流れるように王様に会いに向かうんです
温泉を堪能した私は皆の笑みを浮かべる姿に喜びを感じていたわ。
私の発案でお風呂上がりに“牛乳”を腰に手をあて一気飲み。
不思議そうに真似するメルリとペンネ、クレレとアララは気にしないで一気のみしてたわ。
アララは酔っぱらって良く分からないまま、楽しそうに笑ってるし、クレレは泳ぎ着かれたからと牛乳を2杯一気飲み……お腹壊さなきゃいいけど?
マルルは気付いたら温泉から居なくなってたわ、まぁ一緒に上がる訳にはいかないわよね? 色々聞きたかったけど、次の機会にするしかなさそうね。
温泉を堪能した私達は次の朝には再度、ベジルフレア城に行かねばならない。
王様と此れからの話し合いをすることになったからなんだけど、私も強制参加なの……ペンネとメルリが行けば問題ないと考えてたから、“強制”の言葉の恐ろしさを感じたわ。
温泉からラッペン邸に足を運ぶ私達はルフレとラッペンお爺ちゃんが笑いながら庭で激しい戦いを繰り広げているのを見て、急いで止めようとしたけど、メリア御姉ちゃんが私達を逆に止めたの。
「二人は大丈夫よ。御父様もルフレもお城での事をうやむやにしておけないだけなのよ」
そう言ってラッペン邸の中に通される私達、結局ルフレとラッペンお爺ちゃんの戦いはラッペンお爺ちゃんに軍配があがったみたい。
室内に戻ってきたルフレは私に「城内では済まなかった……しかし、自身が間違っていたとは思わない」と珍しく悩みながら語って来たわ。
「ルフレは間違ってないわよ? だって其れが仕事なんでしょ? 私は偶然許されたけど、本来なら許される事じゃないから」
少しぎこちない会話をしながらも、その日の夜は楽しい気持ちを保ったまま今日は寝ようと心に決め、パジャマに着替えてベッドに横になる。
明日は明日で何とかなるわよね。
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私の額に窓から射し込む太陽の光、少し寝足りないような感覚を切り替えると水差しから水を桶に注ぎ込む。
少し冷たい水で無理矢理、目を冷まさせると、ラッペンお爺ちゃんの用意してくれた全体が赤色で胸にオレンジ色の花飾りがついたドレスを身に纏う。
丁度着替えが終わる頃、部屋を“トンっトン”ノックする音。
扉が開かれ、姿を現した3人の女性はペンネ、メルリ、アララだったわ。
ペンネは黒紫のドレスに赤い薔薇のチョーカーと言う攻撃的な色合いを選んだわ。
メルリは青いドレスに黄色い花の髪飾りを付けた落ち着いた着こなしをしてたわ。
最後にアララは全身を白一色で統一した美しいドレス姿で髪飾りには真珠を使われているのが凄く素敵。
「皆、凄く素敵。なんか不思議よね。女神に魔王に元ギャングの娘が私みたいな一般人と一緒に居るなんて、笑っちゃうわ」
私の発言に不思議そうに見つめ返す3人の姿。
「お嬢様? 自覚が足りませんよ。お嬢様を一般人だと思ってる人は限られております。少なくとも私達3人は一般人としては見ていませんよ」
笑いながらストレートに私にそう言うメルリに頷くペンネとアララ。
「そうよね? カミルは一般人ではないですね。女神の御墨付きですから間違いないです」
「確かに、妾を使い魔などとふざけた事をするカミルが一般人の筈がない。魔王の中の魔王いや、大魔神と言うべきじゃろうな」
そう語る3人に同意するようにビルクが頷く。
『アハハっ! 確かに魔神から見ても主は異端な存在だぜ? 人間辞めても職には困らないな』
いつから居たわけ! てか……
「ビルク……着替えてる時から居たわけね……来てデンキチッ!」
私の影から姿を現すデンキチ、話を聞いてた見たいでビルクを即座に捕まえたわ。
『カミル捕まえたよ。ビルクをどうする?』
「決まってるわ! 激辛ソースの刑にするわ。と言う事でカッシュの厨房に連行して!」
『ヌガ、少し可哀想……でも、仕方ない』
口を塞がれ、私の意思で小さくなる能力を禁止されたビルクが連れて行かれる。
厨房から『ぎにゃあぁぁぁ』と叫び声が聞こえデンキチが戻ってくるとタラコ唇になったビルクが涙目で私に謝ってきたので許してあげたわ。
「お嬢様、そろそろ向かいましょう、遊んでる時間は終わりですよ。馬車が迎えに来てくれたみたいです」
「そうね。行きましょう。ビルク、アンタも来るのよ。肩に乗りなさい」
私達はベジルフレア城から来た馬車に乗り込み王城へと向かっていく。
揺れる馬車の中、私達は笑みを浮かべる。今日の交渉次第でマドラッドは大きく変わるわ。




