色々ありすぎてパニックなんですが?
朝日が私の顔を嫌がらせのように照らしあかす……眠たい……
昨日いつ寝たのか覚えていない……。
「完全な寝落ちだわ……ハッ!!」
私は寝る前に読んでいた『不滅の伝説』を慌てて探す。
枕の下、布団の中、ベットの下に至るまで探したが本は何処にもなかった。
ヤバい……昨日借りたのに……もう無くしたの私のバカァ……
「そうだ! タウリにあの本が何処で買えるか聞こう! ついでにお金も借りないと!」
ズルいなぁ~私、最低だわ……じゃない! ママを本気で怒らせたら、私の今日のおやつが! ママのお手製アップルパイが無くなる!
ダダダダダッ! バタン!
「タウリッ!! 開けるわよ」
タウリの部屋の中は殺風景で本棚、ベット、机しかない。私もタウリの事を言えないくらい殺風景な部屋なんだけどし、流石に7才の部屋にしては寂し過ぎるんだよな~?
そんな私の目に入るタウリの寝顔。
そうよね? 7才の男の子なのよね。なのに私は情けない……謝ろう、素直に謝っておやつ抜きにされたら……タウリのおやつを3分の2貰えばいいわ、よしッ!!
そんな私の前で寝返りをしたタウリの下から姿を現した『不滅の伝説』私は拳を握り震わせた。
「タウリーーーーッ!! 起きなさい、さぁ? 何で妹の部屋にあった筈の『不滅の伝説がこの部屋にあるのか答えなさいよ!」
寝ぼけ眼を擦り起きるタウリの目に入ってくる私の殺伐とした表情。流石にタウリも不味いと言う顔を浮かべる。
「あ……カミル、朝からどうしたのさ!」
「ふふふ、問答無用よッ!! 妹の部屋に忍び込むシスコンには天誅!!!」
「うわぁぁぁぁ! タンマ!! タンマッ!!」
私の丸一日、本を捲ることで鍛えられた指の力は実に一日握力UPの筋トレグッズを使用し続けたのと同等の筋トレになる、そして今、その力を発揮する時がきた!!
「必殺のデコパッチンッ!!」
焦るタウリが手を正面にした瞬間。その手が私の目には真っ赤に見えた。そしてデコピンをしようとした私の手を目にも止まらぬ早さで掴んで見せた。
『もうッ!! なんて危ないチビッ子なの。今の一撃は危なすぎるんだからね? 私に感謝しなさい』
タウリの腕から、にょろりと姿を現した液体は姿を次第に変えていくと掌サイズの女の子になったの。私は自分の目を疑った。それは紛れもなく使い魔であり、『水使いの精霊 』つまり精霊クラスの強力使い魔だった。
「なっ!! 精霊なの?」
私の反応に満足げに頷いて見せる精霊、そのドヤ顔は悔しいが可愛すぎる。寧ろ虫カゴに入れて毎日観ても私はニヤニヤするくらいファンシーだったわ。
『そうよ。私は水使い精霊のクエンちゃんなのよ。其れよりチビッ子ッ! 危ないでしょ? あの一撃もし炸裂させたらタウリがお星さまに為っちゃってたわよ』
私は確かに全力でデコピンをするつもりだった。でも、大げさ過ぎるでしょ?
私はタウリの部屋にあった。未使用のノートを手に取り、取り敢えずデコピンを軽くかましてみた。
ズタンッ!!…………
ノートをデコピンして出る音ではない事は言うまでもない、私はデコピンを喧嘩の際、使用する事を禁止しようと決めたわ。
・『全ての職を極めし者『無意識のキラー』を取得しました』
・『全ての職を極めし者『デコピン魔王』を取得しました』
待って……職業に有り得ない物が混じってるし!
「何なのよ……この威力」
私は小さい頃からの癖で無意識に手をグッと握っては開く、グッパー運動を睡眠中にしていたのだ。私は本を大切にと自身の力を封印していたらしく、タウリへの怒りがそのストッパーを外してしまったらしい。
その光景に青ざめるタウリ。そんなタウリの頭を撫でるクエン。私だけ悪者みたいなポジションになっている。
「でも! 勝手に本を持ち出したタウリが悪いんだから、頭の1つや2つ無くなっても仕方ないじゃない!
『アンタの頭はお花畑なのッ!! 頭は1つなのよ! 本の為にタウリをお星さまにする気だったわけ!』
「知らなかったんだし仕方ないじゃない! それに今もタウリは元気なんだし、いいじゃない」
『良くないわよ!』
『「うううううっ!!」』
「取り合えず、わかったわ。謝るわよ……」
私はタウリの前に座り素直に頭を下げた。
「お兄ちゃん、その知らなかったから、ごめんなさい」
「いや、その……理由もわかったし、其れよりこの本が何で俺の部屋に在るかが分からないんだけど?」
はっ? 私は素直に謝ってるのに……タウリは知らぬと……ふ~んそうですか……
「私はちゃんと謝ったのに……お兄ちゃんは、カミルに嘘をつくんだね……お兄ちゃんなんかッ!! 大キライ!」
私の言葉に泣きそうなタウリ。たが当然の報いだ。シスコンには此れが一番効く筈だわ。
『ちょっと! タウリは本を持ち出してないわよ。持ってきたのは私だもん』
クエンは夜ヒマになり、フラフラとしてたら、私の部屋の蝋燭が付いたままなのに気づき消しに入ったらしい。その時に読み掛けの『不滅の伝説』を見つけてタウリの部屋に持ち帰り朝方まで楽しんでいたのだ。
「なら! アンタが犯人じゃない」
『クエンは悪くないモン! 借りただけだもんね。それに蝋燭消してあげたじゃない』
言いたいだけ言い合うとその後は仲直りだ。私とクエンは仲良くなっていた。本が好きで好きで仕方ないクエンが私に似ているからだろう。
それからクエンとタウリに何故、召喚の儀で使い魔を出せないと嘘をついたのかを聞くことにした。正直、私もタウリに使い魔がいる事実に驚いている。
タウリとクエンの契約……
・クエンが自ら姿を見せない場合は相手に存在を話してはならない。
・契約者の前に姿を現していない際にも全体強化の力を与える。
・クエンを随時自由にする事、ただしクエンは一定範囲以上契約者から離れない。
召喚の儀で姿を現さなかった以上、タウリは使い魔の存在を口に出来なかったのだ。
私は使い魔をペットみたいな物と誤解していたが、使い魔にも確りと意思が在ることを再確認した。
タウリが家の庭で稽古を開始する。私は秘密基地に行き図書館の本を読む。そしてクエンは一定範囲のタウリの部屋で『不滅の伝説』を楽しんでいる。
私も早く使い魔が欲しい。そしたらタウリとクエンみたいになれるかなぁ……
そんな私は図書館の本を4日で読破していた。
・『全ての職を極めし者『召喚を知る者』を取得しました』
・『全ての職を極めし者『召喚士』を取得しました』
・『全ての職を極めし者『知識を貪る者』を取得しました』
私はその日、召喚士の職業を手に入れた。