表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキルマスター  作者: とわ
第三章 エルフヘイム編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

161/191

63.属性効果


 街に戻った俺達は急いで宿に向かい、荷物を降ろしてそのまま銭湯へ訪れた。4層が寒かったので少し体が冷えてしまったからだ。そして夜も遅かったので、この日はそのまま休むことにした。


 そして翌日。


 今日は先に用事を済ませようということで、朝食を済ませた後、皆でギルドに訪れた。


 カウンターに訪れるとソフィアが居た。前に色々とお世話になり、面識のある人物だったので俺達はそちらに向かった。


「こんにちは。また換金を頼む」


 俺は魔石の入った袋をカウンターの上に置く。今回は水晶を集めているので、そちらは売らずに残しておた。


「こんにちは。お久しぶりです、ルーティさん。少し待ってくださいね」


 ソフィアは魔石の目利きを始めた。


「それと、ゴールド・ダンジョンの4層を進む前にギルドに寄るように言われていたんだが、それはここで良いか?」


「はい。ここで合っていますよ」


 ソフィアは作業を進めながら返事を返す。


(ここは待つか)


 俺達はしばらくここで待機する。


「お待たせしました。こちらが今回の報酬です」


 俺は金を受け取った。


「それと、4層の件ですね」


 ソフィアはおもむろに席を離れて、奥の方から何やら運んできた。


「よいしょ。これです」


 そこにはいくつかの水晶が、箱に並べられていた。


「これは?」


「魔法属性の効果が付いている水晶です」


「魔法属性の効果? 装備に付けると属性付くというやつか?」


「はい。4層では物理攻撃が効かないのモンスターが出るので、そのモンスター用に水晶が必要になります。なので、初めて行く人にはギルドに寄ってもらうようにしてるんですよ」


(物理攻撃が効かないモンスターか。それは初めてだな。レベルが上がってくると何かと必要になるものだな)


 箱に入れられた水晶には値札が付いている。流石に無料というわけではないようだ。


「奇麗~」


「宝石みたいね」


「飴玉みたい!」


 モモとアイラが箱を覗き込み、シルフィーが箱の上に着地した。


 水晶には色が付いており、赤、青、緑、茶色が並んでいた。これは属性を現す色だ。赤なら火、青は水、緑は風、茶は土だ。属性はこの他にも光や闇などもあるが、ここにはその水晶はなかった。


「お勧めは火属性の水晶です。火を弱点とするモンスターは多く居るので、普段の戦闘でもお役に立ちますよ」


(なるほど。火属性はこの間のトレントやキノコにも有効だ。それに生物は基本的には火に弱いはずだ。さてどうするか。全部火属性のものでも良い気はするが…)


「ちょっと相談させてくれ」


 俺は皆で相談することにした。


「どうする?」


「火属性ので良いじゃない?」


「私も良いと思うよ」


 皆、火属性で良いような感じだった。


(特に何もないか…。ちょっと待てよ。俺達のパーティーで火属性の攻撃ができるのはリリーしかいない。他に火属性が使えそうなのは…)


「俺達の中で、火属性の魔法が得意な奴はいるか?」


「「「「「…」」」」」


 リリーしかいなかった。


(これはちょっとまずいか? 火に弱いモンスターが多いのに、火魔法があまり使えないパーティーというのは、後々、困るような気がする…)


 俺が考えを巡らせていると、モモが話し掛けてきた。


「お兄ちゃんが、やるしかないね」


 とても良い笑顔だった。モモの中に女豹を見た気がした。


「わかった。火魔法は俺がやるよ」


 誰も得意でないのなら仕方がないので、俺は火魔法のレベルを上げることにした。


「その話は一旦置いておいて、水晶は火属性のもので良いか?」


「「「良いよー」」」


「俺もそれで構わない」


 シルフィーの返事がないが、今は水晶を持ち上げようと奮闘している。


 再び、俺はカウンターへと向き直る。


「火属性の水晶を5個くれ」


「5個ですね。小金貨25枚になります」


 俺はソフィアに金を手渡した。


「それと、取り付け方は武器屋で確認してください。私ですと専門外なので。あと…、くものモンスターが出るので気を付けてくださいね」


「わかった。ありがとう」


 用事を済ませた俺達はカウンターを離れた。


 水晶の金額は1個、小金貨5枚だったので、高くもなく、安くもないといった感じだ。それと、取り付けについては武器屋でという事なので、俺達はこのまま武器屋に向かうことにした。





 武器屋に着いた俺達は、そのまま中に入る。


「こんにちはー」


「らっしゃい!」


 奥からボイドの大きな声が聞こえた。


「なんだルーティじゃねぇか。久しぶりだな」


「おやじも元気そうだな」


「あたぼうよ」


 おやじは二の腕の筋肉を見せつけた。


「それで、こんな時間にどうした?」


「水晶の取り付けを頼みたくてな」


「何の水晶だ?」


「これだ」


 俺はギルドで先程購入したばかりの水晶を取り出す。


「属性用の水晶か。これなら簡単だ。すぐにできるぜ。取り付ける物の方も出してくれ」


 俺達はそれぞれの武器をカウンターに置いた。


「この水晶なら、自分で付けられるようにしておいた方が良いぞ」


「そうなのか?」


「ああ。ルーティ達はゴールド・ダンジョンの4層へ行くのか?」


「そうだ」


「ほう~。ちったー強くなったんだな」


「どういう意味だ?」


 俺は少しむっとした。


「いや~。ルーティ達はあまりレベル上げに興味がなさそうだったからな。悪い意味で言ったんじゃねぇよ」


(なるほど。確かに、普通の冒険者ならダンジョンに籠って、さっさとレベル上げをするだろうからな。まあ、俺はマイペースでやる方だし、それに、目的が違うからな)


 俺の脳裏に微かに女神が浮かび上がった。


(女神の事を忘れていたが、本当に連絡がないな。一体、何をやっているんだろう?)


 気にはなった今はやることがあるので、これ以上は考えることを止めた。


「取り付けはすぐに覚えられるのか?」


「ああ。簡単だ。ここにこうやってはめ込むだけだ」


『カチッ』


 水晶を武器のくぼみの部分にはめると、音と共に固定された。


「こんなに簡単で良いのか?」


「売っている水晶は加工済みだからな。市販の物に取り付けるのは簡単なもんさ。ただ、高価な物はそれなりの奴に頼んだ方が良い。割れる事があるからよ」


 俺は加工という言葉が気になった。


「加工はどうすれば良いんだ?」


「それはスキルを使ってやるのさ。取り付けるのと加工は別だ」


「要するに、加工済みの属性の水晶を何種類か持っておいて、その都度、付け替らえれるようにしておいた方が良いという事か?」


「そういう事だ。水晶一つで攻撃力が上がるんだからよ。手間でもやる価値はあるぞ」


(なるほどな。トレント戦でも感じたが、やはりこの世界では属性は無視できないもののようだ。付け替えながら戦うのは少し面倒だが、あまり軽視できるものでもなさそうだ)


「わかった。ありがとう」


 俺達はせっかくなので、この場で水晶の取り付け方を教えてもらった。簡単だったので皆もすぐに覚える事ができた。そして、なんと鍛冶レベル1を習得した。


(久しぶりの新しいスキルだな。鍛冶スキルを今後使うかは分からないが、良かったということにしておこう)


 こうして、俺達はギルドでの用事を済ませた。その後、必要な物の買い出しなどを行い、この2日後、ゴールド・ダンジョンの4層へ向かうことにした。



 ◇



 出発の朝、俺達はいつも通りにゴールド・ダンジョン前の広場に訪れ、テレポート屋に頼んで4層まで送ってもらう。


 魔法の光が俺達の体を包み込み、テレポートの魔法が発動した。


『ヒューン』


 爽やかな風が俺達の間を駆け抜けた。


「眩しい!」


 モモが手で日差しを遮る。


「空気が美味しい~」


「気持ち良いわ」


 リリーとアイラが両手を左右に広げた。


「良い景色だな」


「広ーい!」


 ロンドは遠くを眺め、シルフィーは空を飛び回った。


 辺りを見渡すと、山の頂上が下の方に見えた。そして白い雲が風に流されている。気温は暑くもなく寒くもなく、丁度良い感じだった。空気も澄んでいて、清々しい風が俺達を包んでいる。


「良いところだな。ここで暮らしたくなる」


 4層は山頂から高原が続くような地形だった。


 実は俺は高原が大好きだ。高原と言えばスキーという人が多いかもしれないが、俺は冬の高原ではなく、初夏ぐらいの高原が好きだった。パラグライダーで空を飛んだのが懐かしい。


「お兄ちゃん行くよ」


 感慨に浸っているとモモが俺を呼んだ。高原好きな俺としてはここを動きたくなかったのだが、そういう訳にはいかなかった。


 俺達はキャンプ場に少し立ち寄ってから、狩りに向かうことにした。





☆を付けていただけると嬉しいです。

ブックマーク登録もして頂きたいです。

やる気が出るのでよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ