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異世界から異世界です3

 私の考えを面白いと判断したアフロディアスがバルキュリアと共に五次元世界の神であるパルムタークのもとに即座に向かう。


「うわぁ、流石は神様ね? 目にも止まらぬ早さだわ」


 アララと共に待つこと数分、突然、私達のいたメクドナルドが歪み始めたの。


 次の瞬間には風情ある旅館の一室に代わり、私とアララは顔を見合わせる。


「いきなりなんなのよ? 畳とか、あ、アララ……直ぐに靴を脱がないと」


 慌てて靴を脱ぐ私達、入り口に繋がる扉を開く。


「ううっ……ううぅぅぅッ!」


「しっかりと押さえなさいよバルキュリア。それといいから、静かに拐われてなさいよ、パルムターク!」


 軽く、ぐるぐる巻きにされ口に手拭いを巻かれた状態のパルムタークと押さえつけるバルキュリア、そんな二人の姿をニコニコしながら見つめるアフロディアスの姿があったの。


 うわぁ……完全な人さらいならぬ、神隠しとでも、言うべきかしら……とにかく、女神が三人も目の前にいるのに、地獄絵図を見るような気分だわね。


 私とアララが固まる最中、簀巻にされた状態のパルムタークを担ぎ上げるバルキュリア。


 強制的に和室に連れ込まれるパルムターク、完全に半泣きね……


 そして、アフロディアスが喋りだしたの。


「チビパル、あんたに選択肢をあげるわ。従うか、骨も残らないよう、私達のオモチャにされるか選びなさい」


 理不尽過ぎるわ……あまりの理不尽さに私すらドン引きよ。


 そして、パルムタークの口から布がはずされたの。


「いきなり何を考えているのん! こんな事して、只で済むと思っているのん!」


 強気なパルムタークに対してアフロディアスは更に上から言葉を発したの。


「チビパル……私とバルキュリアは別次元にいく神であり、此方の干渉はうけない、更にカミルちゃんは私達についてるのよ?」


 そして、カウントダウンを開始したの。


「神々の決断……カウントダウンを開始するわよ。パルムターク……10、9、8、7……」


 カウントダウンの終わりが近づく、秒読みが次第に0へと近づいていくと同時にパルムタークの顔から威勢のよさが消え去り、血の気がひいていくように見える。


「ちょ、ちょっと待つのん! 何が望みかわからないと従うもなにもないのん!」


 パルムの心が折れたわね……此処からはゴリ押しからの詰みゲーね。


 女神とは思えない程の悪い笑顔を浮かべるアフロディアス。


 そして、カウントダウン3秒前で条件が告げられる。


「条件はカミルちゃんから聞いて、その間、カウントダウンはストップよ」


 アフロディアスから私にバトンが渡され、パルムに向けて条件を説明する。


「条件は1つ、アフロディアス達の行く世界と私達のいるララリルルを自由に往き来出来るようにしてほしいの」


「そんなの無理なのん! 次元を繋げたら、それだけ世界が不安定になるのん!」


 次元と次元を繋ぐ事で世界のバランスを破壊し、予期せぬ次元の波が生まれる恐れがあるとパルムは必死に私達に訴えたの。


 しかし、アフロディアスが意見を口にしたの。


「彼方の世界からは私が力を貸す、此方の世界からはチビパルが力を使う事で必要な時に移動出来るようにしてくれたらいいのよ。あんた一人に全部やれなんて言ってないわよ?」


 頭を悩ませるパルム、そんな時、豪快な笑い声と共に和室の扉が開かれたの。


「がはっはっ、なんとも、スケールのデカイ話をしておるのぉ。一枚、儂もかもうじゃないか」


 姿を現したのはマルル【マルサ=チヨル】だったの、突然の事だけど、驚いたのはアララとパルムだけだったわ。


 私とアフロディアス、バルキュリアは当然と言わんばかりに直ぐに席を用意する。


 マルルが到着した事で一安心するパルム。


 マルルの一言がそんなパルムの安心感を粉砕する。


「仕方ない奴め、いい加減に力をもう少しつけぬか、パルムタークよ? 此度の騒動も自身の力の無さが招いた結果だとしっかりと受け止めよ!」


 軽い小言が終わるとマルルは「本題に入ろう」と口にする。


 マルルは次元を繋げることは構わないと納得してくれたの、ただ、条件を幾つかつける事になったの。


 ●次元を繋げるのは王神同士で納得した場合のみとする。


 ●次元を繋げるのは月に五回までとする。


 ●人間、魔物、魔獣など、生態系や生命を脅かす存在の大量移動、ならびに移住を禁止する。


 ●侵略行為を禁止する。


 ●犯罪を犯した者の往き来を禁止する。


 条件が決まり、マルルはアフロディアスとバルキュリアに向けて微笑みを浮かべる。


「お前さん達は儂の大切な娘みたいなものだ、彼方の世界でもしっかりと頑張るのだぞ」


「娘って、私達からしたら、お爺ちゃんみたいな存在なんだけど、でもありがとう」


 アフロディアスがそう言うとバルキュリアも同様にうなづき、ぺこりと頭を下げる。


 異世界から異世界に行く際はパルムが次元を繋げ、マルルが横でサポートする事となる。


 次元を繋ぐ道は【異世界トンネル】と呼ぶことに決まり、全ての話がまとまるとアフロディアス、バルキュリアは狭間の世界から次の異世界へと旅立っていく。


「アラナラムル、しっかりやりなさいよ! 応援してるわよ」


「アラナラムル……私も同じ気持ちだから、カルミナの花言葉は大きな希望……そして、野心……もう少しだけ、自分に正直にね」


 アフロディアスとバルキュリアは笑顔でその場を後にしたわ。


 マルルもパルムを連れ、天界に帰っていったの。


 狭間の世界に残された私とアララ。


「せっかくだから、もう少しこの世界を楽しみましょ、時間が流れないなら少しのんびりしたいわ」


 いろいろと気を張る事が多かったから、少しだけ休憩ね。

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