第二節 復活
「タケル タケル 聞こえるか?」
「うーん、んんん…満月?」
「タケルが甦った! タケルが甦ったぞ!」
ハウンドが小さく囁いて皆に伝えた。皆が小さく歓喜する。
「タケル、分かるか? 俺が分かるか?」
タケルはその質問に答えることが出来なかった。その質問は非常に解答しがたい質問であったからだ。
「俺はハウンドだ。ハウンド・ドッグ。君と一緒にゲームをプレイしていたハウンドだよ。」
「ハウンド?」
ヤマトタケルは今の状況が何が何だか把握できなかった。無理もない。彼は車の事故にあった直後の記憶と、その後に見たこともない人物から何やかんやら質問されていたからだった。
『非常に満月が眩しい…』
彼が伝えるのはこれが必死の状況であった。
「あぁ、今日は満月さ。大丈夫。君が起きてくれればそれだけでいいさ。」そうハウンドは言って、ヤマトタケルに休むよう促した。
「申し訳ない、眠い、眠りたい。」
「いいよ、疲れてるんだ。眠ってくれ。」
ハウンドはそうタケルに伝え、今は眠ることを優先させた。
「アウトサイダー、彼が再び起きたら私に連絡をくれ。私はサロンで皆にタケルの復活を伝えに行くよ。」
「了解だ。皆が喜ぶことだろう。」そうアウトサイダーは答えた。
ハウンドはそのアウトサイダーの返事を確認し、即座にタケルの元を去ろうとする。その時
「ハウンド…ハウンド…」と、ヤマトタケルはハウンドを引き留める。
「なぜ、俺は今あなたと会ってるんだ? 俺は日本にいて、そして恐らく事故に遭った。あなたとはゲームでしか知り合ったことがない。そして…」
ハウンドは答えた。「今はいい。君は初めて私と出会った。でも、私はずっと君を見てきていたよ。今はまず待つことだ。待ってて。」そう言ってハウンドはタケルの元を去っていく。
ヤマトタケルは足早に去って行くハウンドにさらに言った。「ハウンド…あなたがそんなに若いとは知らなかった。」
その一言はハウンドに届いていない。それをヤマトタケルも理解していた。
ゲーム上で、若さや年齢などを一切気にしなかったヤマトタケルであったが、ハウンドのあまりの若さにただただヤマトタケルは驚いたのであった。




