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目指す先──レナクル王国6

 目的地であるレナクル王国を前に姿を現したキャプテン・ソルトの海賊艦隊。


 勿論だけど、私達の存在には気づいて無いわ。


 遣り過ごすか、戦うかの二択なら、時間を考えれば、戦う道を選ぶしかないのが現状だったの。


 敵本隊に対する奇襲作戦ね、本隊を避けて、レナクル王国に侵入しても確実に大人数を相手にすることになるのは目に見えてるもの。


 先手必勝でソルト達の本隊に向かい、船体に穴を空けるのが目的になるわ。


『ねぇ、カミル。船を沈めるなら海中から、バーンってしたら早い!』


 誉めて欲しいと言わんばかりに目を輝かせアピールするデンキチ。


『だめよ、完全に沈めるつもりはないんだからね? あくまでも相手が動ける範囲で壊すのよ』


 不思議そうに首を傾げるデンキチ。



 完全に破壊すると船を捨てて、動ける船のみで行動されたりしたら、厄介だし、怪我人を大量に出したりと言う事に成りかねないもの。


『いい? 修理できる範囲で壊しとくと、船を捨てずにそのまま着いてくる筈よ。その後で、ある程度、沖に引き付けたら一気に加速して、レナクル王国まで向かうわよ』


 私の説明に頷くデンキチ。


『うん、めんどくさい』


 予想外の一言に呆れるより、悲しくなってきたわ。


 それでもデンキチはしっかりと私の考えを理解して行動を開始してくれたの。


 敵の注意を引き付けるように水飛沫をあげ、加速していくデンキチ。


 デンキチの背で両手に魔力を集めると爪の先をドラゴンの爪に、(ひじ)までをドラゴンの(うろこ)で覆い攻撃準備を整える。


 ソルトの海賊艦隊が海面の異変に気づき、舵を大きく動かしたであろう、一瞬の船体が傾いた瞬間、それを合図にデンキチが一気に加速する。


 海賊艦隊に迫り始めた瞬間だったわ──海賊艦隊が左右に移動し、まるで円を作り出すように陣形を変化させたの。


 真っ正面に堂々と微動だにしないままのソルトの海賊船が姿を現し、私達の方へゆっくりと進んできたの。


 互いに距離が無くなり始めた時、ソルトの声が大海原に響き渡ったの。


「やっぱり、貴女か! カミルさん……生憎、今は貴女の相手までする余裕がないんだ、大人しく帰ってもらえないか?」


 近づき海賊艦隊の船体を間近で見た瞬間、ソルトの言葉の意味を理解したわ。


 多くの船には争ったような形跡があり、殆どが魔法による傷だったの。


 レナクル王国を目前に私達は本土で何が起きているのかをソルトの口から聞かされ、知ることになったの。


 私の予想より遥かに厄介なのは確かね。

 

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