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スキルマスター  作者: とわ
第四章
182/191

84.もう一つの連携技


6匹いたオーク達も残り1匹となった。


このまま皆で普通に攻撃をしていても倒せるのだが、俺達は練習も兼ねてもう一つの連携技をやってみることになった。


「いくぞ!」


俺は皆に声をかける。


「いつでもいいよ!」


「こっちも良いわ!」


俺の声にモモとアイラが答える。


「が、頑張る!」


最後にリリーが返事をした。


それを確認した俺はスキルを使ってオークを攻撃する。


【アーススマッシュ】


このスキルはグランドスマッシュと同じで、剣を地面に叩きつけて前方に扇状の範囲攻撃をする技なのだが、こちらのスキルには土属性が付与されている。


「ドン!」


俺の放ったアーススマッシュがオークに直撃をする。そこに続けてモモもスキルを放つ。


【アイススラッシュ】


このスキルはトリプルスラッシュに氷属性を付けた感じの技だ。


「ヒュン、ヒュン、ヒュン」


「カチ、カチ、カチ」


モモのレイピアからの3連撃がオークを襲う。すると、土と氷の属性が合わさり、オークの体の一部が凍り始める。


更に、続けてアイラが魔法を放つ。


【ウインドカッター・氷結】


「ザク!」


「ビキビキビキ!!!」


アイラの放ったウィンドカッターがオークの体を大きく切り裂いく。土属性と氷属性が合わさり、凍り始めたオークの体に、更に風属性を加えることで、連携技・氷結が発動し、オークの全身が一気に凍り始める。


だが、俺達のターンはまだ終わらない!


リリーが氷漬けとなったオークに更に魔法を放つ。俺とモモは余波に巻き込まれないように、オークから大きく距離を取る。


【シャドウボール・漆黒】


シャドウボールは闇属性の魔法だ。闇属性を持った魔力の塊が氷漬けとなったオークに直撃をする。


「ボン!」


オークの氷に小さなひびが入っる。


失敗したな。


連携技・漆黒は発動しなかった。


「ど、どうしよ。ごめんなさい!」


リリーはそう言って俺達に頭を下げてからアワアワし始めた。


「大丈夫だ。落ち着け」


俺はリリーにそう話しかけながら頭を撫でた。


「漆黒は失敗したが、オークはもう倒しているぞ」


氷漬けになったオークはピクリとも動かなかった。連携技・灼熱を使った時もそうだったのだが、どうやら、2段階の連携技ならレベル30のオークを倒すことが出来るようだ。


「惜しかったわね」


「もうちょっとだったね」


こう話をしたのはアイラとモモだ。この二人は以前から連携魔法を使っていたし、相手の心をある程度読めるので、連携に関しては得意としていた。リリーに二人と同じようにやれというのは酷なものだった。


「灼熱は成功させたんだ。自信を持って良いと思うぞ」


ロンドがそう言った。


「でも、見たかったな~。漆黒」


モモがいらないことを言った。


「ごめんなさい…」


「こら、モモ。余計な事を言うな」


「あっ、ご、ごめんね。つい…」


俺はモモを注意した。モモも慌ててリリーに謝っている。


確かに連携技の漆黒はカッコいい。だが、練習をしていた時でも数回しか成功させることが出来なかったので、本番で成功させろというのはなかなか厳しいものがあった。


「とにかく、オークの討伐、お疲れさまだ」


「うん。おつかれー!」


俺の言葉にモモがそう言うと、俺達は皆でハイタッチをした。





「で、これはどうするの?」


モモがオークを指さして俺にそう話しかけてきた。


「オークの肉は食用になるんだ。豚肉みたいな味らしいぞ」


「へぇ~。そうなんだ」


この世界ではオークの肉は、日本でいうところの、豚肉のブランド品といった感じで扱われていた。実際、豚肉よりも肉質が良いらしい。更に、オークシャーマンやオークキングといった上位のオークは普通のオークよりももっとおいしい肉となるそうだ。


「それなら、解体をしないといけないのね」


アイラがそう言った。


「そうだな。どこかその辺の木にぶら下げて、解体をしよう」


ロンドはそう言うと、手際よく解体作業を始めた。部位ごとに分けて小さくしたものをストレージにしまった。内臓は日持ちもしないし、食べるにしても下処理が面倒臭いので地面に埋めることにした。頭は持って行くことにした。日本にもいたが、頭が美味しいと言って食べる人がこの世界にもいるようだ。


俺はブタの生首を見たことがあるが、あまり好きではなかった。顔の肉がだらりと垂れ下がり、へにょっとした顔になっていたのを今でも覚えている。美味しいらしいが、見た目で食べる気が起きなかった。


こうしてオークの討伐が終わり、俺達は馬車の方へ移動をした。シルフィーもしっかりと見張りをしていたようで、馬車は無事だった。


「僕、スライムを倒したよ!」


「スライムを? 一人でか?」


俺は思わずそう尋ねた。


「もちろん!」


シルフィーは、そう言って胸を張ってどや顔をしていた。


シルフィーもスキルを覚えたからな~。スライムぐらいなら倒せるか。


こうして、また、俺達は馬車の旅を再開した。



 ◇



馬車の旅の6日目。オークと遭遇してからの旅は静かなものだった。


コボルトが出ると言っていたが、コボルトは見当たらないな。


俺は馬車を運転しながら辺りを見渡した。


エルフヘイムを出発した時は辺りは草原で、生えている木がとても大きかったのだが、この辺りはそうではなかった。草原は徐々に草の数が減り、草よりも今は岩の方が多く見られる。木は俺がよく知っている普通のサイズの木に変わった。


そして、次の村のオリバ村が遠くに見え始めた。


「お兄ちゃん。あれだよね?」


「そうだな。7日かかると聞いていたが、予定より早く着いたな」


モンスターとの遭遇が少なかったせいか、オリバ村には予定より1日早く辿り着いた。まだ遠目からなのだが、オリバ村は城壁で囲まれていた。門も有り、そこには門番が立っているようにも見えた。


俺達は馬車を走らせその門番のいるところへ向かった。


「こんにちは」


「やぁ、こんにちは。冒険者か?」


「ああ。村に入りたいのだが構わないか?」


「一応、冒険者カードを見せてくれ。規則だからな」


そう言われたので、俺は冒険者カードを取り出してその門番に手渡した。門番は俺の冒険者カード見ながらこちらに話しかけてきた。


「この村には何しに来たんだ?」


「旅の途中で寄っただけだ。それと、貿易品も積んでいる」


「何を積んでいるか聞いても良いか?」


「ああ。ビールとウィスキーだ。オリビアの集落で手に入れたものだ」


俺がそう話すと門番は驚いた顔をした。


「オークがいなかったか!?」


門番は俺に近づきながら、少し大きな声でそう話した。


男の顔は近くで見たくないのだが…。


俺はそう思ったが、何やら慌てているようだったので素直に話をすることにした。


「いたが、どうかしたのか?」


「街道を塞いで通れなかったんじゃないか!?」


「あ、ああ。塞いでいたな」


「それでどうした!?」


「それは倒したさ。邪魔だったからな」


俺がそう言うと門番は目を見開いた。


「それは事実なんだな!?」


「ああ。ちょっと落ち着け。どうしたんだ?」


俺がそう言うと、門番はハッとした顔をして俺から少し距離を取った。


「す、すまない。今、この村では街道を塞いでいるオークをどうするかで話し合いをしているんだ。俺もオークの討伐に駆り出されないか心配をしていたから、オークを倒してくれたなら安心だ」


街道にいたオークに困っていたってことか。オークぐらいなら簡単に倒せそうな気がするが。


俺はそう思ったので、門番にその辺りを聞いてみることにした。


「オークぐらい倒せる奴はこの村にもいるだろ?」


「いや、それが、今はいないんだ」


「どうしてだ?」


「ここから少し離れた南の方にダンジョンがあるんだが、最近そこのダンジョンのモンスターが大量発生してな。それの討伐で、ちょうど今、この村には冒険者があまりいないんだ。コボルトぐらいなら倒せる奴らが残っているんだが、オークとなると少し厳しくてな。それで困っていたんだ」


なるほど。タイミングが良かった? 悪かった? といったところか。だが、


「それなら、そのダンジョンは大丈夫なのか? この村が襲われたりはしないのか?」


「それは大丈夫だ。高ランクの冒険もダンジョンに入っている。あと数日もすれば戻ってくはずだ」


詳しい事は分からないが、大丈夫ということなら良いか。


「すまないが、あとでギルドに立ち寄ってもらえるか? 俺が今からギルドに報告に行くが、念のためにな」


「それぐらい構わないよ」


「そうか。助かる。村には自由に出入りしてくれ」


そう言って、その門番はどこかへ走り出した。


門番のいない門になったのは良いのか?


ふと、そう思ったが、あまり気にすることは止めようと思い、俺達は村の中へと移動をした。




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