異世界から異世界です４
少しばかりの休憩を狭間の世界で過ごした私は気持ちと体の両方をリフレッシュした状態でアララと共に現実世界であるララリルルのレナクル王国へと帰還する。
消えかけた焚き火の前で目覚める私はアララの膝の上で横になっていたの。
「カミル、私はカミルが大好きですよ。ふふ」
見下ろすように微笑むアララ。
「この状況でそれは意味深よ、なんてね。ありがとうアララ」
私は立ち上がり、アララと共に皆の元に向かう。
早朝から臨時で作られた仮設キッチンで朝食の準備をするサトウとタリヤンの姿が其処にはあったの、メルリとシャムスは配膳の為のトレーとコップを用意していたの。
レナクル王国で将軍クラスのポジションの二人が給仕をするなんて、本当に少しづつ、常識が変わった証拠ね。
「アララ、私達も手伝うわよ」
「あ、え！ カミル、手伝うんですか！」
私の発言に驚くアララ、その答えは直ぐに明らかになったわ。
「お嬢様、申し訳ありませんが、食材に触れないでください」とメルリに止められる私……
私の持つ職業【殺人料理人】の存在を忘れていたわ……つまり、私が手伝うと、自然と毒を盛るも同然になるの……私はフグやヒョウモンダコ……とにかく、危険有毒生物と同じ扱い……悲しい。
今更だけど、私は料理などをする気がなくても、料理の流れに触れると自然に有毒な物に変えてしまうと言う、完全な呪い状態なの。
「そうね……私はおとなしくしてるわ」
かこ
アララが私の代わりに手伝いに残り、配膳を手伝う事になったわ。
私は取り敢えず朝の清んだ空気を全身に感じながら、酒に酔い寝ているレナクルとバトラングの男衆を起こして回る事にしたの。
そんな時、私の前からシュビナが数人の兵士を連れて歩いて来たの。
「……ん？ カミル、早起きは苦手じゃなかったのか、無理はよくないぞ？」
優しさなのだろうけど、無理して早起きをしていると思われている事実が凄く腹が立つわ。
「私だってたまにだけど、早起きするのよ！ それより、どうしたのよ？ 雨でもないのに髪がびしょ濡れじゃない！」
タオルを首に巻いた状態のシュビナは当たり前だと言わんばかりの表情を浮かべ、口を開いたの。
「それはそうだろう？ 船で数日を過ごしたんだ、体についた潮風と海水を洗い流してきたんだから、当然、髪も洗うさ」
水も滴るいい男……不覚にも認めてしまう私がいたわ。
「もう、いいから早く髪を乾かしなさいよ……まったく……」
シュビナの後ろにいた兵士達が要らぬ気をつかい、私とシュビナは二人きりの状態で、その場においていかれたの。
此れをチャンスだと感じた私は意を決して、シュビナに向けて口を開いたの。
「シュビナ、じつはバルキュリアは……」と、実際に起きた事実を口にする。
