表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/14

七月最後の学校。

今回は杏寿視点。

いつも杏寿は、学校に来るのが最後の方で、時に遅刻しそうになる。

体調をギリギリまで整えておきたくて、

「よし、なんとか行ける。」

と思ってから外を出ると早くは着けないし、自転車も、のんびりしか漕がない。


緑色のつるつるした廊下にはもう誰もいなくて、ホームルーム直前だった。

杏寿はこのアウェイ感がどうも苦手だけれど、やはり体調第一。


クラスは一階の真ん中あたり。

廊下と教室を隔てる窓付きの壁からは、杏寿のスカートが長いことは分からないから、特に誰も目を向けない。

ほかにも理由はあるのだろうけど。


高校の一年も半分が過ぎ、杏寿は自分がどう見られているのか理解してきた。

未だに仲良くしようと近づいてくる子たちが正直、杏寿には目障りというか、本当は嬉しいのだけれど、合わないと決めつけてしまう。


休み時間チャイムが鳴って、限界が来ると杏寿は髪をくしゃくしゃにして、背を曲げて、校舎から離れた日当たりのいい植え込みに座って光合成をする。

その姿を見つけるのは、大抵が移動教室が多い三年生で、そこから噂が広がり、「微動だにしない植え込みの妖怪がいる。」と言われるようになった。

さすがに一年にもその噂は広まってしまい、杏寿が休み時間に重たい空気から逃げていくこの行動は、興味や馬鹿にされる対象になった。


杏寿に興味を持つ人の一人に、とても素敵な人が居る。この子と仲良くなったら心強いこと間違いなしの。

「ねえ。」

と言われると、授業後の光合成ができないからという理由で、私はその場を去った。


最後にその子に話しかけてもらって三日過ぎた。


夏休み前の最終日。

杏寿は大きく深呼吸をして、よわよわしい力で教室の戸を開けた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ