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スキルマスター  作者: とわ
第三章 エルフヘイム編

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74.サンドソード


「おつかれ!」


「お疲れ様!」


「「「「お疲れ~」」」」


 俺は皆の元へと戻り声を掛けると、モモが嬉しそうな顔をしていた。


「もう~、いきなり飛び出すんだもの。びっくりしたわよ~」


「わ、悪い。ついな…」


 アイラの言葉に俺は頭を掻きながら少し反省した。


「次は気を付けるよ」


「本当に~?」


「次も絶対にやるよ~」


「そうだな。次もやるだろうな」


「次もやっちゃえ~!」


 アイラの疑りの視線を行けていると、リリーとロンドが顔を見合わせて頷いた。そしてシルフィーの声に俺は目を丸くする。


(お? 次もやって良いのか? 本当に良いのか? …いや、たぶんダメだろうな。だが、今後もゴーレムの額に角があるなら、毎回テンションは上がるだろうな。気を付けるようにしよう…)


 俺がシルフィーの誘惑には負けまいと心に誓った。


「でも、みんな無事でよかったよ~」


「そうね。初めにここに来た時はどうなるかと思ったけど、無事に終わって良かったわ」


 リリーとアイラが胸を撫で下ろしている。だが、今のボス戦の前の出来事は心に残っている様子だ。


「そうだな。それに、どうやらドロップ品もあるようだぞ」


 ロンドが話をしながらゴーレムの方へと指を差す。


「ドロップ品?」


 俺達はそちらを確認する。するとそこには、サンドゴーレムが徐々に霧となって消えかかっていたが、その霧の中に何かが残っているように見えた。そして、全ての霧が晴れるとそれははっきりと姿を現した。


「剣か!?」


 俺は地面に突き刺さっている物を見て思わず叫んでしまった。何故なら、今までの戦闘ではまともな武器のドロップ品など一度もなかったからだ。


「地面に突き刺さってるなんて、面白いね!」


「これを抜いた人だけが使えるとか?」


「巨大なモンスターが現れるかもしれないよ?」


「え、モンスター? 今度はどんなのが出るんだろ~?」


 モモとアイラが興味深そうにそれを見ていると、リリーとシルフィーが変な会話を始めた。そして皆は一歩後退る。


「流石にそれはないだろう。たまたま突き刺さっただけじゃないのか?」


「そ、そうよね?」


 そう話しながらも、アイラは俺の背後に回り背中を押す。


「まずは鑑定してみよ?」


 リリーが無垢な顔で皆に声を掛けた。先程の言葉にどうやら他意はない様子だ。


「そうだな」


 俺の言葉に皆は頷き右手を前に突き出す。そして、


【【【【【鑑定】】】】】


 声がハモった。


ーーーーーーー


サンドソード

特殊効果:サンドストーム


ーーーーーーー


「サンドソードって書いてあるね」


「うん。それに、特殊効果ってのもあるよ」


 リリーとモモが珍しそうに剣を見ている。


「サンドソードって、聞いたことがない名前だな。それにサンドストームって、魔法のことだよな?」


 俺は皆を見る。


「たぶん、そうじゃないかしら?」


「剣なんだから、ルーティが試してみたらどうだ?」


 アイラとロンドがこちらを向く。


「それもそうだな」


 俺はその剣を抜いてみることにした。そして地面に突き刺さっていた剣を握ると、どこから力がみなぎって来る…、ようなことはなかった。


「普通の剣だな」


 俺はその剣を手に取り、もう一度確認する。


「見た目はスチールソードと似た感じだな。色が少し茶色味がかってるが、魔法効果付いているからなのか? ん~…。これって、どうやって使うんだ?」


「わからないわよ」


「わかんない」


 アイラは両手を肩まで上げて、肩も一度上に上げる。モモは首を左右に振った。そんな俺達の様子を見てロンドが口を開く。


「俺も使ったことはないが、剣に意識を集中させて、その効果を口にすれば良いらしいぞ」


「なるほど。剣に意識を集中か…。ちょっと試してみるぞ」


 俺は魔力を込めずに剣に意識を集中する。そして魔法を使うように言葉を発した。


【サンドストーム】


 すると、刀身からサンドストームの魔法が発動した。だがサンドストームの威力は小さく、せいぜい土魔法のLV8ぐらいの効果と言ったところだ。


「すごーい!」


「サンドストームだね!」


 モモとリリーが驚いている。


「ん~。これは便利なのか?」


 俺は更に、サンドソードで突きをする形を取りながら、今度は無言で効果を試す。


「ん!」


 思わず、「ん!」と言ってしまったが、今度は剣の先からサンドストームが現れた。


「おお~」


 これにはロンドも驚いた。


 その後も数回、剣の特殊効果を意識しながら剣を振ってみた。すると、意識をはっきりと持ちながら剣を振ると効果が発動し、また、意識があいまいな状態で剣を振ると、効果が発動しないことが分かった。


(なるほど。効果の発動も自分でコントロールできるのか。サンドソードなんてゲームをやっていた時には見たことも聞いたこともなかったが、この剣は実戦ならそれなりに使えそうだな)


 色々と工夫のできそうなこの剣を俺は気に入った。


「これは、俺がもらっても良いのか?」


「良いんじゃないか?」


「剣はあなたとモモちゃんしか使ってないんだし、二人で決めて良いわよ」


 ロンドとアイラは特に反対はしていない。そしてリリーも隣で頷いていた。


「モモ、使ってみるか?」


「うん! 使ってみる!」


 モモはワクワクとした表情を見せている。そしてサンドソードを手渡すと、自分のレイピアとあわせて2刀流で剣を振る。


『ヒュン!』『ブウン!』


「とっとっと」


『ヒュン!』『ブウン!』


「おっとっと」


 サンドソードは軽量化の効果が付いていないので、モモはそちらの剣を振った時にバランスを崩している。そして笑ってはいけないのだが、皆は顔を押さえていた。


(剣に振り回されているところは、ちょっとかわいいな)


 俺も微笑ましく、モモを見守った。


 モモは数回、素振りをしてから俺に剣を返してきた。


「もう良いのか?」


「この剣重いし、細い方が奇麗だから、私はいらないよ」


「そっか」


 恐らくこの剣を軽くすることもできるのであろうが、見た目が気に入らないというのなら仕方がなかった。


「それなら俺がもらうぞ?」


「うん! お兄ちゃんが使って!」


 モモは笑顔で返事を返した。俺はこの剣を少し気にいっていたのでちょっと嬉しかった。


「ありがと」


 俺はモモの頭を撫でる。


 この後、他にもサンドゴーレムのドロップ品がないかを確認する。


「他にも何か落ちてたか?」


「あるよ~。これ」


 俺が皆に尋ねると、リリーがドロップ品を持っていた。


「いつも通りの魔石と水晶か」


「でも、少し大きいわね」


 サンドゴーレムの他のドロップ品は、少し大きめな魔石と水晶だった。俺は念のためにその水晶も調べる。


【鑑定】


ーーーーーーー


ブラウンストーン(土属性)


ーーーーーーー


 少し大き目の水晶だったので何か特殊効果が付いていないかと期待をしただが、特に何も付いておらず普通の水晶だった。


 このように、稀に少し大きな水晶がドロップする事は今までにもあったが、大きいからといって特殊効果が付いているというわけではなかった。そして、それは売れば小さな水晶よりは高く買い取ってもらえるのだが、そこまで値段が変わるものでもなかった。


 この剣以外は大したものは出なかったが、それでも、今回のドロップ品は当たりと言って良いな。何より、特殊効果の付いた武器を拾ったのだ。武器に特殊効果が付いている。それだけでも、十分に満足のいく成果だった。


 俺達はサンドゴーレムのドロップ品の確認を済ませ、ここでのやる事がなくなったので、入り口の反対側にある祭壇へと向かう。


「いよいよ6層ね!」


「ここまで長かったな~」


「そうだね~」


 アイラは6層に行くことを楽しみにしている様子だ。そして俺は今までの道のりを少し思い出していた。リリーも何か思うところがあったのか、少し感慨深げな顔をしている。


「そう? 私はそんなでもなかったよ」


「俺は今までのことはわからないからな。だが、新しい階層は楽しみだ」


「ぼくも楽しみ!」


 モモは普段通りの表情で、ロンドとシルフィーはこのダンジョンには途中参加だったのだが、それでも、次の階層に行くことを楽しみにしている様子だ。


 俺達は祭壇まで辿り着くと、そのまま魔法陣の上に乗る。振り向いてボスの居た場所を確認するが、そこには今は何もない。


 やがて、魔法陣が薄っすらと赤く光り始め、その光が強く輝くと俺達は6層へと転送された。




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