太陽の恵みと風の知らせです7
マップに点滅かするデンジャラスワームの反応が少なくなった頃、ディマが私に声を掛けてきたの。
『いるんだろ? この匂い……間違いない、小さき人の子であろう、見ての通り、忙しいんだが?』
そう語りながらも“仕方ない”と言う表情を浮かべて、此方に近づくディマ。
私も堂々と姿を現し魔獣の森へと来た訳を説明する事にしたの。
そして、ディマが魔獣の森へとデンジャラスワームが出現した日を聞く。
その結果、私がバトラング王国に戻った次の日から魔獣の森の外に魔物が姿を現したと教えてくれたの。
『ディマ、今回のこの魔物の発生にたいしてディーラはなんて言っているの』
森の支配者であるディーラの意見は凄く重要になるわ。
それにディーラの予知能力がこの事態を予想していなかったか、どうかの確認をしておきたいわ。
私の考えを知っていると言わんばかりに、真っ白い閃光が此方を目掛けて移動してきたの。
ディマが白い閃光が到着する前に頭を下にする。
目の前に降り立ったディーラ瞬間、木々が風もないのに靡き、まるで頭を足れようとするように葉が地面に舞い落ちたの。
《早い再開であったな、小さき人の子よ。聞きたき事は此度の件についてであろう?》
間違えなくそうだわ、行きなりの状況に混乱しながらも、ディーラなら理由となる何かを知っている、そう考えたの。
《残念だが、此度の件に魔獣の森は肩入れができぬ》
「心をよんだのね。でも、今の一言で理解できたわ。何を知っているのかしら? 力を貸して欲しいとは言わないわ……でも、本音を言うなら、ヒントが欲しいの」
淡々と語る私。
『キサマッ! ディーラ様に対し頭も下げず、自身の目的を語るかッ!』
ディーラへの、堂々とした態度に怒りを露にするディマ。
《よい、寧ろ……対等に話そうとする姿は嫌いではない。しかし……此度は神の領域に触れるのだ。信仰なきバイキングの永き戦いに我ら魔獣の森に住む民は干渉できぬのが、永遠の理なのだよ》
わけが分からないわ……いきなり、信仰とか……神の領域?
「……そう言うことか、何となくわかったわ、ディーラ。心から助言に感謝します」
深々と頭を下にすると、魔獣の森を後にする。
目的地をバトラング王国に変更する。
数時間と掛からずにバトラング王国に辿り着いた私は先ず、地下牢獄にいるミズチさんの元を目指したわ。
──バトラング王国・城内──
城の地下通路まで移動しようとする私の姿に驚くバイキング達。
説明してる時間がないわね。
そんな時、城内を兵士と移動するシュビナを見つけたの。
「シュビナッ! 行くわよ!」
「ん? か、カミル? うわぁぁぁぁ」
即座にシュビナの腕を掴み、その場から地下に向けて、掌に魔力を集めるとそれを握った拳にまとわせる……そして、地下に向けて床を殴り進めたわ。
「な、何をしてるんだ! カミル」
予想だにしていなかった私の姿と行動に慌てるシュビナ。
「近道よ! 壊した箇所はちゃんと直しながら進んでるから安心していいわよ!」
壊しては即座に直し、また壊す、そうして、当然のように穴を空け、地下通路に到着するとシュビナは唖然とした表情を私に向けたわ。
シュビナへの説明をしないまま、私はミズチさんの元に急いだわ。
ミズチさんは何代も若返りながら、カルム一族を影で見てきた存在であると同時に、長い歴史を生きた存在でもある。
今回の件について、ディーラは【信仰】と【神の領域】と言うワードを口にしたわ──そして、アフロディアスの花を咲かせた直後のこの魔物騒動、絶対に関係があると私は考えたの。