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叱られる方が悪いんです!

 特訓を終えてバイルに感謝の言葉を伝え私達はベジルフレア城を後にする。


「バイルさん。今日はありがとう。感謝するわ」


 私につられて「あ、ありがとうございました!」とサトウが大きく声をあげる。


 そんな私達にバイルは笑みを浮かべる。


「おうよ。次は負けないからなカミル! サトウって言ったな? タウリの奴は負けず嫌いだ。確りぶっ飛ばせよ! ガハハ」と豪快に応援してくれたわ。


 その日はライパンの市場でメルリ、ペンネ、アララと合流してから大量の食材を買い、洋館でサトウの前祝いを皆で行う事にしたわ。


 最近はスケルトン軍団の皆が料理を覚えたから大量の食事の用意も凄くスムーズなの。


 今日は庭で皆でスペアリブと焼肉パーティーよ。


 デンキチ達やクレレが楽しそうにはしゃぐ中、私はサトウに肉がてんこ盛りになった皿を手渡す。


「確り食べなさいサトウ! 明日は全カロリーを使いきるくらい大変な試験になる筈よ!」


 肉を食べながら「ウスッ!」と何故か体育会系な返答をするサトウ。


 泣いても笑っても試験は1日のみ、頑張って貰わなくちゃね。


 賑やかな夜、楽しくも不安な夜、まるで月が雲に飲み込まれ光がなくなっていくような寂しさにも似た気持ち……私は多分、サトウが心配で仕方無いのだと理解している。


 庭の片隅に一人、空を見上げる私。


「らしくないわね、サトウを心配するなんて、いつも自分勝手で周りを振り回すのに皆の中心にいつも居る、本当に変わらないんだから……嫌になるわね」


 私は皆がお腹一杯に食事を楽しんだ事を確認するとデンキチ、スカーと言った自身の使い魔達を影に戻す。


 メルリと後片付けをしながら私は不思議と笑っていた。


「お嬢様、駄目ですよ! そんな可愛い笑顔をサトウに見せたら夜のデザートにされてしまいます!」


 うわ~とんでも無い発言してきたわね?


「大丈夫よ、今のサトウはそんな事しないわよ。私が保証するわ。それに昔は手すら握れなくて、触れ合うまでに一週間は掛かったわ……私から無理矢理手を繋いで、サトウから女性わ、襲うなんて有り得ないわよ」


 私はそう語る、しかし、私は甘かった。

 私とメルリの会話を食器を運んで来たサトウに聞かれてしまったの……


「あ、あのカミルさん……なんでそんな事を知ってるのさ……」


 サトウの声に後ろを振り向く私。


「な、なんの話よ? 今の話は女神のパルムから聞いた話よ。聞かれて困る話でもないでしょ?」


 咄嗟に嘘をついてしまった……ドラゴンや精霊が居る異世界には閻魔は存在するのかしら……もし居るなら舌を抜かれるわね。


 そんな事を思いながら真っ直ぐにサトウの目を見つめる。

 目を反らせば私は嘘を突き通せなくなる……今回は貫かないといけない! 明日の試験に支障がでたら全てが無駄になるわ。


「でも、今確かに……俺の事を直接知ってる風に言ったじゃないか?」


 そんな時、メルリが包丁を手に私とサトウの間を裂くように降り下ろす。片手にはフォークやナイフが無数に握られ闇に包まれた笑みを浮かべている。


「お嬢様に質問をするのは構いません……でも、お嬢様に対する口答えは赦す気は有りません!」


 メルリの手から無数のナイフとフォークが勢いよく投げ出され、回避するサトウ、それを追うメルリ。


 そして、次のメルリの攻撃に対してサトウが盾に使った物……私が少しづつ読もうと決めた1冊……


「あっ!」と言うメルリの声、それに「へ?」と反応するサトウ。


 私は拳を握り「アンタ達ッ! 表に出なさい!」


 そのあとは長い御説教タイム、当然よね?


 此れでサトウが負けたなら、更に御説教なんだから。

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