表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキルマスター  作者: とわ
第二章 アクアンシズ編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

127/195

83.おかしな3人とあれ


「次は、昨日話した作戦をやるわよ」


「うん! やろう!」


「うん! やってみよう!」


(作戦? 時魔法を使うってやつか? あの時、考え事をしてたからな…。よく聞いてなかったんだが…)


 スッキリした俺が皆と合流すると、アイラが突然そんな話をした。モモとリリーが張り切り声を上げたが、俺は曖昧なままゴブリンを探索し始める。


「居たよ!」


 逸早く見つけたモモが声を上げると、3人は奴から最も近い俺の下に素早く駆け寄り、モモ、リリー、アイラの順で一列に右側に並ぶ。


(なんだ? 凄いやる気だな…。それなら、俺も気合を入れるか!)


「皆、準備はいい!?」


「「うん!」」


「おお!」


 俺が横目に感心していると、アイラが奴を見ながら声を上げた。2人が力強く返事を戻したため、俺もそれに続いた。すると、


『『『ザッ!』』』


 3人は揃えて左足を後ろに引き俺の方を向いたあと、俯き加減になる。


(何だ!? そんな内容だったか!? だ、だが、仕方ない…。ここは合わせるか)


 一連の動きに戸惑った俺は昨晩の話を思い出そうと試みたがやはり無理で、渋々3人に合わせて体を左に向ける。


「隊列を乱さないようにね。初め!」


(うおっ!? な、何を始めるんだ!? 魔法を撃つだけじゃないのか!?)


 アイラの掛け声にビクついた俺は次の展開を妄想し、よく分からない汗を掻き始める。


「構え!」


『バッ!』


『バッ!』


『バッ!』


『バッ!』


 再びのアイラの強い掛け声と鋭い三つの音に俺は驚き、咄嗟に背後に振り向いた。恐らくだが、音の聞こえ具合から、一番奥のアイラ、中央のリリー、手前のモモの順で右腕を空に突き上げていたのであろう。更に、目を閉じている3人はその姿勢のまま左足でリズムを刻み、意識を集中し始める。


(おいおいおい! こいつらまさか…。あんなことやこんなことや、赤き血がイイ!なんてことを、やったりするんじゃないだろうな!?)


 それを妄想した俺は更に動揺し、足を一歩引きながらそれらのキメポーズを取るシーンが頭の中に過った。


「スリー!」


(やばい!)


 アイラのカウントダウンに俺は更に足を一歩引き、


「ツー!」


(こままだと、巻き込まれる!!!)


 自分への被害を避けるために直ちに全力疾走で後方に逃げ出す。


「ワン!」


 そして、


「今よ!」


 その掛け声と同時に、怖いもの見たさで3人に振り向いた。すると、どこからともなく爆発とカラーな煙幕が立ち上らなかったが、


『『『バッ!』』』


【【【スロウ!】】】


 3人は下ろした腕を前方に突き出したながらそれを放った。


 スロウは、対象の行動を遅くさせる時魔法の一つだ。三つの霧状の紫の塊が、尾を引きながら奴に迫る。直撃後、既に駆け出していたモモが、のそりと動く奴の喉元を容易に捉えて難なく倒した。俺は、離れた場所から複雑な感情でそれを見ていた。





「もう~! 何やってるのよ!」


「あ、ああ。悪い」


(ふう~。てっきり、恥ずかしいセリフでキメポーズを取るのかと思ったが、違うのか…。だが、無いなら無いで、今のは中途半端だったな…)


 皆の下に戻った俺は、頬を膨らませたアイラに苦言を飛ばされた。頬を掻きながら皆を信用できなかったことを反省しつつ返事を戻し、同時に物足りなさも覚えた。


 このあと、俺は3人から非難を受けるが、それは適当に宥めながら処理する。ちなみに、万が一にもそれを行っていたとすれば、俺は間違いなくそのままこの場から消え去っていた。ああ言ったものは何かのスイッチを入れないと、演技できないタイプだからだ。そして、


「アイラ。悪いが、昨日の話をもう一回聞かせてくれるか?」


「はあ~。仕方ないわね~。昨日は、時魔法のレベルを上げるために、戦闘の初めにスロウを使うって決めたでしょ」


 失敗を重ねないために俺が尋ねると、溜息を洩らしたアイラは呆れたように話をした。そのあと軽やかに踵を返し、再びモモ達と何やら楽しそうに会話を始める。


(あっ、あれ? さっきの動きの話は?)


「お、おい…」


「何よ? まだ何か、あるわけ?」


「あっ。いや…」


(待てよ。ここで聞き出すと、俺も必ずそれをやらないといけなくなるのか? それに話が発展して、あれやこれやをやらされるも困る…)


「な、なんでもないよ」


「あっ、そう」


 知りたい内容ではないと考えた俺は思わず口を開き、アイラの鋭い視線と言葉を受けた。続いて声が漏れたがそれに気付いて冷静に返事を戻し、再びアイラの鋭い言葉を受けた。


(心が痛いが、ここは我慢だ…)


 そんなくじけそうな心を俺が支えていると、


「やっぱり、三日前に考えたあの動きは、甘かったかしら?」


「うん。ちょっと甘かったかも」


「まだ、地味だよね…」


「へ?」


 アイラの話から衝撃的な事実が判明した。続いたリリーとモモも三日前からこの計画に参加していたようで、思わず言葉を漏らした俺の頭の中は空白になる。


「それなら、今からさっきの続きを考えようよ!」


「そうね。あれじゃあ、中途半端だったし」


「うん」


(あの動きは、昨日の話じゃなかったのかよ!)


 そして、俺の不安も時すでにお寿司で、リリーがニューバージョンを求めてアイラとモモがこれに賛同し、俺の心の中は炎上した。


「今度はお兄ちゃんも入れて、皆で一緒に考えようよ」


「え~。ルーティってこういうの嫌いで、足を引っ張りそうじゃない?」


「お兄ちゃんは自分がやるのは嫌いだけど、アイディアは出してくれるよ」


「あっ! それなら、他のバージョンを作ってもらおうよ!」


『パン!』


「それ、いいわね!」


「賛成!」


(こいつら…。俺を、仲間外れにしてたのか…)


 俺が怒りを押し殺していると、モモがそんなことを話した。渋く話したアイラが尋ね、モモが返事を戻し、リリーが好都合だと話した。手を叩いたアイラが声を上げ、モモは片腕を上げながら歓喜に叫んだ。そして、心が止んだ俺は絶望し掛けたが、


(しっかりしろ俺! くじけるんじゃない! 俺は強いんだ! それに、あんな恥ずかしいことは絶対やりたくないし、ここであきらめたらダメだ! どうにかして、3人を止めないと!)


 心の中で自分を叱咤激励し、このあと立ち止まることなくこの苦難に立ち向かう。しかし、アイラ達の意見に押し切られてしまう。悔しく思うが、俺はこれに駄々をこねずに従う。何故なら、しっかりと議論されて多数決で決まり、更に俺は大人だからだ。そして、ニューバージョンが研究開発された。





 しばし休憩を挟んでいると、何処からともなく奴が再び現れる。


「あっ! ゴブリンよ! 今度こそ、4人で成功させるわよ!」


 奴に指を差したアイラがやる気満々の声を上げると、3人は再び俺の横に並ぶ。


「やるよ!」


「今度こそ!」


 モモとリリーも同様に声を上げた。しかし、


「待て待て! スロウは中止だ!」


 俺は慌てて3人の前に立ち、声を張り上げた。


「何よっ!? せっかくやる気になっているのに!」


「そうだ、そうだー! 汚物は消毒だよ!」


「お兄ちゃん、ここからだよ。ここから、私達の新しい物語が始まるんだよ!」


「おっ…、汚物も始まるのもダメだ!」


 アイラはともかくとして、日頃冷静なリリーまでテンションが上がりまくっているためか卑猥な発言をし、更にモモもおかしなことを口走った。リリーの言葉に戸惑った俺も思考がおかしくなり、思わず突っ込みを入れていた。そして、この言い争いは止むことを見せずにしばし続くが、


「おまえら、ちょっと落ち着け。あれは、ゴブリンアーチャーだ。遠距離攻撃が得意な奴にそんなことをしてこっちの居場所を教えたら、逆に弓で狙い撃ちにされるぞ」


「「「あっ…」」」


 抗議していた俺が必死に説得すると、3人はうっかりした様子で声を漏らした。


「初手にスロウを掛けることは、勿論無意味とは言わない。だが、今はそんなことしなくてもいいだろ?」


 続けて、念のために意図してそれを行うケースもあると伝えた。すると、


「す、スロウを使うなんて、言ってないんだからね! フンッ!」


「そ、そうよ! 私だって、言ってないもん! フンッ!」


「た、只の、お兄ちゃんの勘違いだからね! フンッ!」


 アイラ、モモ、リリーの順に、頬を染めながら声を上げて何故かツンデレになりそっぽを向いた。


(妙な連帯感が出てきたな…。3人揃って、これはこれで可愛らしいか…)


 俺はこの事態をどう受け止めるか悩み、ツンデレが嫌いな人もいるかもしれないと頭の中に過ったがその時、


(あっ。そうだ。あれを試してみるか!)


「それよりも。モモ、あれをやってみないか?」


「えっ? あれ…? あ、あ、ああ~! あれね! うん、わかった! いいよ!」


 あれを思い出して尋ねた。すると、頭を悩ませたモモも思い出して返事を戻した。


 アイラがパーティーに加わり、俺とモモは連携が取り易くなっていた。そのため、新しい連携技を練習していたが、それを今、試してみることにした。そして、


「それよりもとは何よー!」


「ゴブリンを血祭りにしようー!」


 未だアイラが抗議を続けてリリーがおかしいが、それらはスルーした。





☆を付けていただけると幸いです。

ブックマーク登録もして頂きたいです。

やる気が出るのでよろしくお願いします!

カクヨムでも評価をしていただけるとありがたいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ