作戦、ライパン、最後の八つ当たりですか?3
住宅街でやり過ぎた私は、今まさにメリア御姉ちゃんからのお仕置き中……はぅ――
私のせいじゃないのに……ついてないわ。
因みに隣にメルリも正座させられてるわ……何でお仕置きになると決まって正座なのかしら?
「カ・ミ・ル! ルフレに迷惑かけたら駄目でしょ! ラッペン御父様から聞いたけど、家も出たみたいだし」
そう言うと大きな溜め息を吐くメリア御姉ちゃん、でも仕方無いじゃない!
「だって! あのボルボルム伯爵が悪いのよ! 弱い者苛めしてたんだから」
私の反論、正義の冒険者なら絶対に分かってくれる筈よ!
「反省がないわね……」
ヒッ! 何でそんなに怒るのよーー!
「メリア御姉ちゃんのバカァァァァ!」
走り出す私、しかし確りと腕をメリア御姉ちゃんに掴まれました……あはは、脱出失敗……
それからルフレが帰宅する一時間程の時間を怒られたわ。正直、じい様と同じくらい怖かったわ。
ルフレが帰宅するとその後ろにあの眼鏡っ子がいたのよね。
どうしても御礼が言いたいと付いてきたらしいの。うんうん、いい子ね。
そう言えば自己紹介が未だだったわね?
「あの……ありがとうございました! 御礼も言えずにすみませんでした」
「いいわよ。私はミルシュ=カミル、そこで正座してるのがメルリね、私達にお仕置きしてるのがメリア御姉ちゃんよ」
背中からのメリア御姉ちゃんの視線が痛い……
「あ、私はフレシア=ノールです。よろしくお願いします」
自己紹介を済ませると、フレシアを招いての食事、相変わらずカッシュの料理は抜群ね。
食事を済ませると直ぐにラッペンがフレシアに「何故、ボルボルムの奴にからまれたのかね?」とナイスな質問をしてくれたわ。
理由はフレシアの商品に有ったみたいなの、それが激辛ソース“チリチリまる”。
ボルボルムは小瓶に入った薄いピンクの液体をジュースと勘違いしてイッキ飲みしたらしいの……それで邸を失うなんて……言葉が見つからないわね。
因みに味は……
「辛ッ! なんて破壊力なの……」
軽く指に垂らして舐めた私の口は大火災になったわ。
「メルリ……水よ……!」
メルリから貰った水を飲み気付いたわ、ボルボルム伯爵って辛いの大丈夫な奴なのね……此れをイッキ飲みなんて侮れないわ!
フレシアの故郷は寒い場所みたいで、この激辛ソース“チリチリまる”が必需品らしいのよね。
因みにスープなどに一滴垂らせば済むので長持ちするらしいのよね。
話を聞いてわかったのが“チリチリまる”を世界に広める為に旅をしてるらしいって事ね。偉いわ。
因みに故郷から持ってきた“チリチリまる”は一本しか売れなかったらしいわ、味見したら皆、怒りだしたらしいの……味見は必要だけど……
そんな激辛ソースを味見したカッシュは目を輝かせたのよね。
一本買って厨房に走っていったの……嫌な予感しかしないわ。
その日はトリム邸に泊まる事になったの。
次の日の朝……やっぱり来たわね!
鮮やかなピンク一色の料理がテーブルに並び、私は恐怖したわ。
恐る恐る口に運ぶと程好い辛さに食が進む。
「カッシュ? 凄く美味しいわ! 何をしたの」
カッシュは“チリチリまる”を希釈して誰でも美味しく食べれるようにしたの。流石カッシュね。
因みに料理は“チリチリチキン”と“ポトフみたいなスープ”に“豆の炒め物”だったわ。
どれも辛ウマだったわね。
フレシアはカッシュから希釈方を聞いてから御礼を言って旅立って行ったわ。
また会えるかしら?
そんな朝からチリチリで始まった私の1日はラッペンに蜂蜜を渡すところから始まったわ。
渡し忘れてたのよね。それからクラブスパイダーの糸の交渉と慌ただしく過ぎていったの、疲れたわ。
なんか忘れてるような……! アララの事、忘れてた!
慌てて帰る私達に泣き付くアララ。
「カミルのバカ、バカ、バカァァァァ、寂しかったんですよ!」
可愛い女神の事を忘れてたなんて言えないわね?
夕食の時間になり、アララも含めて洋館に居る子達と養蜂場の皆とご飯にしたの。
ビルクの力で食費は大助かりよ。ビルクに感謝ね。
その日から洋館にアララも暮らす事になったわ。
賑やかで良いわね。それにアララは元々、私の家族だし最高ね。
そんな私達はのんびり御風呂タイム。明日も楽しまないとね。




