー
「モモちゃんもステータス、高いね」
「俺よりもHPが高いのか…」
リリーとロンドが少し驚きながらそう話した。そして、ロンドは少し落ち込んだようにも見えた。
「俺とモモは初めはステータスは同じだったんだ」
「そうだったの? 随分違うように見えるけど」
「初めは全部30だったよ。わかりやすいから覚えてる」
「そうだな。HPやMPも30だったから、何かの嫌がらせかと思ったぞ」
俺はアイラの方を見てそう言った。
「わ、私? 私は関係ないわよ。文句があるならアウラに行ってよね!」
同一人物だろ! というツッコミは止めておいた。アイラとアウラ様は同一人物ではあるが、別人格ということを今は知っているからだ。
この後も俺達は順番に皆のステータスを確認した。
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