やり過ぎ飲み過ぎ、反省です。
メルリが部屋をノックしてカーテンを開ける。
朝日の光が私の部屋に射し込み、ベッドから起き上がる私、本来ならば清々しい筈の朝の目覚めだけど、今日は最悪よ……頭は痛いし、フラフラする……
「風邪かしら……」
「単なる飲み過ぎです。お嬢様、やけ酒に深酒、悪酔いと本当に大変だったんですよ?」
記憶に無いなぁ……確かに凄い量のワインを飲んだような? 前にカッシュにあんなに酒で文句を言ったのに自分がこれとは、反省で頭が痛いわね。
「なんで洋館で寝てるの? 確か洋館は出してなかった筈よね?」
私の質問に頭を抱えるメルリ。
「他にも色々と問題があります、ですが先ずは簡単に説明をいたします」
そう、私は空地を見つけて勝手に洋館を出すとそのままベッドに潜り眠りに着いていたらしいの、あまりの身勝手な真実に眼もあてられないわ。
「あはは、急いで移動しましょう……流石に気まずいわ」
酔いが一瞬で覚めるような状況に困惑しながら外にでると、洋館の前にカルメロが両手を組み立っていたの。
私の姿を見て「ハァ~」と溜め息を吐くカルメロは私にある紙を手渡したの。
「何これ?」
其処には請求書と書かれた文字と金額が書かれ、その請求額は2500万ロンドと書かれていたわ。
「ちょっと、何よ! このふざけた金額……桁が半端ないじゃないの!」
流石の私も庭付きマイホームと同じ金額を前に動揺したわ。
カルメロは再度溜め息を吐くと訳を話してくれたの。
「昨日の夜中、カミル、お前と他二人の連れが飲み屋街で喧嘩、店を3軒吹き飛ばし、怪我人多数、更に止めに入った兵士を数十人、病院送り……寧ろ店の修理費用の半額のみの請求だ、半分は非公開だがザカメレア王国の客人と言う立場にあるので国が払う事になった」
やらかしたわ、でも待って? 店の修理だけでいいのよね。
「カルメロ! 早い話が店の修理が出来れば問題ないのよね?」
質問に頷くカルメロはなんとも渋い表情を浮かべているが間違いなく解決の糸口がみえたわ。
序でに暴れた魔王と女神も起こして即行動よ。
私は怪我人多数と聞き、メルリと二日酔いのアララを病院に向かわせ、私はペンネと吹き飛ばした飲み屋街の一角に向かった。
飲み屋街は朝から大騒ぎ、後片付けに、野次馬と夜より、人が集まっているんじゃないかと思う程だったわ。
そんな片付けをしている店のオーナーさんをカルメロに教えてもらい、私はペンネと素直に謝罪したの。
「本当にすみませんでした……謝って済むとは考えていませんが、謝らせてください」
オーナーさんは怒ったような顔をしながらも、諦めたように疲れた笑みを作り出したの。
「いいのよ、どうせ、私の店はゴロツキと荒くればかりで喧嘩はしょっちゅうだったの、潮時ってやつね。修理費用はゆっくりでいいよ。今更、急いで工事しても数ヵ月は掛かるからね」
「お店は今すぐに直します。外装とお店の形を教えて貰えないですか?」
半信半疑ながらも吹き飛ばした飲み屋の詳しい話をしてくれるオーナーさん。
私は言われた通りの形を思い描き、作製魔法を使い、店をその場で修復する。
新築のように木の柱は輝き、厨房には石の釜戸、床は木の色合いを利用したチェック柄にしたわ。
更に家具と収納棚と必要な装備を作り出したの。
「これは、アンタ凄いのね? 店を吹き飛ばしただけでなく、新品にするなんて……」
ペンネも謝罪の気持ちからか、マドラッドから麦とワインを届ける事を約束したの。良いとこあるわよね?
それから残りの2軒も同様に謝罪と店の修理をさせてもらい全ては丸く収まったわ。
余りの早業にカルメロは驚いていたけど、私からしたら普段通りなんだけど?
その日の夜、3軒の飲み屋は大盛況、お酒は私がカルメロに頼んでザカメレア王国の酒蔵から“つけ”で借りたの。
料理は空間魔法に入れていた小麦粉を使って市販の干し肉や生肉を使い“干し肉と野菜のピザ”と“トリ唐揚げ”、更に蜂蜜とブロック肉を煮込んだ“やわらか煮”の3品から好きな物を選んでもらう形にしたの。
好きなお酒に好きな食べ物を選べるなんて最高に贅沢よね?
麦があるなら、ビールとかも出来ないかしら?
取り敢えず今日はお店の手伝いを頑張らないと、因みに病院に向かったメルリとアララには怪我人に特効薬として蜂蜜の入ったカプセルを配って飲ませて貰ったの。
怪我人にゼロで病院は儲け損なったけど、私は大満足の結果になったわ。
飲み過ぎに注意することも覚えたし、いい薬になったわ。




