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最低男を捜すんです!

 私の記憶に微かに残る優しい笑み、今となれば深い極まりないその顔を私は思い浮かべ、怒りがこみ上げる。


「取り敢えず、パルムタークは長いし呼びにくいから、アンタはパルムに改名しなさい。それと、あの最低男は何処に居るの!」


 デンキチによる百叩き開始から79発目にして私はパルムタークをパルムと呼ぶ事を決めたわ、拒否権は無しの強制命名よ。


「な、なんでなのん! 私はパルムタークって名前があるのん」


 必死にそう叫ぶ女神、だけど、百叩きされながら何を言われても気にもならないわ。


 因みに拒否をしたならば、私と戦わなければいけないので悔しそうな表情を浮かべたまま、パルムに改名したわ。


「わかったのん……いつか、後悔させてやるんだから!」


「デンキチッ! 今からの21発は強めでお願い。仕返しに来るらしいから、確りね」


『いいの?』


「いいわ!」


 私の声に手を振り上げるデンキチ、その時、泣きながらパルムが声をあげたの。


「やめて、うぅぅ、反省する、ううん、反省しましたのん」


 残り21発を保留にして、私はパルムに最低男である元カレの居場所を聞き出す。

 パルムが口にした地名は隣のザカメレアであり、女神の加護として、【言語翻訳(コンタクト)】と【危険予知】の力を与えられた事実を聞かされた、余計な能力を与えられてるわね。


「なんであんな最低男に加護まであげるわけ!」


 パルムに迫る私。


「仕方ないのん……だって普通に転移させたら言葉もわからないし、危険もいっぱいなのん、それに佐藤は優しいし、がんばり屋なのん」


 私の表情が強ばり、パルムを睨むように目を向ける。


「佐藤って名を口にしないで!」


 私の元カレ、佐藤(サトウ) 甘駄(カンタ)名前からして女(年下)に甘い性格で優柔不断に段位があるなら上段者に即なれるくらいの優男であり最低男よ。


 そんなサトウがザカメレアに居ると分かると私はしらみ潰しに捜す事を決めたわ。


 方法は簡単、マップでこの世界以外の存在を検索し、ザカメレア王国のサトウの居る街に催眠魔法を掛けて街ごと眠らせる。

 そのあと、サトウを見つけだして捕まえる。完璧な作戦だわ。


 早速、メルリの使い魔であるガルーダに乗り、ザカメレア上空に移動した私はマップで検索をする。

 しかし、マップには反応がでない。


「変ね、なんでみつからないの?」と私が不思議に首を傾げるとパルムが小さく呟いた。


「……き、危険予知の加護があるから、探索魔法みたいな能力には反応しないのよん……だから私にも今、何処に居るのかわからないのん」


 ブチッ……


 私の中で何かが弾けるような音が響いた気がする……怒りメーターが吹っ飛んだのね。


 地上に降りると私はデンキチを召喚する。


「デンキチ……残りの21発をお願い。全力で……」


『「えっ!」』と声を合わすように言葉を発するデンキチとパルム、二人の言いたいことは分かるわ、でも……我慢の限界よ!


「まつの、待つの! 今すぐに加護を解除するの、だから待つの!」


 間一髪で女神はお尻を赤く染めずにすんだわ。

 そして、サトウの危険予知が解除されたの。



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