太陽の恵みと風の知らせです6
クレレとリーヴルは安全の為、空間魔法の中に待避させ、更にデンキチ、スカー、メガに加えて巨大ムカデのオリンとオランを影に私の影に待機させたわ。
予想外の事態に備えた私は焦る気持ちを押さえながら、森を抜け、大地を一気に駆け抜ける。
「魔獣の森でディーラと話した後にフォレストタウンに向かうわ、アララは先に向かってて、皆がいるから心配ないとは思うけど、領地の広さを考えると安心は出来ないわ」
「分かりました。カミルも無理をなさらないように、私の念話でペンネ達にも戻るように今すぐ伝えます」
互いにうなづき、向かう方向に体の向きをかえると、アララは急ぎフォレストタウンに向かい飛び立っていったわ。
一人になった私は地面を力いっぱいに踏み締めると駆け出す瞬間に風魔法を全身に発動し、超加速状態のまま、魔獣の森へと突っ切って行く。
急がなければと言う気持ちが一段と強くなる、そこから一時間足らずで目的地であるディーラを守護者とする魔獣の森に到着したわ。
でも、魔獣の森にもある変化が起きていたの、森の入り口を見張っている筈の鳥の魔獣達の姿はなく、更に森の至る箇所に無理矢理突っ切って行ったように薙ぎ倒された木々が横倒しになって散乱していたの。
「これって、まさか魔獣の森にもデンジャラスワームが──しかも、すごい数じゃない」
魔獣の森の森長の強さは知っているけど、多勢に無勢となれば、幾ら強いディマ達でも、危ないかもしれないわ。
慌ててマップを開くと、青い点が幾つか表示され、その周りを真っ赤な点が囲むように巨大な塊をなしていたわ。
それと同様の光景が魔獣の森に複数あり、私は一番近い場所から加勢する事を決めたの。
──魔獣の森……入り口付近──
『くっ! どれ程の数がいるのか、次から次に沸いてくる』
“グオォォォォォゥゥゥ”と雄叫びをあげる声、私が辿り着いた先には凄まじい数のデンジャラスワームと対峙するディマの姿があったわ。
『ディマッ! ハアァァァァッ!』
勢いよく火炎魔法を撃ち放ち、ディマの元に向かう。
『ぬっ! カミルか、何をしに来た、今は手が離せぬのだが』
デンジャラスワームを自慢の爪で引き裂きながら、そう語るディマ。
『そうみたいね。この魔物の大発生の原因を調べているの、まさか魔獣の森まで襲われるなんて』
会話の最中、ディマへといっせいにデンジャラスワームが襲い掛かる。
『ふむ、確かに、数は多いようだが、数でこの森を落とせると思うなッ! 害虫が、森長をナメるなッ!』
私は魔獣の森が魔物に襲われるなんて想像もしていなかったわ。
そして、何より……ディマ達、森長の強さを読み違えていた事実に驚いたわ。
マップの赤い点滅が一気に消えていく。つまり、森長達は確実にデンジャラスワームの大群を始末しているのだと理解したわ。