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異世界から異世界です10

──バトラング王国──フォレストタウン──


 バトラング王国へとシュビナ達と共に帰還した私。


 復興終了ギリギリまでレナクル王国にいた私は先にバトラング王国へと戻ったシュビナの迎えにより、強制的に連れ戻される事になったの。


 作業が一段落し、女王サンデアに呼ばれ、休憩を取っていると、突然シュビナが姿を現したの。



「さぁ、帰るぞカミル」


「ちょ、シュビナ? あと少しで復興が終わりそうなのよ!」


「だからだ! たく、いいから帰るぞ」


 女王サンデアが見守る中、私は、まさかのお姫様抱っこをされ、赤面したわ。


 シュビナは静かに女王サンデアに頭を下げる。


「すまないな、サンデア。俺の嫁を迎えに来たんだが構わないかな?」


「はい。寧ろ感謝致します、バトラング王」


 既に話が進み、私はそのまま、シュビナの用意した船に乗せられバトラング王国へと戻ったの。


「シュビナ、あんな事して、本当に恥ずかしかったのよ!」


 思い出す度に顔が赤くなるような感覚、自分自身でコントロール出来ない感情に苛立ちにも似た恥ずかしさを感じずには要られなかったわ。


「まあ、いいじゃないか? 俺は嘘は言っていないし、カミルも潮時と言う物が分かっていなかっただけの話だからな」


 潮時と言う言葉……私は長くレナクルの復興を手伝っていたせいで、レナクル王国自体の力で復興を成し遂げる重要性を忘れていた事実に気づかされたの。


「はあ……確かに、シュビナの言うとおりね。レナクル王国の人達が自身の力でやり遂げないと意味がないのね」


 反省する私の頭を軽く、クシャクシャにするシュビナ。


「カミルは良いことをしたんだ、笑顔でいるべきだと思うがな?」


 そう言うとシュビナは「その髪型は直した方がいいな、流石に爆発しすぎだ」と口にしたのよ。


「誰のせいよ! って、へ!」


 突如、手を掴まれ引き寄せられた私、シュビナは悪戯に微笑むと「俺以外にそんな事を許すようになるなよ、カルム=カミル」と耳元で囁やかれた。


 顔面が熱を帯びるように真っ赤になるとシュビナは楽しそうにバトラング王城に帰っていったの……いつか、仕返ししてやるわ。


 それでも、シュビナは本当に私を大切にしてくれてると思う、レナクルの件もそうだけど……凄く暖かい人だと心から感じるの。


 そんな気持ちに黄昏れていると、ハニーフォレスト学校のお昼の鐘が鳴り響く。


「もう、そんな時間なのね、シュビナもお昼くらい食べてから帰ればいいのに」


 独り言を呟くように立ち上がると、私は皆の待つハニーフォレスト学校へと向かう。


 実を言うと、サトウは大分前に給仕の為にフォレストタウンに戻っていたんだけど、現在は風邪で寝込んでいるの。


 そして、サトウが熱を出したと聞いてから、すぐにタリヤンがレナクル王国から給仕の為にバトラング王国にある、このハニーフォレスト学校の臨時給仕係りをすると名乗り出たの。


 タリヤンいわく「サトウが困る姿は見たくない……奴はバカだから、無理しても厨房に立とうとするだろうからな」と、可愛らしいくらいに、サトウを心配していたわ。


 意外にサトウとタリヤンはお似合いなのかも知れないわね。


 因みに、タリヤンの作るレナクル王国の料理は凄く子供達に人気よ。ただ、予想以上の食欲に最初はタリヤンもてんてこ舞になってたけど、それでも凄く楽しそうに見えるわ、子供には優しいみたいね。


 レナクル王国の料理人であり、女王サンデアの侍女でもあるタリヤンが、フォレストタリヤンの給食を作ってるなんて本当にびっくりよね。


 でも、凄く素敵な変化だと私は思うわ。


「カミル大使! お前も手伝え、人手が足りなすぎる。ヒトデに大鍋を運ばせてくれ!」


 本当に大変みたいね?


「わかったわよ、落ち着いてタリヤン。メルリ達もいるし、すぐにデンキチを呼ぶから」


 賑やかなお昼は素敵よね? さて、手伝いをしますか。

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