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サトウは頑張らないとです。

 サトウを睨み付けるタウリ……なんでこうなるかな?


「おい、お前! 俺の可愛い妹に何をする気だ! いいかよく聞け、カミルは俺のモノだ!」


 な! タ、タウリ……


 タウリのふざけた発言がこれ以上続くと面倒だわ。


 私はメルリに目で合図をする。それに頷くとタウリの背後からフライパンが勢いよく襲い掛かる。

 鈍い“ゴンッ!”と言う音がなるとタウリが頭を両手で押さえてその場に膝をつく。


 流石に聞いたみたいね? しかし容赦ないわねメルリ……まぁわかってはいたけど。


 メルリはタウリとサトウを睨み付けるとまるで仇でも見るように冷たい目を向けたまま声をあげたの。


「お嬢様の大切な物も心も体も全て私のモノです! 野蛮な男にお嬢様は渡しません!」


 うわ……忘れてたわ、メルリはそう言う子だったわね……取り敢えず止めよう。


「ハァ……アンタ達、いい加減にしなさい。サトウ、話を戻すわ、この世界で生きていくの?」


 タウリのメルリを放置して私はサトウと会話を再開したの。


「俺は元の世界に戻っても寝たきりの状態でな、孫にまで迷惑がられる厄介者なんだ。出来ればこの世界に居たい」


 何よ、寝たきりとか……帰れなんて言えないじゃないのよ。


「好きにしなさい。メルリ……パルムを連れてきて」


 メルリが頷き縛られた状態のパルムが連れて来られる。

 私はパルムと取引をすることにしたの。


 話は簡単、サトウに危険予知と鑑定の瞳、後は剣術の加護を与えるようにお願いしたの。


 交換条件は無事にパルム自身を開放する事、今回のパルムの横暴な行動を許す事と必要な際に協力要請を受け入れると言う事にしたわ。


 内容だけ見たら理不尽に見えるけど、パルムの最初に行おうとした全てを奪う作戦を考えたら許すんだから、感謝して欲しいわ。


 協力関係になるのはマルルからの念話があり、頼まれたからと言うのが理由にあるの、マルルからしたらパルムはまだまだ半人前みたいなのよね? お爺ちゃんと孫みたいな感覚なのかしら、ほっとけないのね?


「わかったのん。サトウにはちゃんと加護をつけるのん」


 縄がとかれ解放されたパルムは大きく伸びをすると意外にも素直に条件を受け入れた。


 私は甘いと自覚はある、それでも寝たきりの生活を送りながら死を待つ人生なんて辛すぎるわ。


 タウリはその決断に猛反対したの、状況を理解していない事もあり、サトウの存在を危険だと判断したんだと思う。


 そんなタウリは私にある提案をしてきたの、予想外の提案に少し悩まされたわ。


「カミル、ならソイツを騎士学院に編入させよう。騎士学院なら試験をパスすれば入れる、何より3食住が約束されるからな。ソイツを野放しにしてカミルに何かあれば俺は兄として一生後悔するしな」


 凄まじい熱意で語るタウリ、でもサトウはそれを受け入れたの。


「俺が騎士になれるかはわからないけど、今は住む場所が確かに必要だ、野宿や空き家探しにも限界があるからね」


 こうして、サトウは騎士学院に入学する為の試験を受ける事になったの。


 その日の晩は仕方無く洋館の空き部屋に泊まらせたわ。

 信じてない訳じゃないけど、ドアの前にはロクさんとスケルトン軍団を配置したわ。


 最初に私の使い魔達を目の当たりにして、眼が飛び出しそうなくらい驚いたサトウの顔は忘れられないわね。


 次の日、私はサトウを連れてタウリの待つ騎士学院に向かったの。


 試験をいきなり行う事に意義を唱えてきた連中には取り敢えず寝てもらったわ。

 学院長との直接交渉がまとまり、試験を2日後に行う事に決定したの、対戦相手はタウリになったわ。


 この試験はポイントを元に合格点に達するか否かで決まるシンプルな試験で、審判3人による判断と不正防止の為の監視が2人の5人が見張り役となる仕組みになってるわ。


 あえてタウリを対戦相手にしたのは不正を分かりやすく見極める為の学院長の苦肉の策ね。


 私は2日後迄にサトウを鍛えて是が非でも騎士学院に入学させるわ、そうしないと私も寝覚めが悪くなるし、洋館に居すわられても困るわ。


 話が決まったその日からサトウの地獄のような2日間が始まる。


「さぁ、ビシビシいくわよサトウ!」



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