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解放されし、レナクル王国です6

 意識を取り戻した女王サンデアには、いきなり難題を突きつけるようで申し訳ないけど、今回は拒否権なしで強行するわ。


 ソルトの海賊船にシュビナ共に移動する際、ドルドには、バトラング大船団への説明をしっかりするように命じたの。


 「ドルドさん、間違っても誤解が生まれないように頼むわね……私は今回、何事にも本気でいく予定だから」


 私の発言にソルトは小さな声で「恐ろしい女だよな……」と呟いたのがわかったわ。


「俺の惚れた女だからな、あれくらいじゃないと、国王の妻は勤まらんさ」


「二人とも……聞こえてるわよ!」


 シュビナとソルトが苦笑いを浮かべ、ドルドは額に汗を流しうなずく、平和的な話とは程遠い光景だけど、向かう先は明るい未来よ。


 海賊船に移動した私達はレナクル王国へと舵を取り、その後方をバトラング大船団が一定の距離を保ちつつ進行する。


「ソルト、レナクル側にもバトラングの大船団は敵じゃないと伝えたいの、なにか信号のような物はあるかしら?」


 ソルトの船をバトラング大船団が襲っていると勘違いされるのは避けたいわ。


「そうだな、あるにはあるが、余りオススメは出来ない、と言うより用意も出来ないってのが一番の問題だな」


 方法としては、バトラング大船団の先端にレナクルの旗を掲げると言うものが1つ。


 もしくは降伏を意味する白い旗をつけると言う方法の二種類だったの。


 長い間、戦いが続いていたレナクル王国とバトラング王国は同盟と言っても敵として認識されると言うのがソルトとシュビナの意見だったわ。


「そんな事ないでしょ! まったく、メルリ! クレレを呼び出してちょうだい。飛びっきりの仕事をあげるわ」


「え、お嬢様? クレレを呼ぶんですか?」


 私の言葉に再確認するメルリ、不思議そうに首をかしげながらも、直ぐに召喚してくれたわ。


「クレレになんの用でし? クレレ、今、アラナクルム様のおやつを見張る大任を受けていた真っ最中だったのでしが?」


 アララ達はどうやら、バルキュリアの一件が解決して、気が緩んでるようね、あとで畑仕事に呼び出すとして、本題ね。


「クレレ、リーヴルと一緒に私と一仕事するわよ」


「エェェー! 仕事の為に呼ばれたでしか、でも……でしには、既におやつを守る大任が……」


 仕事と聞き、あからさまに回避しようとするクレレ、しかし、リーヴルが私より先に声を出したの。


「クレレちゃん……私と働くのやなの?」


 クレレからしたら、リーヴルよりお姉ちゃんでありたいと考える筈よね?


「残念だわ、二人ともお姉ちゃんだから、仕事の手伝いをお願いしたかったのに、本当に残念だわ」


 さぁ、食いついてくれるかしら?


「クレレは遣らないとは言ってないでし!」


「リーヴルもお仕事手伝う!」


 食いついたわ、二人がやる気になった処で仕事内容を伝えたわ。


「クレレには、後ろのバトラング大船団のマストに私の作った判子を押して貰うわ。その押された判子にリーヴルが魔法で色を塗って欲しいの」


 以前、クレレが洋館で判子を使った際に、押した物に合わせてサイズが大きく表示されるのを確認していたの、つまり……クレレは判子のサイズに関わらず対象にあった大きさに出来ると言う、余り役に立たない特殊能力があるわけね。


 リーヴルは私と同じ魔法なら何でも使えるわ。だから私と魔法を使って色塗りって訳ね。


 作製魔法(アトリー)で造り出した判子、そこには両国の国旗が彫り込まれている、更に2国を包むように、女神(アララ)をプラスした特製品よ。


 私達は三人で移動を開始する、船から船に飛び移り、私がバトラング側を塗り、リーヴルがレナクル側の色を塗る、クレレはアララを担当したわ。


 船を飛び回る度に「なにを!」とバトラング側から質問されたけど、軽く説明し「文句ある?」と私が口にすると、皆、素直に納得してくれたわ。


 バトラング大船団が平和一色に染まった後、ソルトの海賊船にも同様の判子を押したわ。海賊旗の事も考えて、少しだけ形は変えたけど、見た目は一緒よ。


 全てを即座に終わらせた私達、そして、声を大きく張り上げ、一定距離の存在に声を拡散する魔法【フルボイス】を使い全船に語りかける。


「今から私達はレナクルの救援活動に向かうわ、その後、バトラング王国とレナクル王国は新たな未来に向かう事になる、仲間を重んじるのがバトラングだと言うならば、全力で新たな友となるレナクル王国を救いなさい! 私はミルシュ=カルム=カミル、バトラング王国、国王カルム=シュビナの妻として此処にそれを命じる!」


 バトラング王国で、この事実を知らぬ者はいない、バイキングの王と人の娘が夫婦になるなんて有り得ないと皆が考えた筈だもの、実際私も焦ったけど、今なら言える、シュビナと共に生きるのも悪くない。


 ただ、メルリは知らなかったのね……本気で気を失ってしまったわ。

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