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スキルマスター  作者: とわ
第一章 ムーン・ブル編
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14.洞窟




 ふつふつな俺は、全身が打ち震える中で両拳をきつく握り締める。


「真っ白な空、真っ白な床、真っ白な女神のドレス、真っ白な扉に開けた先の真っ白な壁でまた真っ白。真っ白真っ白真っ白真っ白真っ白真っ白って、目がチカチカするんだーーー!!」


 限界な俺は、体勢を徐々に小さくしながら狭間の世界に訪れてからの全ての真っ白に目がチカチカして苛立ち続けていたんだと呟き、体勢を爆発させると同時に顔を空に向けて老眼じゃなくても目にきつ過ぎるだろうと憤怒の雄叫びを力強く上げた。


「あ~スッキリした~」


 スッキリな俺は、思わず脱力しながら両手を膝に付いてこれまでの心労を労うような低音の声を一息に漏らした。乱れた呼吸を整え、姿勢を戻して両手を腰の左右に当てる。


「ふう~さて、ここはさっきの場所より真っ白だな。地平線も無いし……」


 平穏な俺は、改めてひたすらに真っ白な景色を見渡しながら呟いた。再び全てが真っ白へと変化し始める。


「………、ん?」


 やや真っ白な俺は、景色の変化に気付いて疑問に声を漏らした。変化は、景色の中に茶色の球体が一つ出現する。更に、同様な球体が至る所に次々と出現する。全ての球体は、左右へと直線のように伸びる。景色が、波打つように揺らぎ始める。


「め…、めまいが…」


 混乱な俺は、思わず平衡感覚を失いながらふらついて呟いていた。急遽に腰を落とすと同時に左手を膝に突いて右手を両こめかみを抑え込むようにして揺らぐ景色の範囲を狭める。指の隙間からの揺らぐ景色は、やがて全てを巻き込みつつ渦を巻き始めてホワイトチョコロールケーキかのようになる。天地の判別が不可能になる瞬間、ホワイトチョコロールケーキは硝子が砕けて弾け飛ぶかのようにする。


「おっ、おおおっ、おおおおおおっ! 洞窟が、現れたぞーーー!!!」


 感動な俺は、思わずこれまでの負の部分を失念して両腕を上方に力いっぱい伸ばしながら満面の笑みを浮かべて歓喜の雄叫びを力の限りに上げていた。空中に僅かに残存する砕けたホワイトチョコロールケーキは、空間が美味しく食べてしまうかのようにして消滅する。


「いや~凄かったな~。まだちょっと気持ち悪いが、いい経験ができたな!」


 感慨な俺は、酔い気味の体調を整えながら両腕を下ろして強く呟いた。洞窟内を見回す。


「ここも白いが、南国の旅館みたいでいいな!」


 高揚な俺は、少し呆れながらも頬を緩めてインターネットで目にする観光旅館を思い出して強く呟いた。


 洞窟内は、現在置から見て横長に20畳ほどある。大理石のような乳白色の岩盤を削るようにして造られている。正面の壁際に、装飾の豪華な家具が設置されている。家具は、材質が岩盤と同様と思われる横長の大きなテーブルと二脚の椅子とテーブルの右隣りに全身が確認可能なサイズの姿見鏡、テーブル上に材質が異なると思われる横幅が60センチメートルほどで上蓋が丸みを帯びる形状の装飾の重厚な宝箱のような白色の箱が用意されている。


「たっ…、宝箱だ!!」


 狼狽な俺は、思わずこの箱は宝箱ではない判断しながらも目を見張りながら伸ばす両手をわなわなさせつつたかが箱のくせに予想を超越していると声を力強く上げていた。表情が大きく緩む。その見目に抗えない。箱の前に移動する。


「くう~この感じ! たまらないな!!」


 興奮な俺は、思わず視線を箱から逸らすと同時に目を閉じて全身を力ませながらオンラインゲームでウルトラレアアイテムを入手するかのように声を力強く上げていた。


「よし、開けるか!」


 絶頂な俺は、視線を箱に戻して待ちきれないと声を強く上げた。震える左手を箱の左下側の重厚な縁に、痙攣を引き起こす右手を箱の上蓋の木目のような部分に優しく当てる。左手に金属の冷たさと右手に木の温かさを覚える。唐突に武者震いを起こす。


「こっ、これが本物か!」


 獰猛な俺は、もはや箱は宝箱と声を高らかに強く上げた。獰猛とは裏腹に上蓋を痙攣する右手で非常に優しく慎重に押し始める。


『カチ』


 宝箱は、留め金具が解除されたであろう気品ある音を立てた。静寂の洞窟内に気品ある音が反響し続けて高貴なメロディーを奏でる。獰猛が猛爆発な俺は、思わず震えがつま先から頭上に駆け抜けて鳥肌を立てる。上蓋を益々痙攣する右手でもっとそっと非常に優しく押し続ける。背後に倒れ始める上蓋をテーブル上に静かに降す。宝箱内は、金、銀、銅色に煌びやかに輝く貨幣と思われる複数枚のコインが麻色の布上に整えて並べてある。


「おっほーーー、これが金なのか!」


 感動も猛爆発な俺は、思わずはち切れんばかりの笑顔をコインに接近させて絶賛の声を強く上げていた。口元が飢えるオオカミのように緩み始めた。




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