ザカメレアの戦士達です2
私はメルリ達に防衛を任せ、カルメロと真っ直ぐに向き合っていたわ。
「カルメロさん、取り敢えず聞くけど、引いてくれないわよね?」
出来たら知り合いとは戦いたくない……
「無論、引く気など毛頭無い!」
つるつるのカルメロの頭を見れば意味はまさに明らかね。
会話と言うには余りに短い時間、でも、互いの考えは理解したわ。
私に対して斧を構えるカルメロの表情に迷いは無い、寧ろ感情を殺して戦士として、そして騎士として振る舞ってるように見える。
「ちょっと待ったァァァッ!」
背後から大声をあげながら私とカルメロの間を割るように登場したのはタウリだったの。
剣とナイフを両手に握り普段のエッチな顔つきが嘘みたいに凛々しく見えたわ。
でも、相手が悪いわ、カルメロはザカメレアの騎士でタウリは見習い、勝ち目があるなんて思えないわ。
「タウリッ! 其処をどいて、相手は本物の騎士なのよ」
「だからだよ! 俺もずっと騎士に成る為に鍛練を続けてきたんだ! 敵が自分より強いからとか身分がとか、関係ないんだ! カミルは早くこの戦いを終わらせろ。最後まで愛する妹の為に力を貸してやるからさ」
タウリ……それフラグよ! よくある「帰ったら、俺、結婚するんです!」のやつと同じじゃない!
タウリの言葉に標的を私からタウリに変えたの、二人共、ヤル気満々で、私の入る余地がなくなったわ。
合図の無いままにタウリから先攻で攻撃を開始したの、カルメロが斧で防衛をしながらあしらうようにもう片方の手で握られた斧でタウリに切り掛かる。
ガギンッ! ギギギギ……
「うむ、勢いは良し、剣筋も的確だな。故に躱すも守るも容易い。まるで教えを忠実に守る優等生だな」
カルメロの声に顔をしかめるタウリ、しかし直ぐにタウリは笑ったの。
そこからタウリの剣が変則的にカルメロに向けられていく。
時にはマニュアル通りの剣術であり、時にはオリジナルのナイフを使ったトリッキー剣術、カルメロが斧で防衛をすれば後ろに下がり、構えを取った瞬間に足元を狙い剣を振るう。
剣士の剣術とも騎士の剣術とも違う、まるで映画のアサシンのような戦い方でカルメロを翻弄していったの。
「なんと、姑息な戦術か! 騎士を目指す者と思い、命は奪うまいと考えていたが……考えを改めよう!」
男二人が戦いを楽んでるみたい? でも、これ以上はタウリが危ないわ。
「二人共、ごめん! ハアァァァァ!」
「「な(ぬ)、カミル!」」
戦いに口を挟むのは良くない、でも手は出すわ!
二人まとめて氷付けにして、引き分けで無理矢理納得して貰ったわ。
パチパチ、パチパチ。
「実に見事な冷凍魔法じゃないか、まさか、あのお嬢ちゃんがこんな凄い魔法使いだなんて驚いたよ。でも此処までみたいだね?」
ディストルが徐に海を指差したの、其処には、ベジルフレアの国旗の描かれたマストの艦隊と4隻の大型船が向かってきてたの。
4隻の大型船には、【龍】【鳳凰】【麒麟】【玄武】が描かれ、仰々しい雰囲気と存在感を皆に与えていたわ。
「噂に名高い、ベジルフレアの四大災、大魔導師“グラベル=キッシュ”。
貴族にして、大召喚師“トリム=ラッペン”。
生きる伝説と称される“バリカ=クレイ”。
ベジルフレアの狂戦士、“クラウン=バイル”、麟鳳亀竜の登場だ。マドラッドは今日終焉を迎える運命なんだ、賢い君ならわかるよね、カミルちゃん?」
不味いわね、おじいちゃんに、じい様だけでも大変なのに……麟鳳亀竜全員が相手なんて、絶対にじい様に叱られるじゃない……
「私は諦めないわ、ディストルさん、貴方を倒して先にザカメレアに敗北宣言をしてもらうわ!」
「本気かい、僕は強いよ?」
イケメンの鼻持ちなら無い余裕発言、油断してる証拠と思って頑張るしかない!




