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スキルマスター  作者: とわ
第三章 エルフヘイム編
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71.ゴールド・ダンジョン 5層のボス部屋


俺達がゴールド・ダンジョンの5層へ辿り着いてから2週間が過ぎた。


この2週間は休みを挟みながらゴールド・ダンジョンの4層へと通い続けた。その結果、目標としていた馬車を造るための水晶4000個も、無事に集めることができた。


そして、俺達のレベルも少し上がった。俺とモモがLV19、リリーがLV21、アイラがLV17、ロンドがLV24となった。


それと、今回はリリーに魔法のスキル上げを頑張ってもらった。魔法のレベルは20を超えると上がり難くなると少し前にロンドから話を聞いたので、それならばと、火魔法のレベルを集中的に上げもらい、範囲魔法を覚える事を優先してもらった。そして遂に、火魔法のレベルが23だったものが25となり、ファイアボムという範囲魔法を習得することができた。


 もう少し早く覚えていてくれればとは思ったが、それは贅沢な願いだったのであろう。


 水晶も揃い、レベルもスキルも上がったので、丁度良いタイミングだということで、俺達は5層のボスへと挑戦することにした。



 ◇



「じゃあ、今日は5層のボス、サンドゴーレムの討伐に行くぞ!」


「「「「「おーーー!」」」」」


 ゴールド・ダンジョンの入り口前の広場で、俺達は一度気合を入れた。周りの視線? こういう時はそんなの関係ねー! 勢いというものはとても大切なのだ!


 俺達はいつものようにテレポート屋に頼んで、5層へと送ってもらった。





 転移した先には前回ここに訪れた時と同じ景色が広がっていた。今日もキャンプ地は賑わっている様子で、様々な掛け声が聞こえてくる。


 その間を擦り抜けてキャンプ場の奥へと進み、前回確認したステージの前まで辿り着く。そして、このステージはここでは祭壇と呼ばれているそうだ。


 祭壇の前には衛兵の人が立っていた。特に何かをしている様子はなく、街の門番のような感じだった。


「いよいよだな!」


「うん!」


「楽しみだ」


 モモとロンドはボス戦を待ち遠しそうにしている。


「何かドキドキするよ~」


「だ、大丈夫よ」


「サンド♪ サンド♪」


 モモとアイラはお互いの緊張をほぐし合い、シルフィーはその周りの楽しそうに飛び回った。


 皆は程よい緊張感、そういった感じだった。


「お兄ちゃん嬉しそうだね」


「ここのボスは弱いらしいからな。弱いボスなら大歓迎だ!」


 ゲームでも壁役をやったことはあるが、ボスが強いと長時間にもなるし、ワンパンでやられたりもしたので気を使ったのだが、ボスが弱いのならある程度ミスをしても楽勝になり、何より好きなことができるのでそういうボスは好きだった。


「そうだね。初めてのボス戦なんだから、私も楽しむね!」


 モモはいつも通りの明るい笑顔だった。


 俺達は祭壇の前で少し話をして、ボス戦の作戦の確認をする。


「皆、作戦は前に話をした通り、始めにウォーターボールをストーンゴーレムにぶつけて、動きを鈍らせてから戦闘に入るからな」


「「「「「わかった(わ)!」」」」


「了解だ」


 準備が整ったので俺達は列へと並ぶ。順番待ちはそれほど時間は掛からず、流れるように俺達の出番が訪れた。そして衛兵に声を掛けられる。


「新人か。頑張れよ! ここのボスは焦らなければ問題なく倒せるからな! それと、魔法陣の上に乗ったら動かないようにな。途中で魔法陣から出ると、置いて行かれるから注意しろよ」


 俺達は頷きを返し祭壇に描かれている魔法陣の上に乗る。すると、ゆっくりとその魔法陣が赤く輝き始める他のパーティーを見ていた時も奇麗だと思っていたので、この光は俺達のモチベーションを更に盛り上げた。


 照明で下からライトアップされている。そんな状況だったが、徐々にその輝きは増していき、一瞬、光輝いたかと思うと、俺達はボス部屋へと転送されていた。





「眩しかったね」


「少しずつ光が強くなったてたから、ずっと目を空けちゃってたよ~」


 モモとリリーが目をしばしばとさせている。


「ここがボスの部屋か」


「ふ、雰囲気はあるわね」


「ドキドキー!」


 ロンドとアイラが辺りを見回し、シルフィーが胸を両手で押さえた。


「まずはここを動くなよ。近づくと戦闘が始まるからな」


 俺もまずは今の状況を確認をする。


 今立っているこの場所は、入る時に乗った祭壇の上の魔法陣と同じようなものの上に立っている。そして周辺は石造りの遺跡の中という感じだ。この部屋は他の階層のようにだだっ広い場所というわけではなく、周囲には壁が見えている。床もレンガのような物が敷き詰められた石畳のようになっていて、足場もしっかりとしていた。


(石か…。大理石でないだけましか。大理石だと、水を撒いたら滑って転ぶからな)


 俺は雨の日の買い物を思い出す。


(それよりも、ボスはどこに居るんだ?)


 俺は周辺の確認を済ました後、ボスを探した。だが、そこにはゴーレムらしきものは見当たらなかった。


(ゴーレムは3メートルぐらいの大きさと言ってたから、見つけられないはずはないんだが…)


 そんなことを考えていると、


「ねぇねぇ、お兄ちゃん。誰か居るよ」


 俺はモモの言葉に不意を突かれる。


「誰か? 人が居るのか?」


 俺はモモが指を差している方を見る。すると、部屋の中央のそのもう少し奥に、一人の人物が立っていた。


(どういうことだ。あれがボスなのか? それとも、他の冒険者なのか?)


 俺はどう判断をして良いものかが分からず、皆に相談することにした。


「皆、あれは何だと思う?」


「え?」


 アイラがこちらに振り向く。が、その瞬間、強烈な突風のようなものが俺達を襲った。


『ゴーーー!』


「うわっ!」


「キャッ!」


「何!?」


 俺とモモとアイラが声を上げるが、次の瞬間。


『『『『『バン!』』』』』


 俺達はその突風のようなもので、後方の壁まで吹き飛ばされた。突然の出来事で皆は受け身を取りそこねたのか、すぐには動けない様子となった。


「くぅ…。な、何だ!? 今あいつが手を横に払ったように見えたが、今のは攻撃だったか?」 


 俺は慌ててそいつを見直す。そして一瞬、視線が重なり合った。


 それは距離が離れているにも拘らず、猛獣が目の前で大きく口を開け、今にもこちらに襲い掛かろうとしている。そんな感覚に襲われた。


(な、何だこの感じは!?)


 俺は身震いした。何故なら、今までに経験をしたことがない恐怖に囚われたからだ。


(れ、レベル的にこちらが負けているのか!? だがそれ以上に何か得体のしれない者、そんな気配をあいつから感じる。奴は何か…、まずい気がする!)


(お兄ちゃん大丈夫!?)


 モモが俺の頭の中に話し掛けてきた。


(だ、大丈夫だ。皆も…、大丈夫そうだな)


 俺は皆を瞥見し、すぐに奴に視線を戻す。


(モモ、あいつを見てどう思う?)


(やばいかも。しっぽの毛が逆立ちそうだよ)


 俺はふと、モモの体を思い出した。


(しっぽ…、生えてないだろ?)


(あ…。テヘ)


 ワザとなのかは分からないが、モモのボケのおかげで俺は少し冷静さを取り戻す。流石モモだ!


(帰還のスクロールを用意しておいてくれ。あいつがこちらに向かって来るなら、躊躇なく使ってくれ)


(わかった!)


(こうなると、あとは心配なのはアイラだな)


 俺は視線を奴から外さずに、アイラの方へと近づく。アイラは壁にぶつかって倒れてはいたが、ダメージはそれ程でもないようだった。


「大丈夫か?」


「んー…、ハッ! ルーティ!? だ、大丈夫よ」


 アイラは頭を押さえながら体を起こす。


「それより、いったい何が起きたの?」


「大声を出すなよ。あいつだ。あいつが何かをやったらしい」


 俺が奴を示すように目配せすると、アイラはがばっと立ち上がった。


「ちょっ、もごもごもご…」


 俺は慌ててアイラの口を塞いだ。


「バカ。叫ぶな」


(はあ~。アイラなら叫ぶだろうと思ってたからな。こっちに来て正解だった)


「あいつはやばい気がする。モモの方へ集まって、すぐにこの場を離れるぞ」


 俺達が移動を開始しようとした時、


「まだこの程度か…」


 奴との距離は離れていたが、微かにそいつの呟きが届いた。


(まだこの程度?)


 俺は改めてそいつを見る。身長はロンドと同じかそれ以上。髪色はグレーで長髪のオールバックといった感じだ。肌の色はグレーのように見えるが、距離が離れていて灯り加減ではっきりとは分からない。体型もマントを纏っているのではっきりとは分からないが、声からして、恐らく男であろう。


 そいつは俺達とは反対の方向へと歩き始める。そちらには6層へと続く魔法陣があった。


 しばらく様子を伺っていると、奴はその魔法陣に乗ってこの部屋から姿を消した。




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