ザカメレアの戦士達です。
私のせいなのか分からないけど、ペンネって呼び方なの!
「何でそうなるのよ!」
「それは妾のセリフじゃ! 妾は魔王なのじゃ、何が悲しくて人間の……しかも! 女神の手先なんぞに使い魔にされねば為らぬのじゃ!」
外にはザカメレアの艦隊、マドラッドには怒るペンネ……カオスな状況だわ……
「あの、カミルは私の手下じゃありませんよ? 寧ろ……私も使い魔扱いなんです」
少し小さめな声でそう口にするアララ、女神が使い魔をカミングアウトするなんて、勇気あるわね?
そこから、女神と魔王の話し合い。
私はそんな数分をメルリ達と作戦会議に使ったの。
簡単に考えれば、氷を陸地として使えば間違いなく勝機は魔王軍にあるわ。
問題はペンネが力を貸してくれるかよね?
「アハハハ、五次元世界“ララリルル”の 女神アラナラムルが食べ物で使い魔にされたのか! なんと愚かな! アハハハ」
いきなり、笑い転げるペンネに私は驚いたわ。
アララは真っ赤な顔でペンネに笑わないように言ってるけど、無理みたいね。
「妾と女神が同等ならば! 今回はカミルよ妾が女神にかわり力を貸してやろうではないか!」
「私も戦えますから! カミルからも言ってください、このままじゃ私の立場がありません!」
よく分からないけど、アララもペンネも遣る気みたい、あとは“死亡者0”って言うマルルの無茶な言い分を貫くだけね。
「ペンネ、今から言うことを確り聞いて、他の魔族の皆もよ。今から敵は全員生け捕り、誰も死なない様にして勝つのよ!」
「ふざけでないぞ! 何故、妾達が人間の為にそんな手間を!」
怒り狂うペンネの声に私は冷静に受け答えをしたわ。
「いい……ペンネ、貴女は先に喧嘩を売って、私達を危険視して襲って、ついでに敗北したのよ? なのに自由に行動してるの、意味が分かるかしら? 既に文句を言う資格なんて無いのよ!」
「うぅぅぅ……」
ペンネが折れたわ。
私達はマドラッドの周りを更に氷を作り、その氷に目には分からないような角度をつけて坂のようにしたの。
私達が作業を終わらせる頃に艦隊から次々に姿を現すザカメレア兵の姿、私達も急いで戦闘の準備を開始したわ。
向かってくる大軍に対して私達の取った行動は“油大作戦”よ!
マドラッドには油を大量に作る植物型の魔物が居たの。
当然、魔物でも、植物ならジュレは自在に操り複製を作る事もできるの。
魔物の名前はアブラナ。
「さぁ、油を吐き出しなさい!」
私の指示で一斉に吐き出される油、ザカメレア兵が油で足を滑らせ、坂になっている氷を振り出しまで戻って行ったわ。
正直、勝つとか負けるとかじゃない。止めれるか止めれないかの2択しかないの。
次々に滑り落ちるザカメレア兵達、でも、確実に距離を縮められてる。
問題は相手に自分達が攻めてると思わせる事にあるの。
坂の先には滑り台式の落とし穴があり、落ちてきた敵はクラブスパイダー達の巣で押さえてから、ビルクの力で小さくして、タウリ達と魔族達が籠に捕まえる。
勢いで登りきれば捕まり、下に滑り落ちれば、振り出しに戻る。
心が砕けるまで何度でも氷を再生するわ。
そんな、私の作戦を打ち砕く為に次に向かってくる巨大な人影、そう、カルメロだったわ。
両手に大きな斧を持って手を大きく開き鼻息を荒くするカルメロ、本当に暴れ牛にしか見えないわ。
カルメロは斧を氷に突き立てると斧に火炎魔法を纏わせて、油に炎を引火させたの。
氷が一気に火の海になり、私は目を凝らしたわ。
油まみれのザカメレア兵達が炎に近づいていく、私の最悪な考えが当たらないで欲しいわね。
「あちぃぃぃ!」と炎が引火したザカメレア兵が転げ回ると炎が他の兵にも引火し始めたの。
私は仕方ないと覚悟を決めて飛び出したわ。
水魔法を使い、兵士を次々に消火していく私、そんな私の姿を目の当たりにしたカルメロは大声をあげたわ。
「此処で何をしている! 魔王に加担しているようだが、ザカメレア王国と本気で戦う気なのか、答えよカミル!」
私だって、分からないわよ!
「ザカメレアと本気で戦う気は無いけど、ペンネ達を見捨てられないわ!」
私の答えに怒りをむき出しに鼻息を荒くする姿、本当に参るわ、しかも後ろにはディストル=クレムスの姿もあるし、本気にならないと止められないかも。




