表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキルマスター  作者: とわ
第二章 アクアンシズ編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

123/195

79.採集とアイラの連携と時魔法


 翌朝。


 リリーとアイラは昨日と同様に街の付近にレベル上げに向かい、俺とモモも昨日と同様に部屋でスクロールを作成する、ということではなく、街の付近に向かい薬草と毒消し草を採集する。予定を変更した理由は簡単、昨晩リリーにプレッシャーを掛けられたからだ。なので、その作成は一旦横に置いておき、ポーションの作製に切り替えた。


 ちなみに、錬金術では薬草からは回復効果のあるポーションを。毒消し草からは解毒効果のあるキュアポーションを作製でき、後者の場合は毒消し草の代替に鹿の角を使用できる。


 街の外に出た俺とモモは、リリー達から少し離れた場所を選んだ。とはいえ、周辺の環境は然程変わらないが。


「それじゃあ、始めるか」


「うん!」


【サーチ】


 俺はモモに声を掛け返事を確認したあと、魔力を溜めて魔法を発動させた。


「どう?」


「モモの、足元ぐらいだな」


「…あっ!?」


 モモはこちらを見ながら尋ねたが俺がそう伝えると視線を下に移し、一瞬固まったが直ちに声を上げてその場から飛び退いた。何故なら、見事にそれを足で踏んづけていたためだ。


「大丈夫かな~…?」


「食べるわけじゃないから、大丈夫じゃないか?」


「ん~、そうだよね。これぐらい、平気だよね!」


 しなっとして根元から折れているそれをしゃがんで触りながら尋ねてきたモモだが、俺がそう応えるとこの程度は同様に平気なようで、明るく返事を戻してそれを力いっぱい地面から引き抜いた。


 こうして無事に、俺達の薬草採集は始まった。



 ◇



 時間は経過して日が若干傾き始めた頃、俺とモモはリリー達と合流することにした。互いに付近に居るので、見つけることは容易だった。


「おーい!」


「モモちゃん!」


 モモの叫びに、リリーが手を振り応えた。そのままモモはリリーの下に駆け寄り、俺はあとから歩み寄る。


「順調か?」


「うん! アイラのレベルが、5になったよ!」


 俺が尋ねると、リリーは誇らしげに胸を張り話をした。どうやら、かなりのハイペースで狩りを行っていたようだ。


「アイラは、魔法を使えるようになったか?」


「勿論よ! 使えるようになったわ!」


「そうか。それなら、あれもいけそうか?」


「任せて! 女神の力、見せてあげるわ!」


 続けて尋ねるとアイラも誇らしげに胸を張り話をしたが、ついでにあれも尋ねると、話の終わりにリリーとアイコンタクトを取り2人は自信ありげに頷いた。


(少しは、スキルのことが分かってきたのか?)


「それじゃあ、見せてくれ」


 俺は、アイラの未知なスキルの女神のことを考えながら声を掛けた。そして、2人はその準備を開始し、標的は少し離れた場所のスライムに決めた。





「いくよ!」


「合わせるわ!」


 リリーの合図にアイラが応えた。2人はそのまま右腕を伸ばしながら呼吸を合わせ、


【ファイアボール】


【サイクロン】


 魔法を放った。その二つは普段見ているものと同様で、スライムにめがけて飛んで行く。そして、それらが重なるようにしてほぼ同時に直撃した。


『ゴォォォォォ!』


 直後、凄まじい火柱が立ち上り、包み込んだスライムを一瞬で蒸発させた。


「おおー! 上手くいったな! これはやっぱり、女神の力か?」


「ええ、そうみたい! まだ考えてることを読み取れるわけじゃないけど、タイミングを合わせるぐらいはできるわ!」


(これなら、リリーはアイラと、俺はモモとで連携が取れるな。戦闘が、かなり楽になりそうだ!)


 俺がテンション高く尋ねると、アイラも同様にして返事を戻した。恐らく自分のことを理解し、新たな可能性を見出したためであろう。それを見ながらこちらも同様に可能性を見出し、思わず握った拳に力が入った。


 アイラは元は俺の心を読んだ女神のアウラ様と同一人物なため、もしかすると俺の心が読めるモモと同様に連携魔法が可能ではないかと考えて事前にこの件を相談していた。そして、それは予想通りで、アイラもこれがスキルで分かるとのことで今回はこれを見事に成功させた。


 このあとも、俺達は他にも何かできないかと試行錯誤しながらアイラのレベル上げを行い、日が暮れ始めたところで街に戻ることにした。



 ◇◇



 俺達は一度宿に戻り、そのあと銭湯に向う。そして、夕飯を済ませたあと俺の部屋に集まり何気ない会話をしていると、


「ルーティ、話があるの」


 椅子に座るアイラが不意に話し掛けてきた。


「時魔法は、覚えている?」


「いや、まだだよ」


 続けた問いにベッドで横になりステータス画面を確認している俺はさらりと返事を戻したが、このあとアイラは何故かこちらに歩み寄り、


「あれは、覚えなきゃだめよ」


 シャンプーの香りを漂わせながら顔を近付けて念を押すかのように話をした。


「やっぱりか?」


「やっぱりよ」


 俺は身を引きながらも話の内容は察したが、念のために尋ねた。すると、アイラは呆れた様子でそう応えて椅子に戻った。


「他の世界だと、時間を止める魔法とか皆ポンポン使ってて、バーゲンセールみたいになってるんだから。あの魔法は必須だと思うわ」


 別世界を管理していたアイラは、その時の話をしたのであろう。若干怒っているような心配しているような、そんな様子だ。そして時魔法とは、文字通り時間を操る魔法だ。


(確かに、仮に今、時間を止めるような攻撃を受けたとすれば、間違いなく俺達は全滅だ。何か対策はないかと、考えてはいたが…)


「それって、何か対策はなかったの?」


 俺もこの事は以前から気掛かりで頭を悩ませていたが、考えを纏めている間に俺の前でベッドに座るモモがアイラに尋ねた。


「アイテムを使って対策する人達も居たけど、この世界にそういう物があるかは分からないでしょ。それに、それが仮にあったとしても、多分高いわ。簡単に手に入れられるような物じゃないと思うの。それと、これも多分だけど、時魔法を覚えれば、時間を止める攻撃を防げると思うの。向こうだと、大体そんな感じだったもの」


(ん~。この事も、まだ俺達の知らない事か…)


「リリーは、この辺の事は分かるか?」


「わ、私はまだ、そこまでは…」


(そうだよな~。流石に、まだ分からないよな~…。まあ、また、ギルドで調べればいいか。とりあえずは、こっちも時魔法を覚えた方がいいってことだな)


 アイラは普段見せないような真面目な表情で話をし、考えさせられた俺はアイラの向かいに座るリリーに尋ねたが、そのたどたどしい返事はある意味予想通りで今後について新たに考えを纏めた。そして、


「でねでね、こういうのはどう?」


 再びステータス画面を眺め始めるとアイラが何やら嬉しそうに話を再開させたが、


(時魔法か~。まだ覚えてないな~…。他の予定が遅くなりそうだがこれも安全のためだし、覚えるしかないか…。そういえば、時間が止まった世界なんて、あるんだろうか? もしそんなものがあるなら、逆に見てみたいな!)


 俺の頭の中は時間が止まった世界になり、その中で夢と希望を抱いて冒険を開始したためそれを聞き流していた。





☆を付けていただけると幸いです。

ブックマーク登録もして頂きたいです。

やる気が出るのでよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ