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安曇源蔵君は意外と好かれてるそうです

慎吾だと思ったか? 残念源蔵君でした!


ユリアちゃんと別れ少し歩くと、木山の家である八百屋『木山青果』が見えてきた。

大きさは一軒家を少しだけ大きくした程度の店だ。

安曇は肉屋の息子で、木山は八百屋の息子なんだ。

安曇があの体型なのは売れ残った惣菜が夕飯になってるからで、やっぱり今の時代は油物はあまり人気が無いっておじさんが愚痴ってたよ。


「いらっしゃい慎吾君、元春なら中で冬美に勉強を教えてるよ♪」


「あらあらまあまあ、いらっしゃい慎吾君♪

少し見ない間に逞しくなったわねぇ♪」


「こんにちはおじさんおばさん」


このジャニー○に居そうな超絶イケメン(金髪高身長、イケボ)が木山のお父さんで、おっとりとした黒髪美人がお母さんだ。

何処かでマッマなんてアダ名で人気がありそうな人だが、今を生きる人なのは忘れない様に。

ちなみに冬美ちゃんとは木山の妹で、凄く可愛い黒髪の女の子だ。

確か小学二年だか三年だったはず。


「まったく、元春は私と違って頭が良いし面倒見も良いしで凄いな」


「何を言いますか、あなたに似て優しい子ですよ♪」


「いやいや、君に似て逞しい子だよ」


そして何より、この二人は惚気る! そう惚気るのだ!

ぶっちゃけ木山はこの二人に全く似てないのに定番の『君に似て~』からの『あなたに似て~』で惚気まくるのだ。

なんだよこの夫婦は、僕の家と大して変わらないじゃないかなんて思ってる内に木山と意気投合して今に至るのですよね。

裏に回りチャイムを鳴らすと、紺のジーンズに某有名メーカーのロゴが小さく描かれた黒シャツを来た木山が出迎えてくれた。

コイツ、本当にスタイルは凄く良いよな。

言い方は悪いけど、顔は標本の頭蓋骨に粘土を薄く張ったレベルなのに体つきは雑誌のカメラマンがスカウトするレベルなんだよ。


「おぉ、慎吾かよく来たね」


「慎吾お兄さんこんにちは♪」


「こんにちは冬美ちゃん」


「立ち話もなんだし早く上がりなよ」


「お茶用意してくるね♪」


木山がこの間と喋り方が違うのは、僕達ならキャラ作りって解るからだけど冬美ちゃん位の年齢だと何でも真似しちゃうから僕達の暗黙のルールで彼女の前だと普通に喋るってのが有るんだ。

僕は木山に招かれ、リビングである畳み張りの和室に入る。


「む、慎吾が最後だね」


「安曇の方が早かったか」


「うむ」


「お待たせ慎吾お兄さん♪」


「ありがとう」


冬美ちゃんは僕の前に麦茶を注いだグラスを置くと、すぐに安曇の横に行き宿題を見てもらう。

それを見てついニヤニヤしちゃう僕と木山、一目見れば解ると思うけど冬美ちゃんは安曇が好きだ。

なんでもちょっと前にトラックに引かれそうになった時に助けてもらったとかなんとか。

安曇は確かに滅茶苦茶太ってる(体重100㎏超え)だけど、100mは10秒切るし遠投は70mを超える超絶スポーツマンなんだ。

木山は木山で学年一位を取る程の天才だし、少しでも容姿や態度を変えれば学校の人気者になれるのにそれをしない辺りに少し笑っちゃう。


「げ、源蔵さん……ここってどうすればいいのかな?」


「此処? 此処はね────」


「むぅ、冬美めやはり最近流行りのモテテク本を読んでたか」


「ははは、可愛いじゃないか」


「当たり前だ」


服の袖を軽く引っ張り、腕を軽くくっつけながら上目遣いで訪ねる冬美ちゃんに僕達は微笑ましい物を感じる。

可愛らしく素晴らしい行動だ、だが(安曇には)無意味だ。

安曇は年上専門であり、ぶっちゃけ花見さんや華小路さんが迫ろうとも鼻で笑ってあしらう程だ。

ちなみに木山は二次専だから佐々木○や前田敦○みたいな人が迫ろうがガン無視する程にヤバいんだ。

有る意味、だからこそ花見さんはこの二人との居心地が良さそうなのかな?


「さて……と、僕達も課題を進めようか」


「だね」


僕達も課題を取り出して始める。

木山曰く、理数系は基礎をどれだけやったかの勝負らしい。

古文や歴史は文法や意味を覚える事が大事らしいけど、理数系はとにかく基礎。

間違える人は基礎を間違えてそこから大きくずれていくって言ってた。

まぁ、勉強しても並みより下の僕には無縁の世界だから『らしい』とか『だって』って着くけどね。


「ところで慎吾は『この街マップ』は何処を調べるつもりだ?」


僕達に出された課題で最も厄介な物、それがこの街マップだ。

読んで字の如く、僕達が住むこの街の見所を紹介するんだ。

出来が良い物は駅のパンフレットコーナーに並べられ遊びに来た人の手に渡るんだ、だからこそ先生達も気合いを入れて滅茶苦茶厳しく見てくる。

ほんと、困る課題だよ。


「僕はね、バイト先を紹介しようかなって思ってる」


「慎吾のバイト先と言うと……」


「カクエツとサクラ食堂」


「おぉ、そう言えばそうだったな」


スーパーカクエツ、たまに僕がバイトしてる場所だ。

主に友人知人に家族への贈り物をしたい時に数日だけ働かせてもらってるんだ。

時給が凄く良い拘りスーパー、なんて地元では呼ばれてるんだ。

確か惣菜コーナーの天婦羅は前職が銀座とか六本木の有名店の前親方だったり、寿司コーナーは暖簾を譲った大将だったり、カレーコーナーはインドで勉強を終えたばかりの新星だったりと拘りが強いせいかオーナーさんのパイプを使って集めた職人ばかりなんだ。


サクラ食堂ってのは母さんの職場の側に有る定食屋で、親父さんが腰が悪くて入院とかで居ない時に手伝いをしてる場所だ。

看板娘兼実質店長の優理花姉さんは兄さんと仲が悪くて、どっちが僕の兄(姉)に相応しいか喧嘩してるよ。


「昼を食べたら行くか?」


「その前でも良いよ。

腕が落ちてないか調べたいから、弁当は四人で食べるでもいいし」


「それでは……」


「両親は仕事でクタクタ、ならたまにはそれでも良いんじゃない?」


「う、うむ」


そうと決まると、僕達はすぐに課題を終わらせた。

そして冬美ちゃんに弁当は夕食にするように伝えると、三人で家を出て魔王(この街マップ)を倒すために旅立つのだった。

ところで皆さんはどんな惣菜が好きですか?

自分はサバの味噌煮等の魚類が好きです。

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