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目指す先──レナクル王国7

 互いに相手の目を見つめる。


 状況だけなら、私達の奇襲は失敗、ソルト側に包囲されているとも言えるわね。


 海と言う相手からしたら最高の戦場でありながら、私に”帰れ“と口にするなんて、ソルトの性格からしても腑に落ちないわ。


 素直に聞き入れる気はなく、デンキチに新たな指示を出したわ。


『デンキチ、巨大化。攻撃は相手がしてきてからよ。此方からは今は仕掛けないで』


 軽く頷き、巨大化するデンキチに包囲していた海賊艦隊がざわめく。


 私はデンキチの手に移動する、その動きに合わせてソルトの方へと手を伸ばすデンキチ。


 ソルトと部下達に睨みつけるように視線を向けられる最中、堂々とソルトの前に出向いたわ。


「どんな心境の変化なのかしら? まぁ、何があったか知らないけど……らしくないわね?」


 動じることなくそう言い、両手を組んで見せる。

 こう言う場合は平常心を保ちつつ、毅然とするのが一番だと思うわ。ビビっている姿を見せるのは良くないものね。


「あり得ないなぁ、まぁ、初対面の時も貴女は船を乗っ取りに来たし、驚かないが……今回は大人しく退いて貰いたかったんだがな」


 そして、ソルトは「話を聞くならば、最後まで協力して貰うぞ?」と真剣な表情で私を見たの。


「約束は出来ないわ、私達も時間が無いのよ。それにサンデア女王に急いで逢わないと不味いことになるの」


 サンデアの名を聞いたソルトは一瞬、拳を強く握り締めたようにみえたの。


「レナクル王国には行くな、カミル。あの国は、と、言うより……国の女達と言うべきだな……」


 そして、レナクル王国で何が起きているのかを私は知ることになったの。


 数日前、つまりは私がアフロディアスの花を咲かせた次の日に当たるわ。


 突如として、レナクル王国の空を暗雲が包み込んでいったの、生暖かい風は嵐を予感させる程、次第に強さを増していったそうなの。


 雲がうねり出し、渦となり大空を黒一色で染めあげると、真っ赤な雨が降りだし、地面に落ちて弾ける度に真っ赤な霧となり、レナクル王国を包み込んでいったのね。


 赤い霧を吸い込んだ男性達は女性達をまるで神のように崇め始め、女性達はレナクル王国の女王サンデアを中心にバトラング王国への進軍を突如決めたと言う……そして、サンデアは自身の事を”戦神バルキュリア“と名乗ったそうなの。


 ソルト達は本土の様子が可笑しいと気づき、サンデアに直接話を聞こうとした際、レナクル王国から海賊艦隊に対しての魔法攻撃を受けたと語ったわ。


 この話は、追っ手としてソルト達を倒そうと襲ってきたレナクル王国の兵士から聞いた内容だとも言われたわ。

 


 話の内容をまとめると、レナクル王国は女王サンデアに取り付いたバルキュリアに操られて、バトラング王国に攻撃しようとしているって事になるわね。


「早い話、大変みたいだけど、私は取り敢えずサンデアの所に行くわ。あと海には光の壁が在るからバトラング王国側には行けないわよ」


 話を切り上げ、レナクル王国へと向かおうとすると、ソルトが私を呼び止める。


「待ってくれ、光の壁? それにサンデア女王は普通じゃないんだぞ? どれ程、魔力を有していても数を考えろ、捕まりに行くようなものだ!」


 なんか聞きなれたセリフね?


「はぁ、いい? 良いことをしようとする人間に水をさ・さ・な・い・で! それに、サンデアと話がしたいのよ。バルキュリアには邪魔だから、サンデアから出てって貰うつもりよ」


 優しく微笑むとソルトはそのまま、ゆっくりと私に頭を下げたの。


「すまない……俺達に協力してくれ、レナクル王国を元に戻したいんだ……頼む」


 私は頭を軽く抱えると仕方ないと、現状を受け入れたわ。


 ソルトからの話をもとにレナクル王国奪還作戦を開始する事になったわ。 

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