私達は楽しいんです6
サンデアの元に通された私達を待っていたのは、睡眠不足なのだろうか……顔色の良くないサンデアがそこにいたの。
「カミル、シュビナ王……来てくださり感謝致します……」
明らかに元気がないわね?
「サンデア、いったいどうしたのよ? 大丈夫?」
そう尋ねるとサンデアは力なく笑みを浮かべる。
「実は昨日の一件から、城内は意見が真っ二つに割れてしまいまして……賛成派と反対派が互いに意見を曲げず……私もソルトも困っているのです」
予想はしてたけど、想像以上に深刻なのかしら? 話を更に聞き、わかったのは女王であるサンデアと家臣達の信頼関係が薄い事実だったわ。
私は単純に考えて見ることにしたの、幾ら家臣達と信頼関係が薄いとしても、こんな明らかな形で揉め事を起こすとは考えにくいもの。
そして、城内に足を踏み入れてからの嫌な視線、今もシュビナと私を監視するように向けられているわ。
警戒されてるのよね……
「ねぇ、シュビナ……賛成派と反対派のどちらから話を聞くべきかしら?」
「な! この件にも首を突っ込む気なのか? 物好きだな……たく、ならカミルは賛成派の元に向かってくれ、俺は反対派の連中の口を割る」
う~ん……明らかに危ないわね?
「私が反対派に聞きに行くわ。そうじゃないと危ないし、シュビナが暴れたら相手が怪我じゃ済まないもの」
「信用ないなぁ? まぁ、確かに答え次第で、怪我じゃなく……骨1つ残さないつもりだったがな」
アッサリと怖いことを口にするんだから、本当に何処まで本気なのかしら?
「頼んだわよ、シュビナ。私も優しく質問するから、やり過ぎないようにね?」
「寧ろ、俺よりカミルに質問される連中の方が可哀想に感じるがな?」
私もそう感じるわ……でも、反対派の意見を聞かない事には何も始まらないもの。
先ずはサンデアに反対派の中心人物を数人教えて貰う事にしたわ。
教えて貰った人物の中には権力者として、大臣や将軍、複数の貴族と本当に権力が欲しいだけの連中がいっぱいだったわ。
取り敢えず貴族達は無視ね? 何かあれば、サンデアに領地と地位の剥奪を無理矢理にでもして貰えば済むもの。
それに反対派の貴族達は少数であり、賛成派の貴族達に領地を分配することで反乱よりもサンデアについた方がメリットがあると思わせることか出来るもの。
将軍達に関しては単なる嫌がらせね、海軍の力が上がる事を望まない者も多いから仕方ないと言えるわね? ただ、将軍達には大人しくしてて貰うわ……必要な時に偽バルキュリアに操られていたんだもの、今回は私の言うことを聞かせないとよね?
私の向かった先は大臣執務室、勿論、話し合いの為に来たんだけど……
「ミルシュ大使、大臣は只今、誰にも御会いになる気は無いとのことです、申し訳ございませんが、お引き取り下さい」
大臣直接の兵士が扉の前で私を制止する。
「そう、つまり……貴方達が止める訳ね。言っとくけど、私が話があるのよね? 大臣の都合は関係ないわッ! デンキチ! スカー! スケルトン軍団!」
速攻で召喚されるデンキチ達に絶望を表情に出す兵士達。
『構わないから、扉をぶち破りなさい!』
その言葉にデンキチを筆頭に一斉に突っ込む使い魔達。
“ズガァン!”
凄まじい勢いで、大臣執務室の扉が弾け飛ぶ。
執務室の中には数人の美女を侍らせた大臣と思われるオッサンと胸に複数の勲章をつけた将軍を思わせる男が酒を手に固まっていたの。
「話し合いに来たわよ? どちらが大臣なのかしら?」




