姉妹は大変なんです8
アフロディアス……恐るべしね、まあその後、ゼウスとオーディンが争いを始める事になるんだけど、アフロディアスは争いが激化する前にバルキュリアをオーディンの元から引き離したの、それから直ぐに争いの天罰がくだり、ゼウス一族は三次元世界に幽閉となり、五次元世界に要られなくなったの、事実上の追放ね。
そこでもアフロディアスが悪知恵を働かせたの、ゼウス追放直前にある言葉を呟いたの。
「神々の王ゼウス様が追放……同じく争ったオーディン様はどうなるのかしら？ 同じく三次元世界に幽閉なんて去れたら、大変よね、五次元世界が神々の王の存在しない世界になってしまうわ……他の王達はどう考えるのかしら」
感情を逆撫でするように呟かれる言葉、神々の王と言う立場をただ一人失う事をゼウスが赦せる筈がなかった、そして審判の瞬間にゼウスは声をあげた。
「我と争ったもの、それを止めなかったもの、全ての王が罪であり、同様に処罰を！」
王達は動揺するが結論はオーディンをともに三次元世界への幽閉と決める、その際に争いを止めなかった王達を三次元世界の監視者とし、世界のバランスを司る存在とする事を決めたの。
天界その物が三次元世界に事実上の移動と言う有り得ない結論に至ったの。
それほどにゼウス、オーディンは強力な神であった事実がわかるわ。
その後、ゼウスは三次元に新たな天界を作り出し神々の王となり、オーディンは北欧の大陸の神となり、人間の戦士と神の戦士が暮らす世界を作り出す。
多くの王達は地上で人々と共存し生きる道を選ぶ事になり、ゼウスとオーディンは他の王と話し合いの席を設け、三次元世界から五次元世界に神々の移動を禁止する代わりに他の王に干渉しない事を誓う結果になる。
話を聞く私は驚きで耳を疑うしかなかったわ。
「つまり、地球にいる神様って五次元世界の天界から来たって事なの、しかもアフロディアスのせいで！」
虚ろな表情を浮かべるアララ。
「そうなりますね、ですが……その結果、バルキュリア御姉様とアフロディアス御姉様を私は失うことになりました……」
私は黙ってアララの話に耳を傾ける。
神々の王が不在となった五次元世界は荒れ始め、新たな王になろうと多くの若き神々が名乗りをあげる。
争いは表面上は起きない、しかし裏では多くの神々が暗躍を巡らせる恐ろしい状態になっていたの。
バルキュリアはそんな若き神々のやり方が赦せずにいた。
そして、事件は起きたの……バルキュリアの管理していた【花園】が炎に包まれたの。
「放せ、アラナラムルッ！ 私の、私の花達が！ いいから放せッ！」
アララの手を振り払い、炎に包まれた花園へと飛び込むバルキュリア。
冷静さを取り戻したアララは水魔法で炎を消しにかかる、しかし……炎は消える事はなかったの。
騒ぎを聞き、駆けつけるアフロディアス。
「これ、神な炎じゃない！ 神以外を燃やし尽くす大魔法……今の天界にこんな物、使える奴いない筈なのに！ アラナラムル、バルキュリアは何処ッ！」
アララが炎を指差すとアフロディアスは絶句した。
炎の中から、※白いカルミナの花を抱え、血走るその目から涙を流しバルキュリアが姿を現す。
※カルミナ……花言葉【大きな希望】
「……バルキュリア！」
慌てて駆け寄るアララとアフロディアス、そんな二人にバルキュリアは笑いながら語りかける。
「私の希望は燃えて消え去った……私から希望を奪った奴等を……絶対に消してやる」
その日、審判が決まる前にバルキュリアの刃が神々を裁く事になる……バルキュリアは五次元世界の地上に追放される、これは多くない三姉妹の味方をする神々が声をあげた結果であり、バルキュリアはそれを笑顔で受け入れた。
