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仔猫の行方5

 マナリエはその後も何度か魔法使たちに会った。

 次に出会った時に輪に留めていた仔猫に、ジンが驚いた顔をしたのは覚えている。だが、ジンとは個人的に言葉を交わすことはなく、話すのはたいていシアとだった。

  マナリエが確実に年をとっていっても、シアはずっと少女のままだった。他の魔法使も変化してはいなかったのだろうけど、なまじ少女の姿であるだけに、シアは目立った。

 もしかしたらジンが自分の実父だったのではないかと思うようになったのは、実母であるリリカシア=アズライアが亡くなったあとだ。

 そのころマナは義理の弟である皇太子の妃に配されていた。いずれ皇太子が即位した折にリリカシアとなるためだ。普通なら他国から迎えることの多いリアーナ候補が妃となり、リリカシア候補は側室の扱いになるのが普通なのだが、当の皇太子が頑としてマナリエ以外の皇太子妃を拒んだのだ。

 リリカシア=アズライアは戦死だった。

 まだまだ代替わりには早く、隙間を埋めるために故王兄の側室だったアマリエ·フィラナンドラが形式上のリリカシアとして立った。世界は混沌を深めており、リリカシアの空位は許されなかった。

 リリカシア=アズライアの死にまつわるゴタゴタが片付いた頃、リアーナがふと言ったのだ。

 「そういえば、その仔猫はアジャにもらったの?」

 マナは覚えていなかったが、仔猫は元々はリリカシア=アズライアの持ち物だったらしい。マナを胎内に宿して帰って来たときに、輪に下がっていたそうだ。

 シアがなぜかくれたこと。

 シアの夫であるジンの、いつかの表情。

 そんなものを考え合わせて、自分の実父はジンかもしれないと思ったけれど、それを確かめることはできなかった。リリカシア=アズライアの死後、魔法使たちも行方不明になったからだ。

 その後、魔術大戦とも呼ばれる戦いは何もかもを巻き込んで、さらに混迷を極めて行った。

 マナがジンに自分の実父であるかを問いただすことはなかった。答えははるかな未来にひょんな形で現れてくる事になる。

仔猫の行方はここで終わりです。

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