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作戦、ライパン、最後の八つ当たりですか?

 料理作戦は大成功に終わったわ。ただ、食べ過ぎたマルル神が屋敷のソファーに寝てるのよね……


「すみません、カミル……まさか大神であるマルサ=チヨル様が屋敷にまで来るとは思いませんでした」


 なに汐らしくなってるのよ?


「とにかく、もし、アララが女神を首になっても私が居るんだから大丈夫よ。アララを一人にはしないわ!」


 私の言葉にアララが泣いちゃった、可愛いんだから、でもアララをこれ以上泣かせないんだから。


 時間が流れ朝の空気と太陽の輝きが洋館を照らす。同時にマルルを起こし、朝食を食べる。


 アララも一緒の席についてもらったわ。


「マルサ=チヨルさんお話が!」と立ち上がる私にマルルが微笑む。


「マルルで構わんよ、心は読めるのでな、アララの事なら心配するな。女神を続けてもらう積もりだ」


 マルルの言葉に喜ぶアララ、しかしそこからが予想外だったのよね。


「アララは女神だが、地上勤務に変更とする。仕事は危険人物の監視。今日中に人事で新しいララリルルの女神もしくは神を宛がうので、用意をするように、以上」


 な、アララを危険に晒すなんて赦さないんだがらッ! 心が読まれてても構わないわ!


「言い忘れてたが、監視対象は“ミルシュ=カミル”一人とする 。アララを頼んだぞ、危ないお嬢さん」


 最後まではめられたッ! 食えない人だわ、でも、悪い人じゃなかったわね? て、神か……


 それからアララは一旦、天界に。


 アララの使う部屋を片付けて引っ越し準備は完了ね。


 その日は午後から畑に向かったわ。普段はスケルトンやメガ達に任せきりだから、たまには働かないとね。


「みんな、手伝いに来たわよ」


『カミル。来てくれたんだな』


 相変わらずのメガの“だな”語は可愛らしいと思うのよね。見た目が厳ついからギャップなのよね多分?


 デンキチとメガの二人が豪快に広げた畑は種蒔きが終わって発芽を待つ段階だったわ。


 私は水魔法で水やり。魔法で御手伝いも楽チンね。

 養蜂場も順調でクイーン達のお陰で美味しい蜂蜜がいっぱい取れたの。


 ボスとジュレの二人も少し進展したみたいね。仲良く働いてるわ。


 気づいたら、養蜂場の蜂蜜がいっぱいね? なんか忘れてるわね……!


 ラッペンに蜂蜜届けないと! それに糸の事も忘れてた!


 私はメルリを連れて、ライパンに急いだの。


 行きはいつも通りにガルーダの背中に乗せて貰ったわ。

 いつ乗ってもこの風と一体になる感覚は最高ね。


 地上に見えるトンネルはあと数日で全面開通になるの。今は最終点検ね。


 そんな有意義な身近い空の旅を終えライパンに到着したの。


 王都ライパン、ベジルフレア王国の顔であり、上級層の貴族も多く住む住宅エリアに加え、露店商も多い。更に数多くの行商人達も自慢の商品を手に賑わう明るくて活気のある街、まさに日本で言う所の東京って感じかしら?

 建物も古めかしい造りだけど間違いなく他の村や町よりも未来的な造りで何回来ても飽きないわね。


「こんな物をワシに売る気かぃ? この詐欺師が! 何が世界一だ、笑わせるな!」と、わざとらしく声を荒げる真っ赤なコートに爵位の証を胸に輝かせる男。

 その隣には如何にも可愛くないガキ……いや、男の子が一人居たわ。


 ライパンで初めて、売り子に嫌がらせをしながら、文句を言う貴族を見たわ。


 あり得ないし、赦せないわね?


「デンキチ、スカー来て!」


 影から呼び出されたデンキチとスカーの姿に商人達の注目を一気に集める。

 ざわめく市場の中を私の後ろにメルリ、左右にデンキチとスカーが付いて歩く。


「ちょっと……聞いてて、気分悪いんだけど?」


 取り敢えずは話し合いよね? 理由もわからないし。


 そんな優しい私の考えを踏みにじるように後ろ向きに口にされる一言。


「庶民が……! このボルボルム伯爵に気安く話し掛けるなッ!」


 あ? 誰よ……ゴムボールって?


「知らないんだけど誰?」


 私の反応にイラッとしたみたいね、先に振り向いた男の子の表情が凍りついたのがよくわかるわ。

 それからゴムボール伯爵ね。デンキチと通常のウルフより巨大なスカーを見て目が飛び出しそうね?


 私の反応に苛立ちを露にしてゴムボール伯爵はどうやら、救いようが無いらしいわね……


「ねぇ、ゴムボール? アンタさ!」


「違いますよ、お嬢様、ボルボルムですよ……成金貴族で確かに爵位を有していますが、事業の失敗から貧乏貴族に成り下がってる小物です」


 すらすらとよく言うわね? 感心だわ、と言うより、メルリの知識は本当に役に立つわね。


「つまり、お嬢様に対しての言葉遣いを考えれば……この場で決闘を申し入れてもなんの問題もありません。普通なら有り得ませんが、今回は喧嘩を売られた側になりますので」


 メルリはそう言うとボルボルム伯爵を無視して、私に爵位の簡単な説明を開始したの勿論、相手に聞こえるように確りとした声でよ。メルリって策士よね。


 爵位にもランクがあり、一番下のボルボルム伯爵とラッペンの孫になった私とでは月とスッポン程にさがあったのよ。


 因みにラッペンは上から数えた方が早い感じのポジションで貴族でありながら、その発言1つで軍隊すら動かすらしいわ。


 そんな、ラッペンの話を聞かされたボルボルム伯爵と男の子が慌てて走り出したのよね、見た目以上に逃げ足が早いのに感心するわね。


「一昨日来なさい! それより、大丈夫なの怪我は無いかしら」


 私の話し掛ける先には、怯えて頭を低く屈めた状態で震えた、そばかすに眼鏡の田舎風な格好の女の子が泣きそうな声を出してたの。


 そんな時に姿を現した警備隊……そして今、私達はライパンでの2回目になる包囲をされてる真最中なのよね……。


 確か、警備隊もルフレの管轄だったわね。ふっふっふっ……久々にルフレに八つ当たりするしかないわね!

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