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並の人間では敵わない化け物を瞬殺する男と出会ったところが全ての始まりでした。

世界観とか、必要な情報は、カノンが心の中で順次補足していくので、徐々にわかると思います。

この世界には十数人の英雄がいる。その英雄たちが、協力して世界を滅びの運命から救った。そして、中でも4人の英雄が人々の前に立った。


1人は伝説になるような大国を作るため。1人は運命を断ち切れるだけの力を持つ国を作るため。1人は惰眠こそ正義というスローガンが受け入れられるような国を作るため。1人は誰しもが自由に、平等に、平和に生きれる国を作るため。


私、カノン・クローヴィスは、四つめの国。自由と平等を掲げる四葉共和国の冒険者だ。


カノン「ミーシャさん、今日もウルフ狩りの依頼受けるよ」


ミーシャ「はい、頑張って下さいね?命大事にですよ?」


カノン「わかってる」


足早にギルドを出て、いつもの狩場に向かった。ウルフは群れで襲いかかってくる。現在私は5匹に囲まれていた。でもこれはいつものパターンだ。


カノン「…《シャドウ・バインド》」


魔法。この世界で、女性に与えられた形勢をひっくり返す力。まあごく稀に男でも使える人がいるらしいけど。今私が使ったシャドウ・バインドは、相手の影を地面に縛り付け、動きを封じる魔法。続けて私は剣を抜き、構え、詠唱する。


カノン「《エンハンス・アイス》」


刀身に氷を纏い、切れ味と耐久を上げ、その上氷属性を付与する、優秀な魔法で、私が1番得意な魔法だ。そしてこの氷の刀身は、伸ばすことが出来る。私はその場で回転斬りをし、5匹まとめて葬った。道中10匹程狩ったので、もう充分だろう。


私は懐からギルドカードを取り出した。ギルドカードは魔力を流すことで、持ち主の戦果が見れる便利な物。ギルドに保管されている魔力か、所有者の魔力にしか反応しないので、プライバシーも守られる。身分証明にもかなり役立つまさに必需品だ。


カノン「うん、しっかり記録されてる。…帰りますか」


1人で冒険者やっていると独り言が増える。これは割と当たっている俗説かもしれないと、最近思い始めてきた。とりあえず私は街へと歩き始めた。それからしばらくした時。奴と出くわした。


カノン「嘘…」


左目に傷を負った白銀の体毛を持つ特殊個体、確か…


サキト「シルヴィア・ウルフか…」


その男はいつの間にか、さもそこにいることが当たり前のように立っていた。


カノン「Sランクモンスターですよ!?」


現に対峙しているだけで私は身動きが取れなくなっていた。


サキト「せっかく見つけた弟子候補をここで失うわけにゃ行かねぇからな」


カノン「え?弟子?」


彼はゆっくりと背中の剣を抜く。細身の両手剣といった感じだが、彼は片手で軽々と持っていた。


サキト「加減しないと折れそうだな…」


次の瞬間、彼の姿が消えた。私以上に動体視力の良いシルヴィア・ウルフも見失っている。


サキト「ほい終わり」


後ろに回り込んだ彼が、やつの首を落としていた。


カノン「え?」


サキト「無事…だよな?」


これが私と彼。英雄の1人にして、四葉共和国を作った、藍色の英雄。サキト・ヴァン・クローバーとの出会いだった。


この後は、特に何事もなく街に戻ることができた。そこで彼とは1度別れ、ギルドに戻り報酬を受け取ったあと、私は彼に指定された建物に向かった。


サキト「よう、来たな」


ハルナ「いらっしゃ…はぁ、また女の子ですか」


サキト「…意識はしてないんだけどな」


カノン「あの…」


サキト「ああ、ごめん。俺はサキト、こっちはハルナ。俺の妻で、パートナーだ」


ハルナ「よろしくお願いしますね?」


カノン「あ、はい。よろしくお願いします…」


うん。全く状況が読めない。何で呼ばれたんだろ?ていうかなんか弟子がどうとか言っていたような…


ハルナ「まさか何も説明せずにここに連れてきたんですか?」


カノン「はい。何も説明されていません。というかサキトって…あのサキト様ですか?」


サキト「様はやめろ。なんかむず痒いから。まあ一応英雄のサキトだな。あとお前を呼んだ理由は、俺の弟子にするためだ」


やっぱり弟子にされるんだ。…え!?本当に!?だってサキトさ…んって十数人いる英雄の中でも最強の一角…そんな人の弟子に?


カノン「む、無理ですよ!私はただのEランク冒険者ですよ?」


この世界のギルドに所属している冒険者にはF〜A、それからS、SS、SSS、Heroicまでのランクが設定されている。


サキト「でもお前、二色持ちだろ?」


カノン「っ!?」


この世界の人間は魔力を保持している。そして、保持している魔力には色がある。色によって得意、不得意な魔法がわかるのだ。普通は1色しか持たないはずだけれど、1万人に1人は二色持っているらしい。


因みに3色持っている人もいる。最高で7色らしいけれど、今のところ7色持ちは最強の英雄の1人、南の国、悠久諸島を纏めるユイ様だけだ。


カノン「確かに二色持ちですが…」


私の色は群青と黒。群青は氷や水の上位魔法。黒は上位の闇魔法を得意とする。一般的に濃い色ほど、上位の魔法が使える。


サキト「お前には才能がある。あとは歩き出すかこのまま立ち止まっているかの2択だ」


…やってみようかな。だって私達の住む平和な国を創った最強の英雄からお墨付きを頂いたんだもの。


カノン「私、やってみます」


サキト「そうか。よかった」


ハルナ「話、纏まりました?」


私達の前にお茶を出しながらハルナさんが聞いてくる。


サキト「おう、弟子になってくれるってさ」


ハルナ「そうですか…カノンさん、これからよろしくお願いしますね?」


カノン「はい。…あれ?私名前って」


サキト「明日お前にはランク昇格試験を受けて貰うから、お茶飲んだら帰ってすぐ休めよ?」


カノン「あっ、はい」


…どうして私の名前知っていたんだろう。


まあ、悪い人ではないので、深く詮索しないことにした。そういえばDランクへの昇格試験って何倒すんだったっけ…Eランクで多少の贅沢ができるくらいの収入を得られるようになってから、全く昇格のことなんて頭になかったからな…


ハルナ「…まずは1人。ですね?」


サキト「ああ。早くピース埋めないとな」


カノン「あの?何か?」


ハルナ「いえ。なんでもないですよ?」


カノン「そろそろお暇しますね」


サキト「おう。明日朝6時ギルドで」


次の日。ギルドに着くと、サキトさんは既にいた。


サキト「おはようカノン。寝れたか?」


カノン「色々あって疲れたのでぐっすりと」


サキト「そうか。…今回俺が手伝おうと思ったが、その必要はなさそうだ」


受付を親指で指さしながらそう言う。受付には3人の人がいた。


ソル「受けれないってどういうことだよミーシャさん!」


マナ「事情を説明しなさいよ!」


リンカ「えっと…あの…」


そこにサキトさんが歩み寄る。


サキト「なんかあったんですか?」


ミーシャ「実はDランク昇格試験の対象モンスター、ダイアウルフの縄張りの近くで危険なモンスターが発見されたため、昇格試験が受けれないんです」


ソル「だったらそいつごと俺がやるって!」


マナ「いや、あたしがやるっての!」


リンカ「皆さん落ち着いて…」


サキト「因みに何でたの?」


ミーシャ「えっと、コカトリスとギア・ウルフです」


サキトさん以外、もちろん私も顔が青ざめる。コカトリスはまあいい。あれは確かCランクの昇格試験の対象モンスターだけど、相手にできなくは無い。


問題はギア・ウルフだ。ギア種には多くの種類がいるらしい。ただ、それらは地下の巨大ダンジョン。【アンダーワールド】に生息しているはずなのだ。そして、ギア種とは、遥か古に、他の神々を殺し、世界と神器を略奪する機械として、破壊神ゼドが生み出したとされる種。恐ろしく強い。はぐれて地上に出てきた場合は、SSSランクの冒険者が10人派遣されるレベルにヤバい。


サキト「じゃ、俺がギア種やるからお前らパーティ組んでダイアウルフとコカトリスやってこいよ」


とんでもないこと言ったよこの人。まあできなくもない…はずだけども。


ミーシャ「あ、あの。ギア種ですよ?」


サキト「大丈夫。俺、一応英雄だから」


それだけ言って出て行ってしまった。


ソル「なあ、あんた。今の知り合いだろ?誰なんだ?」


カノン「サキト様よ。本人は様付け嫌いらしいからさん付けで呼んであげて」


全員「…ええぇ!?」


ミーシャ「さ、サキト様って言ったら四葉共和国を創り上げた方じゃないですか!…まさか本物に会えるなんて…」


マナ「そんな人と知り合いなんて…何者?」


カノン「私はカノン。カノン・クローヴィス。一応サキトさんの弟子?です」


ミーシャ「カノンさん…いつの間に…」


リンカ「あの、とりあえず昇格試験受けたほうが…」


マナ「それもそうね」


ソル「ミーシャさん!」


ミーシャ「まあ、サキト様もああ言っていましたし…わかりました。お気おつけて」


こうして私達はパーティを組んで、初めてのクエストに挑んだ。移動中に他の皆からも自己紹介して貰った。大体みんな同い歳くらいだと思う。


ソル「俺はソル・ウルフェン!ソルでいいぜ。武器はナックル。色は朱だ!」


ソルは赤髪で元気いっぱいな感じ。金属系の鎧はつけていないみたい。


マナ「私はマナ・リュミール。攻撃魔法が得意よ。色は赤色、黄緑色、水色よ」


マナは茶髪のツインテールで、俗に言う黒魔道士っぽい服装をしている。3色持ちらしい。


リンカ「リンカ・シュタインです…実はエルフです。錬金術と白魔法が得意です。色は純白と深緑です…よろしくお願いします」


リンカはフードを脱いで、丁寧にお辞儀した。髪は黄緑のショートボブで、とんがった耳が特徴的であり、人間よりも比較的に魔法が得意な種族のエルフだ。特に錬金術は使える人が少ない珍しい術だ。


カノン「改めて、私はカノン・クローヴィス。戦闘スタイルは魔法剣士。色は群青と黒。よろしく」


一応私の容姿は黒髪のロングで、軽鎧を装備している。武器は駆け出しの冒険者に人気のブロンズソード。本来なら色々買い換えてもいい時期だけど、氷魔法の付与で、かなり性能が上がるので今のところは変える予定がない。


ソル「なぁ、意外とこのパーティ、バランスいいんじゃないか?」


マナ「あとは探索系が欲しいわね」


カノン「一応私、索敵魔法得意だけど」


リンカ「私も錬金術で索敵アイテム作れるので…」


マナ「…ほんとにバランスいいわね」


話が途切れたところで、目的地に着いた。サキトさんは見たところ、近くにいないようだ。


マナ「カノン、いる?」


カノン「《サーチ》…コカトリスとダイアウルフ確認。作戦は?」


ソル「気合いで突撃!」


カノン「却下」


リンカ「あの、コカトリスの石化は私が解けるので…」


カノン「わかった。リンカは支援に徹して。マナは遠距離から、ソルは前衛で、私は中距離から遊撃するわ」


全員「了解!」


私達は2匹の前に躍り出た。


ソル「よっしゃぁ!やったろうぜ!《エンハンス・フレイム》!」


え?ソルって明らかにバカっぽいのに魔法使えるの?いや、馬鹿だから多分男が魔法使えないって知らないんだろう。この世界では感情を込めると結果が良くなる傾向がある。できないわけがないという思い込みが彼に魔法を使わせているんだろう。


ソル「うぉりゃぁぁ!硬ぇぇぇぇ!」


ダイアウルフに連撃を与え続けるが、ダメージが入っているか怪しい。


リンカ「ダイアウルフって…火耐性が…」


カノン「マナ。コカトリスを牽制しといて。私がダイアウルフを仕留める」


マナ「了解!《ファイア・バレット》!」


コカトリスがマナに気を取られているうちに滑り込み、ダイアウルフの背後をとる


カノン「避けて、ソル。《エンハンス・アイス》」


ソル「避けた!ついでに蹴り飛ばしてお前のほう向かせた!」


奇襲にはならないけど、多分行けるはず。肥大化した氷の刀身がダイアウルフの額に触れる。その瞬間、やつの顔が砕けた。


ソル「うぉ!?何した?」


カノン「熱せられた顔面を急速冷凍して、粉砕したの。あ、原理は理解しなくていいから」


ソル「そっか!やっぱりお前凄いな!」


カノン「次、コカトリス」


ソル「おう!」


マナ「くぅ…」


流石に魔法使いに囮を任せたのは失敗だった?攻撃の合間をすり抜け、コカトリスの鋭い爪がマナに迫る。


リンカ「…《ホーリー・バリア》」


マナを球体が包み込み、身を守った。


マナ「サンキュ!リンカ!」


リンカは続けてソルに魔法を発動した。


リンカ「《パワーライズ・チェイン・シャープネス》」


マナ「二重魔法!?」


ソル「おお!なんか行ける気がするぜ!」


カノン「コカトリスの弱点は火、決めて」


ソル「任された!」


ソルの強化マシマシの炎の拳が、コカトリスを一撃で打ち砕いた。


ソル「っしゃぁぁぁ!!」


カノン「うるさい。…でもお疲れ様」


マナ「お疲れ様!」


リンカ「お疲れ様…です」


戦闘の終わりもつかの間、後ろから強い殺気とプレッシャーを感じた。目の前にいるマナの顔が青ざめる。


マナ「き、金属の体を持つモンスターって…ギア種…よね?」


どうやら私の後ろにはギア種がいるらしい。


サキト「動くなよ、ひよっこ共」


ハルナ「ここからは私達の依頼です」


私は後ろに振り返った。


ギア・ウルフがまさにサキトに飛びついていた。それを見据えながらサキトは漆黒の剣を抜いた。


サキト「流石にギア種には神器を使わねぇとな…《ソウル・トレード》。イリス、奴を終わらせる。力を貸してくれ」


イリス「了解です。マスター」


剣が藍色の刀身を纏う。神器や、業物の武器には剣姫という、意識のようなものが宿るらしい。あれがサキトさんの神器の剣姫の声なのだろう。


そしてソウル・トレード。サキトさんの持つスキルらしい。この世界のスキルはいくつか種類がある。一般的に誰でも頑張れば覚えるものをコモンスキル。習得条件が難しい、もしくは不明なものをレアスキル。そして、神様から授かったスキルをヒロイックスキル。そして、後天的、あるいは先天的に人為的に無理やり習得させられたスキルを、カーススキルという。


サキトさんのソウル・トレードは、魔力を代償に身体能力を飛躍的に上昇させる、カーススキルらしい。詳しいことは知らない。サキトさんは無造作に横に剣を振った。これだけで、ギア・ウルフは真っ二つになった。そしてギア・ウルフの後ろからもう一体ギア・ウルフが出てきた。


カノン「2体目!?」


マナ「危ない!」


ハルナ「白崎流剣術初伝…《白雫》!」


ハルナさんがいつの間にかサキトさんの前に立ち、刀で上段切りを放った。刀が触れた瞬間、ギア・ウルフの体が砕け散った。


ハルナ「ふぅ、間一髪でしたね」


サキト「助かった。サンキュな」


ソル「すっげー!白崎流剣術だ!英雄ユキさんの編み出したレアスキルだぜ!」


ハルナ「あら、ご存知でしたか」


カノン「一時はどうなることかと…」


サキト「すまん、ハルナを呼んでたら遅れた。さ、ギルドに戻ろうぜ」


サキトさんはさっさと行ってしまった。


ハルナ「こういう戦闘、サキト君にとっては日常茶飯事なので…」


はは…と笑ってハルナさんも行ってしまう。


マナ「とりあえず…戻ろっか?」


リンカ「長居は無用です」


ソル「なんつうか…英雄ってすげー!」


カノン「あそこを目指さなきゃいけないのか…」


私の修行の道は長く険しそうだ。


ネタが尽きるまで書き続けます。生あたたかい目で見守ってください。

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